前提

必要なときの募集から、将来の担い手を迎える採用への転換期

目の前の工事を回す人員と、将来に向けて迎えたい人材は、分けて考えたいところです。

ある内装系の専門工事会社では、人が必要になった都度、採用を進めてきました。現在の工事量だけを見れば、少人数の担当者で対応できるという見立てです。それでも、社長は先を見ています。

「今後も、やっぱり人は必要ですよね」

求めているのは、施工管理や営業を担う人材です。既存社員の資格取得も後押ししています。今の仕事をこなすだけでなく、次の担い手を迎え、育てていく。その準備にも目が向いていました。

ただ、募集を出せば採れるわけではありません。

「施工管理を募集しても、なかなか来ないのが現実です」

この悩みを考えるときは、採用手法だけに目を向けず、誰に、どんな仕事として伝えているかまで戻ってみると、次に整えるものが見えやすくなります。

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課題

施工管理や営業の募集だけでは、働く姿が伝わらない状態

職種名を知らせることと、その会社で働く姿を伝えることは別です。

社長からは、こんな言葉もありました。

「職人でも、施工管理でも、営業でも。どうすれば人が集まるのか、教えてほしい」

必要な職種はいくつもあります。一方で、その募集を見た人に何が伝わっているかは、整理の余地がありました。

とくに専門工事は、業界の外から仕事内容を想像しにくい仕事です。「内装仕上げ」「軽量下地」「ボード」と聞いても、高校生には何をする会社なのか、すぐには伝わりません。施工管理や営業という名称だけでも、その会社で何を扱い、どんな役割を担うのかまでは見えにくいものです。

社長自身も、社名の印象を気にしていました。

「今の若い世代が見て、何の会社なのかなと思うのではないか」

これは、単に名前を新しくするかどうかの話ではありません。会社や仕事を知る入口で、相手が理解できる説明になっているか、という問いです。

求人媒体を増やしても、伝える内容が同じなら、仕事のわかりにくさは残ります。まず確かめたいのは、応募先として比較される前に、仕事内容を理解してもらえているかどうかです。

背景

社内では当たり前の仕事に、応募者向けの言葉が不足

自社の魅力がないのではなく、社内の当たり前が、応募者に伝わる言葉になっていない可能性があります。

この会社には、資格取得を後押しする取り組みがあります。現場の状況を把握し、どこへ行くべきかを自分で考えて動く社員もいます。社長が大切にしている仕事の姿は、すでに社内にありました。

ただ、それを採用の場でどう説明するかは別の作業です。仕事を知り尽くしているほど、どこから説明すればよいのか、かえって見えにくくなることもあります。

採用支援の別の事例では、設備の点検を担う会社の社長が、当初「うちの仕事に魅力なんてない」と話していました。その後、仕事内容を聞き取り、求人原稿の表現を何度も変更しました。反応があったのは、給与や休日を先頭に並べた表現ではなく、普段は入れない設備の内部に入る仕事だと、特徴を具体的に伝えた原稿でした。

この事例は、変わった見出しをつければ採れる、という話ではありません。多くの人に無難に見える表現より、その仕事に関心を持つ人が、具体的に想像できる表現を探すことが大切です。

給与、休日、手当は、応募を判断するために欠かせない情報です。ただ、それだけでは専門工事の特徴や、その会社で働く理由までは伝わりません。

「なぜこの会社に入ったのか」「なぜ今も働き続けているのか」。その答えを持っている社員の声が、発信の材料になります。

解決

採りたい人物像と社員の声を起点に、求人原稿と届け先を整える進め方

採用手法を選ぶ前に、採りたい人、伝える内容、入社後に用意できる環境をそろえます。

一度にすべてを変える必要はありません。まずは、一つの募集について、次の順番で整理すると進めやすくなります。

まず、今回採りたい職種と人物像を絞る

施工管理も営業も必要だからと、同じ言葉で広く呼びかけると、それぞれに伝えるべき仕事がぼやけます。最初に、今回優先する職種を決めます。そのうえで、新卒を迎えて育てたいのか、経験のある中途人材に会いたいのかを分けます。

判断の軸は、今足りない役割と、将来任せたい役割です。この会社のように、現在の工事は回っていても将来の担い手が必要なら、採用後に育つ道筋も含めて考えることになります。

