事務所ビルの工事が増え、数名の体制に経験者を1人迎えたい段階
採りたいのは大勢ではなく、増えている工事を任せられる経験者1人です。 まずは、その目的に合う採用の進め方を考えたいところです。
ある従業員4名ほどの建設会社では、事務所ビルなどの工事を中心に手がけていました。住宅の仕事は少なく、工事の規模はさまざまです。工事量が増えてきたため、人の確保を先に進めたいと考えていました。
希望するのは経験者です。資格については「あった方がいいですよね」という考えでした。一方、これまで求人を掲載した経験はありません。どの方法を使うか以前に、採用の始め方を整理する段階です。
「採用は1人ぐらいしか欲しくない。それでも合うのでしょうか」
この言葉には、必要な人数が少ない会社でも、採用支援や求人施策を活用できるのかという迷いが表れています。大きな採用体制をつくる話ではなく、必要な1人に出会うための準備として捉えることが出発点になります。
「経験者が欲しい」だけでは求人の条件と伝え方を決めにくい状態
最初に整理したいのは、掲載する媒体ではなく、その1人に何を任せたいかです。 「経験者」という言葉だけでは、必要な経験の中身まで伝わりません。
この会社では、事務所ビルの工事が多いこと、工事規模に幅があること、資格もあれば望ましいことまでは見えていました。ただ、求人をつくるには、もう一段具体化する必要があります。
- 増えている工事のうち、どの仕事を任せたいのか
- その仕事を任せるために、どのような経験や知識が必要なのか
- 資格は欠かせない条件なのか、あれば望ましい条件なのか
ここが曖昧なまま媒体を選ぶと、求人原稿も「経験者募集」「資格保有者歓迎」という表現にとどまりがちです。求職者も、自分の経験が生かせる会社なのか判断しにくくなります。
少人数の会社にとっては、応募の数だけでなく、任せたい工事に合う人から反応があることが大切です。そのためにも、「経験者1人」を「この工事を任せられる1人」へ具体化することが、最初の課題になります。
求人経験がなく、他社の採用事例も自社より大きく見える状況
採用への不安の背景には、会社の小ささだけでなく、自社に合う方法を判断する材料の少なさがあります。
相談した経営者は、他社の採用事例を聞いても「ある程度、大きい会社なんですよね」と確認していました。自社は数名の体制です。複数人を採用する会社の取り組みが、そのまま必要とは思えなかったのでしょう。
ホームページを使う方法についても、「必ずしも、こういう方法を取るわけではないですよね」と確かめていました。採用を始めるなら、ホームページの新設まで必要なのか。そうした施策の範囲も、まだ判断しづらい状態でした。
求人経験がなければ、無料で使える手段と費用をかける手段の違いも、どの媒体に欲しい人がいるのかも、最初からはわかりません。現場や経営の仕事をしながら、それぞれを調べて運用する負担もあります。
だからこそ、採用は次の3つに分けると整理しやすくなります。
「誰を採りたいか」「どこで情報を届けるか」「何を魅力として伝えるか」を、別々に決めてからつなぐことです。 媒体は、そのうちの「どこで届けるか」を担う手段です。そこだけ先に決めても、任せたい仕事や伝える内容までは決まりません。
任せたい工事を起点に、社員の言葉と求人への反応で採用方法を絞る進め方
必要な1人の採用は、条件を整理し、自社の魅力を言葉にして、求人への反応を確かめる流れで進めます。 ホームページの新設や、多数の媒体への掲載を前提にする必要はありません。
まず、必要な経験と資格の優先順位をそろえる
工事量が増えているなら、まず任せたい工事を明らかにします。その仕事に必要な経験・知識を挙げ、資格についても優先順位を決めます。
今回のように「あった方がいい」という資格は、そのまま必須条件にするのではなく、資格がない場合でも任せたい仕事に対応できるのかを確認したいところです。反対に、仕事を任せるうえで欠かせない条件なら、求人にも明記します。
