求人を出し続けても、新たな応募につながっていない建設会社の悩み
採用活動は動かしている。それでも応募が来ない。そんなときは、媒体の変更とあわせて「誰に届けたい求人なのか」を確かめたいところです。
ある建設会社でも、採用活動を続けていました。応募状況に変化があったかを尋ねると、経営者の返答は「いや、ないですね」でした。
何もしていないわけではありません。求人を出し、別の採用手法についても情報を集めています。SNSの短い動画の間に広告を流す方法についても、すでに説明を受けていました。
「求人サイトを見に来る人だけでなく、見に来ない人にもアプローチするという話でした」
求人媒体だけでは届かない人がいる。その理解はあります。一方で、新しい手法の説明を聞いても、自社に合うかを判断するには、もう一段の整理が必要です。
この会社の悩みは、建設業の採用で起こりやすいものです。応募がないから次の手を探す。選択肢は増える。それでも、どれを選ぶべきかが見えにくいのです。
求人媒体とSNS広告を比べるだけでは、自社に合う採用経路を選べない状態
「どの媒体がよいか」より先に、「どんな人と会いたいか」を具体化することが、手法を選ぶ判断軸になります。
求人媒体もSNS広告も、採用対象に接点をつくるための手段です。同じ建設会社でも、求める職種や経験、想定する年代、通える地域が違えば、選ぶ経路は変わります。
相談した経営者は、SNS広告を使った採用の説明を聞き、「それと似たようなものなのかな、というイメージは受けました」と話していました。
手法の紹介だけを聞くと、支援内容の違いは見えにくくなります。求人媒体を使うのか。動画をつくるのか。広告を流すのか。比較がそこに集まりやすいためです。
ただ、応募がないという結果だけでは、媒体が合わないのか、求人の言葉が届いていないのかは分かりません。採用対象が曖昧なままだと、出し先を変えても、何を改善できたのか確かめにくくなります。
まず整えたいのは、誰に、どこで、何を伝えるかという三つのつながりです。媒体選びは、その中の「どこで」に当たります。
求人を探している人と、まだ探していない人では接点が異なる採用活動
求人サイトを見ている人への募集と、まだ仕事を探していない人への働きかけは、分けて考えると整理しやすくなります。
経営者が関心を持っていたのは、求人サイトに来ない人にも情報を届ける方法でした。SNS広告は、そのための選択肢の一つです。ただし、求人を探していない人に届く可能性があることと、自社が採りたい人に届くことは同じではありません。
職種や経験だけでなく、地域も関わります。会社を知ってもらえても、通勤できる範囲から外れていれば、応募にはつながりにくくなります。年代も、応募を一律に制限する条件ではなく、接点を考えるための手がかりとして整理したい項目です。
もう一つ、相手が決まらないと整理しにくいものがあります。自社の魅力です。
対話では、長く勤める社員や、付き合いの長い協力職人に話を聞く方法が示されていました。「なぜこの会社で働いているのか」「なぜ付き合いを続けているのか」を尋ねる進め方です。
社内では当たり前になっていることも、外から見ると魅力になっている場合があります。採用対象を決めることと、その人に伝える魅力を見つけることは、別々ではなく並行して進める作業です。
採りたい人の条件をそろえ、その人に届く経路と求人原稿を見直す進め方
採用対象、接点、伝える内容の順に整理し、掲載後の応募状況を見ながら組み直す流れが基本です。 新しい広告手法を試す場合も、この順番があれば、自社に合うかを判断しやすくなります。
まず、採用したい人の条件を言葉にする
最初に、今の求人で会いたい人を整理します。確認したいのは、次の四つです。
- 職種:どの仕事を担う人を採用したいのか
- 経験:どの程度の経験を求めるのか
- 年代:どのような層を想定し、接点を考えるのか
- 地域:どこから通勤できる人を対象にするのか
この整理は、理想の人物像を細かくつくるためだけのものではありません。求人原稿と、使う経路を選ぶための土台です。
「建設業で働く人」という広さでは、経験も住む場所も異なる人が含まれます。どの職種の、どの経験の人に向けた求人なのか。そこを言葉にするだけでも、求人に何を載せるべきかが見えやすくなります。
求人を探している層と、まだ探していない層を分ける
次に、その人とどこで接点を持つかを考えます。
求人を探している人には、職種や地域に合う求人媒体が候補になります。まだ探していない人にも知ってほしいなら、SNS広告や動画などを検討します。若手の新卒採用を目指す場合には、高校の合同説明会のような経路もあります。
SNS広告だから有利、求人媒体だから古い、という選び方ではなく、採用対象が接点を持つ経路かどうかで判断します。 年代だけで媒体の向き不向きを決めつけず、応募状況を通じて確かめることも大切です。
手法を増やすこと自体を目的にする必要はありません。会いたい人との接点をつくるために、必要な組み合わせを選びます。
社員の言葉から、相手に伝える魅力を掘り起こす
求人に載せる内容は、経営者だけで考え切ろうとしなくてもよい部分です。長く勤める社員や、付き合いの長い協力職人に、働き続ける理由を聞く方法があります。
聞き取った内容を、採用対象に伝わる言葉へ整えます。求人原稿だけでなく、採用ページや広告にも反映します。必要に応じて、写真や動画で現場や人を見せる方法も考えられます。
目指したいのは、誰にでも好かれる表現より、自社が会いたい人に「自分に関係のある仕事だ」と受け取ってもらえる表現です。魅力とあわせて、待遇条件の見直しが必要かも確認します。
掲載後は、応募数と採用対象との一致を確かめる
掲載は区切りではなく、見直しの始まりです。定期的に応募状況を確認し、経路や求人原稿の出し方を調整します。
確認したいのは、応募が何件来たかだけではありません。求める職種や経験に合っているか。通勤できる地域の人と接点を持てているか。そうした点も見ます。
応募がなければ、届ける経路や伝える内容を見直します。応募はあっても想定した人と違うなら、対象を示す言葉や媒体の組み合わせを確かめます。
「出す、応募を見る、直す」を繰り返し、狙った人と会える状態に近づけていくことが、採用手法を使いこなすということです。
まとめ
求人を出しても応募が来ないときは、媒体を変える前に、職種・経験・年代・通勤可能な地域から採用対象を整理することが出発点です。
対象が見えると、求人を探している人に届けるのか、まだ探していない人にも知ってもらうのかを考えやすくなります。社員や協力職人の言葉から、自社が伝えられる魅力も探せます。
そのうえで経路を選び、応募状況を見て直していきます。特定の媒体に正解を求めるよりも、自社が会いたい人に届いているかを、採用活動の判断軸にすることが大切です。
自社が採りたい人と、今の求人の届け方を整理するために
「うちの場合、誰を採用対象にすればよいか」という段階から、採用活動は整理できます。 使いたい媒体が決まっていなくても問題ありません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、求める人材像の整理から、自社の魅力の言語化、媒体選定、求人原稿と応募状況の見直しまで、一緒に進めます。
今の求人を続けるか、別の経路を試すか。その判断に迷っている段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用をおすすめすることはありません。まずは、自社の採用対象と現在の届け方を確認する場としてご活用ください。