前提

求人業務の移管が進み、顧問の次の役割を整理する段階

求人の制作や更新を支援会社へ移したら、作業の引き継ぎだけでなく、顧問にこれから何を担ってもらうかも決め直す必要があります。 建設会社が外部の力を借りて採用を進めるとき、実務が動き始めたからこそ、役割の曖昧さが見えてくることがあります。

採用支援の体制を整理していたあるケースでは、複数の顧問が関わるなか、求人まわりの業務を支援会社がほぼ引き取っていました。原稿を作成し、別の担当者が内容を確認して、その結果を反映するところまで、実務の分担が進んでいた状態です。

担当者の説明も、「求人まわりは基本的にすべて巻き取っている状態です」というものでした。その一方で、移管によって顧問側に生まれた余力を、次にどこへ向けるかは整理の途中でした。

これは、求人業務の移管が失敗したという話ではありません。実務を任せられる体制ができた分、経営者との方針決定や会社の強みの言語化など、次に進める仕事を明確にする段階に入ったということです。

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課題

求人作業を振り分けても残る、方針決定の担い手の曖昧さ

個別作業の担当表だけでは、「採用をどう進めるかを誰が考え、経営者と決めるのか」が抜けやすくなります。 求人原稿を誰が作るかと、原稿で何を伝えるべきかを誰が整理するかは、つながっていても別の役割です。

このケースでも、当初は、支援会社が引き取った作業を明らかにして、その分だけ手が空いた顧問の活動を考える進め方でした。現在の作業を把握するうえでは必要な整理ですが、それだけでは、既存の仕事の配り直しにとどまります。

たとえば、求人原稿の作成担当が決まっていても、社員インタビューを通じて自社の強みを整理する役割や、経営者と採用方針を決める役割まで決まっているとは限りません。制作会社とのやり取りも、単なる連絡なのか、伝える内容を一緒に作り込む仕事なのかで、必要な関わり方が変わります。

体制の整理では、「顧問が担うミッションと、支援会社が担うミッションを、ちゃんと整理してほしい」という指摘がありました。

大切なのは、誰に作業が多く配られているかだけを見ることではありません。求人業務が動くことと、採用の方針が前に進むことの両方に、担い手がいる状態をつくることです。

背景

採用・育成・定着の支援を求人業務の一覧から分ける難しさ

役割が曖昧になった背景には、採用・育成・定着という支援全体の目的よりも、目の前の求人作業から分担を考えていたことがありました。

求人原稿の制作や修正は、作業内容が見えやすく、移管したかどうかも確認しやすい仕事です。一方、経営者と方針を決めることや、社員の言葉から会社の強みを整理することは、作業名だけでは責任範囲を表しきれません。

また、支援の枠組みは採用だけではなく、育成・定着も含んでいました。そのため、求人業務の一覧だけを出発点にすると、支援全体のうち、何を進める体制なのかが見えにくくなります。

「採用だけではなく、採用・育成・定着の枠組みのなかで定義する」という確認は、このずれを整えるためのものでした。育成や定着の具体策を無理に増やすのではなく、まず、どこまでを支援の対象とし、そのなかで誰が何を担うのかを揃える必要があったのです。

さらに、「考える仕事は顧問、作業は支援会社」と二分するだけでも十分ではありません。対話では学校訪問も挙がりましたが、訪問という作業名だけでは、方針を考える関与まで含むのか、決まった内容を実行するのかはわかりません。

仕事の名前で分けるのではなく、その仕事で何を決め、何を形にし、何を実行するのかで分けることが、共通理解につながります。

解決

採用・育成・定着の目的から戦略・戦術・実行支援へ落とす役割分担

役割分担は、「支援の目的→担う役割→具体的な作業」の順で整理すると、抜けと重なりを確認しやすくなります。 現在の作業一覧は捨てずに使い、全体の枠組みを決めたあとで、それぞれを位置づけ直す進め方です。

