自社の魅力が分からず、求人で伝える言葉に迷う下水点検工事会社の悩み
求人で伝える魅力は、社長がすぐに思いつくものだけとは限りません。 社内では当たり前の仕事内容が、社外の人には関心を持つきっかけになることもあります。
福島県のある下水道の点検工事会社でも、採用に向けて何を打ち出せばよいかが見えていませんでした。社長の悩みは、「自社の魅力が分からない」というものでした。
地方にあり、仕事内容も広く知られているわけではありません。求人原稿を作ろうとしても、何を魅力として書けばよいのか。その言葉が定まらない状態でした。
そこで取り組んだのは、求人原稿を出し、反応を見ながら書き直すことです。その過程で採用につながったのは、仕事そのものを表す言葉でした。
「マンホールの中に入れる仕事です」
誰もが魅力を感じる表現ではないかもしれません。それでも、この仕事内容に関心を持つ人には、会社を知る入口になったといいます。
魅力の有無よりも、誰に何を伝えるかが定まらない求人原稿
「うちには魅力がない」という悩みは、「誰にとっての魅力か」がまだ整理されていない状態とも考えられます。
求人で伝える内容は、求める人によって変わります。経験、年代、働く地域。どんな人に来てほしいかが曖昧なままでは、言葉を選ぶ基準も持ちにくくなります。
下水点検工事の会社で使われた「マンホールの中に入れる仕事です」という表現も、万人受けを狙ったものではありません。普段は入れない場所で働くという、仕事内容の具体性を前に出しています。
ここで参考にしたいのは、キャッチコピーそのものより、その考え方です。別の工事会社が同じ言葉を使えば採用できる、という話ではありません。
自社のどの仕事や働き方なら、求める人が関心を持つのか。そこを確かめずに原稿の表現だけを整えても、何を伝える求人なのかがぼやけやすくなります。
求人原稿で目指したいのは、広く好かれることより、来てほしい人が自分の働く姿を想像できることです。
長く働く社員や協力職人の継続理由に埋もれた自社の魅力
自社の魅力が見つかりにくい背景には、社内の当たり前を外から見直す機会の少なさがあります。
毎日接している仕事ほど、その特徴をあえて説明する機会は少なくなります。社長にとっては特別ではないことも、社員には働き続ける理由になっているかもしれません。
そこで手掛かりになるのが、勤続の長い社員の言葉です。
「なぜ、この会社で働き続けているのか」
同じように、付き合いの長い協力職人にも聞く方法があります。
「なぜ、この会社との付き合いを続けているのか」
社員は、会社の中で働く立場から話せます。協力職人は、外から関わる立場で会社を見ています。両方に聞くことで、社長だけでは言葉にしにくかった特徴を拾いやすくなります。
ただし、協力職人が取引を続ける理由と、求職者が入社を決める理由は同じではありません。聞けた内容をそのまま求人に載せるのではなく、求める人の関心につながるかを考える材料にします。
下水点検工事の会社でも、採用につながる言葉は最初から決まっていたわけではありません。何度も原稿を見直す中で、仕事内容そのものを打ち出す表現にたどり着きました。
継続理由を聞き、仕事内容を具体的な言葉にして反応を確かめる進め方
求人原稿は、魅力を聞き取る、求める人に合わせて選ぶ、掲載して確かめる、という順で整えると進めやすくなります。 最初から完成したコピーを作ろうとしなくても大丈夫です。
長く関わる人に、続けている理由を聞く
まずは、勤続の長い社員や、付き合いの長い協力職人への聞き取りです。「会社の魅力は何ですか」と広く聞くだけでなく、働き続ける理由、取引を続ける理由を聞きます。
大切なのは、社長が考えた魅力を確認するだけで終わらせないことです。社長には当たり前でも、相手が理由として挙げたことを拾います。社内で言葉が出にくければ、第三者が聞く方法もあります。
求人の材料は、会社をよく見せる言葉より、実際に関わる人が続けている理由から探します。
求める人を決めてから、伝える材料を選ぶ
聞き取った内容をすべて原稿に盛り込む必要はありません。採用したい人の経験、年代、地域を整理し、その人に伝える意味があるものを選びます。
判断の軸は、「自社が誇れるか」だけではありません。「その人が、仕事内容や働き方に関心を持てるか」も大切です。
媒体や広告の選択も、この整理の後です。届ける手段を変えても、何を伝えるかが曖昧なままでは、自社に合う人へ向けた発信になりにくいためです。
仕事内容そのものを、想像できる言葉にする
下水点検工事の事例で参考になるのは、職種名だけでは伝わりにくい仕事を、「マンホールの中に入れる仕事」と具体化した点です。
専門工事の名称を知っていることと、実際の仕事を想像できることは別です。自社の求人でも、業界の中では通じる言葉だけで説明していないか、見直す余地があります。
写真や動画で現場や働く人を見せる方法もあります。ただ、何を見せるかを決めるには、先に仕事内容の特徴を言葉にしておくことが役立ちます。
珍しさを作るのではなく、実際の仕事にある特徴を、求職者が分かる言葉に置き換えます。
掲載後は、応募数だけでなく会いたい人に届いたかを見る
原稿を出した後は、応募の反応を見て修正します。紹介した点検工事会社でも、無料掲載の求人原稿を何度も出し直す中で、採用につながる表現を見つけたといいます。
同じ回数だけ直せば成果が出るわけではありません。大切なのは、一度の掲載で言葉の良し悪しを決め切らず、見直しを続けることです。
確認したいのは、次の点です。
- 応募が来ているか
- 求める経験や地域などに合う人から反応があるか
- 原稿で伝えた内容が、応募者の関心につながっているか
原稿改善のゴールは、応募数を増やすことだけでなく、採用したい人に会える状態を作ることです。 その視点で、伝える内容や出し方を調整していきます。
まとめ
「採用で伝える魅力がない」と感じたときは、新しい魅力を作る前に、今いる人が関わり続ける理由を聞くところから始められます。
長く働く社員には、働き続ける理由があります。付き合いの長い協力職人には、取引を続ける理由があります。その言葉を、求める人にとって意味のある求人の材料へ整理します。
下水点検工事の事例では、仕事内容そのものが関心の入口になりました。自社でも、専門工事の名称だけでは伝わっていない特徴があるかもしれません。
万人に好かれる原稿を目指すより、来てほしい人に伝わる言葉を選ぶ。掲載後は反応を見て、少しずつ直す。その積み重ねが、自社に合う求人原稿づくりにつながります。
自社の求人で何を伝えるかを整理したい方へ
「うちの場合は何が魅力になるのか」という段階から、求人の伝え方を整理できます。 今の原稿を直すべきか、社員への聞き取りから始めるべきか。そこが決まっていなくても構いません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、自社の魅力の掘り起こしから、求める人の整理、求人原稿の作成・改善まで一緒に進めます。
無理にサービスをお勧めすることはありません。まずは、自社の求人で何を伝えるかを考える整理先としてご相談ください。