「欠かせない条件」と「あれば望ましい条件」を分けると、求人で誰に呼びかけるかが明確になります。 経験者という広い括りではなく、必要な工事経験や知識が伝わる原稿に近づきます。
長く働く社員に、続けている理由を聞く
自社の魅力は、社長だけで考えるより、実際に働く人の言葉から探す方が具体的になります。長く勤めている社員に「なぜこの会社で働き続けているのか」「どこが気に入っているのか」を聞いてみます。
他社では、経営者が採用上の弱みと考えていた地方の立地について、長く働く社員から「休日に釣りやハイキングを楽しめるから」という声が集まりました。その言葉をもとに、余暇を楽しめる環境として求人で伝えるようにした例があります。
この魅力が、どの会社にも当てはまるわけではありません。大切なのは、社長にとっての当たり前が、社員にとっては働き続ける理由になっている可能性です。
求人に載せる魅力は、よく見せるためにつくるのではなく、社員が実際に感じている良さから見つけます。 社内では話しにくい場合は、第三者による聞き取りを使う方法もあります。
地域と職種に合う経路を選び、反応を見て原稿を直す
採りたい人と伝える内容が見えたら、地域と職種に合う採用経路を検討します。求人検索サービスや公的な職業紹介窓口などを、知名度だけでなく、欲しい経験を持つ人に届くかという観点で選びます。
求人経験がない会社なら、無料で使える媒体から反応を見る方法もあります。費用をかける施策は、必要性を確認しながら検討できます。
掲載後は、出して待つだけにしないことが大切です。応募の有無や、求める経験を持つ人から反応があるかを確認します。その結果をもとに、工事内容の説明、必要条件、魅力の伝え方を見直します。
反応が乏しいときは、媒体を増やす前に「対象・経路・原稿」のどこを変えるかを考えます。 定期的に状況を確認し、次に直す点を決める進め方です。ホームページも、会社情報を伝えるうえで必要かどうかを見て判断すればよく、最初から新設ありきにする必要はありません。
社長は判断を担い、求人づくりや運用の実務を切り分ける
外部を使う場合も、任せたい仕事や採用条件の判断には社長が関わります。一方、社員への聞き取り、求人原稿の作成、媒体の選定・運用、日程調整などは、外部に任せる範囲を決められます。
社長がすべて作業する必要はありませんが、「誰を、なぜ採るか」まで丸ごと手放さないことが大切です。 外部と一緒に反応を確認し、条件や原稿をどう変えるかを決めます。
作成した求人原稿や聞き取りの内容も、社内に残しておきます。必要な1人を採用する取り組みを、次に採用が必要になったときにも使える形にしておくためです。
まとめ
少人数の建設会社が経験者を1人採りたいときは、媒体選びより先に、任せたい工事と必要な経験・資格を整理することが出発点です。
そのうえで、長く働く社員から自社の良さを聞き取り、地域と職種に合う採用経路で伝えます。求人を出した後も反応を確認し、条件や原稿を見直していきます。
ホームページの新設も、大量の応募獲得も、それ自体が目的ではありません。目指すのは、増えている工事を任せられる1人との出会いです。社長が担う判断と、外部に任せる実務を分ければ、その目的に合わせて取り組みの範囲を考えやすくなります。
必要な1人に向けた採用条件と進め方の整理
「うちの場合、どこまで経験を求めるべきか」という段階から、採用の進め方を整理できます。 求人を出したことがなくても、使う媒体が決まっていなくても構いません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、任せたい工事や必要な経験の整理から、社員への聞き取り、求人原稿づくり、運用改善まで、会社の状況に合う進め方を一緒に考えます。
必要な1人のために何を行い、何は行わないか。社長が判断することと、外部に任せること。その切り分けからでもご相談いただけます。無理に施策や契約をおすすめすることはありませんので、まだ考えがまとまっていない段階でも、気軽にお声がけください。