まず、支援全体で目指すことを揃える

最初に確認したいのは、採用・育成・定着の支援によって、会社として何を進めたいのかです。求人制作・更新を任せることは、その目的に向かうための手段として置きます。

経営者、顧問、支援会社が、支援の対象を同じように理解しているかを確かめます。採用業務の実行を主に任せるのか、採用方針の整理まで含むのか、育成・定着も対象とするのか。この範囲が揃っていないまま作業を分けても、期待する関わり方にずれが残ります。

「何を引き取ったか」より先に、「何を進めるためのチームか」を言葉にすることが出発点です。

次に、戦略・戦術・実行支援の軸で責任範囲を分ける

対話で示されたのは、採用・育成・定着のそれぞれを、戦略・戦術・実行支援という軸で整理する考え方でした。具体作業を当てはめる前に、役割の違いを揃えます。

  • 戦略: 経営者と、何を目指し、どの方向へ進めるかを決める役割
  • 戦術: 決めた方向性を、伝える内容や具体的な進め方へ落とす役割
  • 実行支援: 決めた内容を制作・更新などの実務として進める役割

基本の方向性としては、顧問が戦略・戦術を担い、支援会社が実行を支える整理です。ただし、肩書きだけで一律に線を引くのではなく、具体的な仕事に照らして、関わる範囲を確認します。

採用であれば、経営者との方針決定、社員インタビューによる強みの言語化、その内容を使った求人制作・更新をつなげて考えます。誰が方針を整理し、誰が表現に落とし、誰が制作して確認を受けるのかまで揃えると、単なる作業の分配ではなくなります。

育成・定着についても同じ枠で確認します。ただし、具体的な支援内容がまだ決まっていない部分まで、担当者名で埋める必要はありません。決まっていない範囲は未決として残し、目的や支援内容を確認してから役割を決めるほうが、実態に合った分担になります。

最後に、具体作業とつないだガイドラインにする

整理の着地点は、関係者が「ここまでは自分たちが担い、ここからは相手にお願いする」と理解できるガイドラインです。細かな作業一覧だけでなく、その作業を担う理由もわかる形にします。

求人業務であれば、少なくとも次の関わり方を明らかにします。

  • 経営者と採用方針を整理・決定する場に、誰が関わるか
  • 社員インタビューや強みの言語化を、誰が中心になって進めるか
  • 制作会社とのやり取りで、誰が内容を判断するか
  • 求人原稿を誰が制作・更新し、誰が確認して反映につなぐか

ここでの判断軸は、経営者との方針決定が必要な仕事か、内容を作り込む仕事か、決まった内容を繰り返し実行する仕事かです。この違いをもとに分担すれば、新しく発生する仕事も、既存の役割に照らして相談しやすくなります。

顧問の余力についても、空いた時間を別の作業で埋めるのではなく、方針決定や強みの整理など、本来担ってほしい役割へ向けられるかを確認します。ガイドラインは完成した実績としてではなく、関係者で合意するためのたたき台として提示し、認識を揃えていくことが大切です。

まとめ

採用支援の役割分担で先に決めたいのは、作業の配り方ではなく、支援の目的と、それぞれが担う役割です。 求人業務を支援会社へ移せても、経営者との方針決定や会社の強みの言語化を誰が進めるかが曖昧なら、体制の整理はまだ途中です。

採用・育成・定着のどこまでを支援するのかを揃え、戦略・戦術・実行支援の軸で責任範囲を分け、そのあとに求人制作・更新などの具体作業を結びつけます。

まずは現在の分担表を見ながら、「誰が作るか」だけでなく、「誰が経営者と決めるか」「誰が伝える内容を整理するか」が書かれているかを確かめてみてください。そこが、次の役割分担を考える入口になります。

顧問と支援会社への任せ方を整理したいときに

「求人業務は任せられたけれど、その先を誰と進めるか決まっていない」という段階でも、体制の整理から相談できます。 いまの支援をすべて見直すのではなく、任せている仕事と、まだ担い手が曖昧な役割を分けてみるところから始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用支援についても、顧問や支援会社との役割分担を、会社の目的と現在の体制に合わせて一緒に考えます。

「うちの場合は何から整理すればよいか」というご相談でも構いません。無理な営業はいたしませんので、現在の任せ方を整理する機会としてご相談ください。

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