ここが決まると、求人で説明する内容と、接点を持つ場所を選びやすくなります。

社員に、入社理由と働き続ける理由を聞く

魅力の言葉は、社長だけで考え切らず、社員への聞き取りから集めます。出発点になるのは、次の問いです。

  • なぜ、この会社に入ったのですか。
  • なぜ、この仕事を続けているのですか。
  • 仕事や会社のどんなところに、働き続ける理由がありますか。

社長の前では言葉にしづらいことも、第三者が聞くと自然に出てくる場合があります。聞き取りの目的は、立派なコメントをそろえることではありません。社員が実際に感じている理由を知ることです。

採用で伝える魅力は、聞こえのよい言葉より、社員の実感を土台にします。

資格取得の後押しについても、制度名だけで終わらせず、実際にどのような取り組みをしているかを確認します。発信できる事実をそろえることが、求人原稿の具体性につながります。

仕事内容を、求人原稿・現場写真・会社説明資料で伝える

聞き取った内容をもとに、職種名だけでは伝わらない仕事を説明します。求人原稿に加え、現場写真、パンフレット、会社説明資料を整えていきます。

内装系の専門工事なら、「軽量下地」「ボード」という用語を載せるだけではなく、現場写真と説明を組み合わせます。何をつくる仕事なのか。その中で、募集する施工管理や営業がどの役割を担うのか。業界を知らない人にも、つながりがわかる内容を目指します。

ここでの判断軸は、見栄えのよさだけではありません。採りたい相手が、仕事内容と自分の役割を想像できるかどうかです。

条件は正確に示します。そのうえで、その仕事ならではの特徴を埋もれさせないようにします。

対象者に合わせて、学校訪問や求人媒体を選ぶ

伝える材料がそろったら、採りたい相手に応じて届け先を決めます。高校新卒を迎えて育てたいなら、周辺の高校を整理し、学校訪問や説明の機会につなげる方法があります。求人媒体を使う場合も、先に整理した人物像と仕事内容を原稿に反映します。

掲載後は、一度書いて終わりにしません。反応を見ながら、見出しや仕事内容の表現を見直します。先の点検会社の事例でも、反応のある言葉にたどり着くまで、原稿を繰り返し変更していました。

媒体を追加するかどうかも、こうした見直しと合わせて考えたいところです。誰に何を伝えるかが曖昧なまま、届け先だけを増やすことは避けられます。

発信する魅力と、実際の受け入れ環境を合わせる

若手を育てる会社として発信するなら、入社後の指導体制や成長の道筋も確認します。この会社でも、資格取得の先に、どのような役割を担っていくのかを示す必要性が話題になりました。

別の設備工事会社では、新卒社員を迎えた後、既存社員との接し方に隔たりが生まれました。そこで、新人本人だけでなく、迎える側がコミュニケーションを学ぶ取り組みを行っています。

採用の発信を整えるときは、誰が教えるのか、どのように仕事を覚えていくのか、どんな成長を目指せるのかも確かめます。育成制度を大きくつくり直す話に広げるのではなく、求人や会社説明で伝える内容と、実際に用意できる環境を一致させるための確認です。

まとめ

施工管理や営業の応募が集まらないときは、採用手法を増やす前に「誰に、どんな仕事として伝えるか」を見直すことが出発点です。

今回優先する職種と人物像を決める。社員に、入社した理由と働き続ける理由を聞く。その言葉と現場写真を使い、求人原稿や会社説明資料を整える。そこから学校訪問や求人媒体を選び、反応を見ながら改善していきます。

若手を迎えたい場合は、教える人と成長の道筋も一緒に確認します。会社を実際以上によく見せるのではなく、すでにある仕事の特徴と、これから整える受け入れ環境を、無理なく伝える。その積み重ねが、自社の仕事に関心を持つ人との接点になります。

自社の仕事に関心を持つ人へ、何を伝えるかの整理

「うちの場合は、誰に何を伝えればよいか」という段階から、採用の整理は始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、求める人物像や社員が感じる魅力を整理し、求人原稿、会社説明、受け入れ体制をつなげて考えます。

媒体を変えるべきか、原稿を直すべきか。その手前で、何から整理すればよいかわからないというご相談でも構いません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、自社に合う進め方を考える場として、お気軽にご相談ください。

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