空調設備の管理と一緒に引き受けている冷却塔の清掃と薬剤処理
空調設備の点検には慣れていても、冷却塔のレジオネラ対策まで自社で評価できるとは限りません。 空調設備と一緒に冷却塔の管理を引き受けている会社では、薬剤メーカーの指示に従って作業しながら、その効果をどう確認すればよいか迷うことがあります。
首都圏で空調設備の保守を手がける、ある設備管理会社も、そうした悩みを抱えていました。主な業務は空調フィルターの交換や空調機の点検で、冷却塔は空調設備の管理に含まれる形で対応しています。
「冷却塔が専門ではないので、空調設備と一緒に任されて、試行錯誤しながらやっています」
冷却塔では、水を抜いて水槽部分を清掃し、ストレーナーを分解して洗うといった作業を行っていました。一方、充填材の洗浄までは管理内容に含まれていないと認識している物件もあり、清掃の範囲を細部まで把握できているわけではありませんでした。
レジオネラ対策については、薬剤メーカーの指示に従って薬剤を投入し、循環させています。ただし、自社内では菌の検査を行っておらず、処理後の菌の状態までは把握できていませんでした。
薬剤を投入した事実だけでは分からない処理後の菌の状態
「薬剤処理を実施したこと」と「菌の状態を検査で確認したこと」は、分けて整理する必要があります。 この会社の悩みも、作業をしていないことではなく、実施した作業の先にある確認方法が分からないことでした。
「言われた通りに薬剤を入れて、一定時間循環させています。ただ、本当に菌がどうなっているのか、自社では検査していないので分からないんです」
指示された処理を行った記録は、何を実施したかを示す情報です。一方、菌の検査結果は、採取した試料について菌の状態を確認するための情報です。薬剤を投入したという事実だけで、安全性まで断定することはできません。
同時に、自社で検査していないことと、物件全体で検査が行われていないことも同じではありません。 発注者や別の管理担当者が検査を手配しているかどうかは、確認が必要です。この会社についても、自社内では検査をしていないと分かる一方、物件ごとの検査の有無や結果までは確認できていませんでした。
まず明らかにしたいのは、「対策が十分か、不十分か」という結論よりも、清掃・薬剤処理・検査のそれぞれについて、何が分かっていて、何が未確認なのかです。
冷却塔を扱う機会が少なく薬剤メーカーの指示が判断の中心になる状況
冷却塔の対応件数が限られると、薬剤処理の手順は分かっていても、その効果を確認するところまで自社の知識がつながりにくくなります。
この会社は複数の建物で空調設備を管理していますが、建物によっては地域冷暖房を利用しており、そもそも冷却塔がありません。空調設備の管理実績があっても、冷却塔を扱う機会が同じように積み重なるわけではないという事情がありました。
「冷却塔の仕事もしていますが、専門としているわけではなく、一緒に発注されるケースがあるということです」
そのため、薬剤についてはメーカーの案内を頼りにし、指定された投入・循環の作業を行う形になっていました。担当者は法令対応のための処理という認識も持っていましたが、どのような処理や確認が必要かを、自社だけで判断できている状況ではありません。
ここで、メーカーの指示に従っていること自体を否定する必要はありません。整理したいのは、薬剤の使用手順を確認する相手と、菌の検査や結果の扱いを確認する相手を、必要に応じてつなぐことです。
実際に、冷却塔の専門業者からは、地域の検査機関と連携して菌の検査に対応できるという説明がありました。自社で検査体制を持つことだけが選択肢ではなく、専門業者や検査機関へ確認する道筋があります。
清掃・薬剤処理・検査の実施状況をそろえてから専門業者へ確認する進め方
最初の一手は、薬剤の量や循環時間を自己判断で変えることではなく、現在の管理内容と未確認事項を整理して相談することです。 検査の要否や方法、結果に応じた対応は、対象の冷却塔や管理状況を伝えたうえで、専門業者・検査機関に確認します。
まずは清掃・薬剤処理・検査を分けて確認する
この会社のように、水槽部分やストレーナーの清掃は把握していても、充填材の洗浄範囲や検査の実施状況が曖昧な場合は、分かる範囲から整理すると相談を進めやすくなります。
- 清掃: どの部分を清掃しているか、充填材などは対象に含まれているか、いつ実施したか
- 薬剤処理: どの薬剤を使い、どの指示に従って投入・循環させているか、いつ実施したか
- 検査: 自社以外も含めて実施しているか、結果がある場合は誰が保管・確認しているか
すべてを最初から埋める必要はありません。「実施していない」と「まだ確認できていない」を区別するだけでも、次に誰へ何を聞けばよいかが見えてきます。
特に検査については、自社に結果がないという理由だけで未実施と判断せず、まず発注者や管理担当者に確認します。結果があれば、薬剤処理や清掃の実施状況と一緒に、相談先へ共有できるようにします。
検査の必要性と方法は現在の管理内容を伝えて確認する
専門業者や検査機関には、「検査を頼みたい」だけでなく、「現在の対策をどう確認すればよいか」を相談することが大切です。
相談時には、冷却塔の用途や台数、把握できている清掃範囲、薬剤処理の内容、検査結果の有無を伝えます。そのうえで、次の点を確認します。
- 現在の管理状況に対して、どのような検査・確認が必要か
- 検査を行う場合、採水の時期や方法、手配をどう進めるか
- 結果をどう読み、清掃や薬剤処理の見直しにつなげるか
薬剤を入れる前後のどの時点で確認するかも含め、自社で決めつけずに相談します。法令上必要となる管理内容についても、担当者の認識だけで完了とせず、対象設備に応じた確認が必要です。
検査結果の確認とその後の対応まで相談範囲に含める
検査を手配できたとしても、結果の意味が分からなければ、もとの「対策の効果が分からない」という悩みが残ります。
検査を相談するときは、結果の説明と、必要な場合の清掃・薬剤処理の見直しまで確認できるかを判断軸にします。 冷却塔の専門業者に検査機関への橋渡しを依頼する場合も、どこまで対応してもらえるかを先に確かめておくと、次の動きが明確になります。
検査結果だけから自社で安全性を断定したり、薬剤の使い方を変更したりするのではなく、結果に応じて何を行い、どのように再確認するかまで相談します。自社ですべてを抱えるより、分からない部分を適切な相手に確認できる状態をつくることが、実務的な進め方です。
まとめ
冷却塔のレジオネラ対策は、薬剤を投入・循環させた事実と、菌の状態を確認することを分けて考えるのが出発点です。 薬剤処理を行っていても、自社に検査結果がなければ、その効果を把握できているとは言い切れません。
まずは、清掃している範囲、薬剤処理の内容、物件全体での検査の有無を整理します。そのうえで、専門業者や検査機関に、検査の要否・方法・結果に応じた対応を確認します。
空調設備が主業務で、冷却塔の対応機会が少ない会社でも、確認先を持つことはできます。「薬剤は入れているけれど、その先が分からない」を、何が未確認で、誰に聞けばよいかが分かる状態に変えることが、次の一手です。
冷却塔の管理で自社が確認すべき範囲を整理したいときに
冷却塔の清掃や薬剤処理は行っていても、検査を誰に相談すればよいか、自社でどこまで確認すべきかが分からないこともあると思います。必要なのは、すぐに管理方法を変えることより、現在の対応と確認が必要な部分を分けることかもしれません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。冷却塔の管理についても、現在の業務範囲や専門業者へ確認したい事項を整理する段階からご相談いただけます。技術的な判定や検査については、専門業者・検査機関への確認事項として切り分けながら進めます。
「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。 無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、現状を整理する相談先としてお声がけください。