前提

施工管理の主力は50代後半、住宅リフォームの設計は60代の一人体制

目の前の工事は回っていても、数年先を考えると後任を育て始めたい。そんな段階の採用があります。

中部地方で住宅関連工事やリフォームを手がける、ある建設会社も同じ状況でした。施工管理は50代後半のベテラン3人が主力です。その下に40代半ばの社員が1人います。住宅リフォームの設計は、60代の社員が一人で担っていました。

経営者の見立ては、落ち着いたものでした。

「1年とかは、全然問題はないです」 「その1、2年でどうにかなるということはないんですけど」

今すぐ業務が止まるわけではありません。ただ、ベテランが抜けていく時期を考えると、次を担う人は必要です。施工管理では、時期をずらして2人ほど。設計では、住宅設計の経験がある後任を迎えたいと考えていました。

今回整理したいのは、欠員の穴埋めではありません。ベテランが在籍している間に、次の担当者へ仕事をつなぐための採用です。

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課題

欲しい人数は見えていても、教えられる人数と採用時期がつながっていない状態

「何人欲しいか」だけでは、後任採用の計画は決まりません。誰を、どの順番で、いつ迎えられるかまで考える必要があります。

この会社では、施工管理の採用人数について、はっきりした制約がありました。

「一気に2人入られても、多分教育が難しいので、時期をずらしつつ2人ぐらいは取りたい」

未経験者を迎える余地はあります。ただし、同時に何人も教えられるわけではありません。募集を強めて2人採用できたとしても、入社時期まで重なると受け入れが難しくなります。

設計は、また事情が違います。

「あと何年かという形にはなるので、その後任で、住宅の設計をしてきた経験のある方が欲しい」

一人で担っている設計の後任と、複数のベテランがいる施工管理。どちらも大切ですが、引き継ぎの条件は同じではありません。

採用の優先度を尋ねると、経営者は「施工管理と設計の二つ」と答えていました。ここから先は、両方を急ぐという整理だけでなく、それぞれに残された引き継ぎ期間と、社内で教えられる余力を比べることが必要になります。

背景

求人掲載は続けていても、兼務の担当者だけでは数年先の採用まで進めにくい状況

採用が進みにくい背景には、応募の少なさに加え、日々の仕事と並行して採用を動かす難しさがありました。

この会社は、求人媒体に有料で掲載していました。それでも、応募はあまり来ていませんでした。

採用の窓口は役員です。リフォーム店舗の責任者を務め、営業も兼ねています。

「正直、そこまで採用に関しての打ち合わせだったりは、できていないですね」

目の前の仕事が回っていると、数年先の後任採用は、日々の対応の間に進めることになります。必要性はわかっていても、職種ごとの条件を詰めたり、紹介会社と話したりする時間までは取りにくい。そうした事情がありました。

また、経営者は他社の採用事例に対しても、職種の違いを気にしていました。

「募集する職種によっても、難易度って結構違うじゃないですか」

この感覚は、採用要件を整理するうえでも大切です。施工管理は「未経験からでも」と考えている一方、設計は「経験がある方がいい」という希望でした。

同じ後任採用でも、施工管理は育成を前提に候補を広げる採用、設計は住宅設計の経験を確かめる採用です。 一つの募集方針でまとめるより、別々に組み立てたほうが進めやすくなります。

解決

引き継ぎに必要な期間から逆算し、施工管理と設計の採用を段階的に進める計画

採用の出発点は、退職後の補充時期ではなく、後任が仕事を引き継ぐまでに必要な時間です。

この会社でも、具体的な退職日や育成期間までは定まっていませんでした。まずは、そこを確認するところから始められます。人数だけを先に決めず、次の順番で整理すると、募集と受け入れをつなげやすくなります。

まず、設計と施工管理それぞれの引き継ぎの見通しを確認する

年齢だけで採用の順番を決めるのではなく、現在の担当者がいつまで、どの程度仕事を担える見通しかを確認します。そのうえで、後任と一緒に働ける期間を考えます。

設計は一人体制です。住宅設計の経験者でも、自社の仕事を引き継ぐ時間は見込んでおきたいところです。施工管理は未経験者も候補にするため、採用できた時点ではなく、育成を経て担当できるようになる時点を考えます。

一人体制の設計で引き継ぎ期間が短いなら設計を優先し、施工管理の育成に長い期間が必要なら、最初の1人の採用を先行させる。 こうして、引き継ぎの見通しから優先順位を決めていきます。

施工管理と設計で、応募時に求める条件を分ける

施工管理は、未経験者も受け入れる方針です。求人でも、経験や資格を一律に求めるのではなく、未経験から育てる募集であることを明確にします。あわせて、誰が教えられるかも社内で確認します。

設計は、住宅設計の経験が条件です。資格の有無だけでなく、どのような住宅設計に携わってきたかを確認する採用として整理します。

施工管理の間口を広げることと、設計に必要な経験を求めることは、矛盾しません。引き継ぐ仕事に合わせて要件を変える考え方です。

施工管理の2人は、受け入れ状況を見ながら入社時期をずらす

施工管理は、まず1人を迎える計画に分けます。2人目については、最初の1人の育成状況と、教える側の余力を見て入社時期を調整します。

「2人必要だから同時に採る」ではなく、「合計2人を、教えられる順番で迎える」という整理です。募集時点から入社時期を意識しておくと、応募が重なった場合にも判断しやすくなります。

求人掲載に加え、必要な職種では紹介会社との連携も検討する

採用要件と受け入れ時期が見えたら、募集方法を選びます。求人媒体で広く募集する方法を続けつつ、優先度の高い職種では人材紹介会社との連携も選択肢になります。

ただし、窓口を増やすだけでは、兼務の担当者の負担も増えます。求人原稿の見直しや紹介会社との打ち合わせを、誰が継続して担うかまで決めたいところです。社内だけで時間を取りにくければ、その実務を外部と分担する考え方もあります。

採用人数、必要な経験、入社時期、採用活動の担当。この四つをそろえてから募集を動かすことが、段階的な後任採用の土台になります。

まとめ

現在の業務が回っている時期は、後任採用を待てる時期であると同時に、ベテランから引き継げる時期でもあります。

施工管理は未経験者を育てられる。ただし、2人同時の教育は難しい。設計は一人体制で、住宅設計の経験者を迎えたい。このように職種ごとの事情を分けると、必要な採用の形が見えてきます。

最初に確認したいのは、誰の仕事を、いつまでに、どれくらいの期間をかけて引き継ぐかです。その見通しに合わせて、優先順位と人数、入社時期を決めます。

一度に必要人数をそろえることだけが、採用の前進ではありません。教えられる範囲で一人ずつ迎えることも、数年先の体制づくりにつながります。

ベテランから仕事をつなぐための採用計画の整理

「施工管理と設計、どちらを先に採るべきか」という段階から、後任採用の整理は始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場や採用、組織の事情を踏まえて整理し、実行まで支援しています。後任採用では、職種別の要件、教育できる人数、入社時期を一緒に整理し、採用活動を進める体制づくりにつなげます。

「うちの場合は、いつから動けばいいのか」「兼務の担当者だけでは進めきれない」といったご相談でも構いません。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、次の体制を考える整理先としてご相談ください。

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