住宅の外構を設計から施工まで任される会社の新規開拓
既存顧客から継続して依頼されていても、その理由を新規取引先に説明するのは別の難しさがあります。
兵庫県に拠点を置く、ある外構工事会社。住宅会社から依頼を受け、図面の提案から施工まで対応しています。既存の取引先との関係を築きながら、新しい住宅会社との取引も広げたいと考えていました。
新規開拓への意欲もあります。
「得意ではないんですけど、新しいものをやっていくのが好きなんで。行きたい気持ちはあるんです」
一方で、取引先に自社を紹介するとき、何を前に出せばよいのか。そこには、まだ整理しきれていない部分がありました。
仕事を任される実績はある。けれど、ひと言で伝わる特徴が思い浮かばない。外構の設計も施工も日々きちんと進めている会社ほど、自分たちの仕事を特別なものとして説明しにくいこともありそうです。
「総合的に良い」だけでは伝わりにくい新規営業での強み
課題は、強みがないことではなく、既存顧客の評価を初対面の相手にも分かる言葉にできていないことです。
この会社の代表は、継続して依頼をもらえる理由について、こう話していました。
「それは僕も不思議で、いろいろ聞かせてもらったんですね。営業さんに」
実際に取引先の営業担当者へ尋ねると、返ってきたのは「総合的に良い」という評価でした。設計提案、図面の仕上がり、施工品質。そして、工事完了までの工事のきれいさ。それらを合わせて評価されていたのです。
ただ、代表自身の受け止め方は少し違いました。
「どれも突出はしていないけれど、総合で。特徴がないと言えば、それでおしまいなんですけど」
既存顧客は、実際の図面や完成した外構を知っています。そのため、「総合的に良い」だけでも意味が通じます。
新規取引先には、その共有体験がありません。「総合力があります」と伝えても、何をどこまで任せられる会社なのかは見えにくいままです。経験している相手には通じる評価を、経験していない相手にも判断できる説明へ変える必要があります。
図面の提案から工事完了までを通して積み重なった評価
この会社が評価されていたのは、一つの目立つ特徴よりも、設計から施工までを通した仕事の仕上がりでした。
取引先から聞いた評価について、代表は次のように説明しています。
「質もそうだし、図面の仕上げ、図面の提案も含めて。工事が完了するまでの工事のきれいさだったり。その総合を取って良い、というふうに」
ここで大切なのは、「総合的」という言葉の中に、すでに具体的な評価項目が入っていることです。漠然と好かれている、という話ではありません。
また、この会社は新しい取引でも、設計から関われる相手を重視していました。意匠にこだわる工務店と一緒に仕事をすることにも関心がありました。施工だけでなく、提案する段階から力を発揮したいという考えです。
そのため、自社の強みを施工品質だけに絞ると、実際に評価されている範囲より狭い説明になってしまいます。
ただし、顧客からの「総合的に良い」という評価が、すべての項目で他社を上回る証明になるわけではありません。顧客が評価した事実と、自社が新しい相手に約束できることを分けて整理すると、無理のない営業説明になります。
顧客の評価を分解し、図面と施工事例で伝える営業説明
新しい売り文句をつくる前に、継続発注の理由を整理し、実物で確かめてもらえる形にするのが出発点です。
この会社では、代表がすでに取引先へ評価理由を尋ねていました。まずは、その言葉を営業で使えるところまで具体化していくとよさそうです。
1.「総合的に良い」の中身を、顧客の言葉で確かめる
評価理由を尋ねたときに「総合的に」と返ってきたら、その先を確認します。図面の提案なのか、仕上がりなのか。施工品質なのか、工事完了までのきれいさなのか。どの仕事を見てそう感じたのかまで聞けると、説明の土台ができます。
判断軸は、自社が売りたい特徴ではなく、相手が依頼を続けている理由です。価格や納期が評価されているかもしれないと考えていても、確認できていなければ、今回の強みと混ぜずに扱います。
2.評価項目と、見てもらう資料を結び付ける
この会社であれば、整理する項目は次の四つです。
- 設計提案:どの提案を評価されたのかを、図面とともに説明する
- 図面の仕上がり:実際の図面を見てもらい、仕上がりを確認してもらう
- 施工品質:図面と完成した施工事例を対応させて示す
- 工事完了までのきれいさ:評価された内容を具体的に確認し、説明できる事例と結び付ける
資料は、評価の裏付けとして使います。完成写真があるだけで、工事途中も含めたきれいさまで証明できるとは限りません。見せられる範囲と、顧客の言葉として伝える範囲を分けておくと、説明が誇張されにくくなります。
なお、図面や施工事例を営業資料に使う際は、掲載・提示できる範囲を確認し、顧客や物件を特定する情報にも配慮します。
3.相手が任せたい範囲に合わせて、説明する順番を変える
設計から外構一式を任せたい住宅会社には、提案図面から完成事例までをつなげて説明します。施工を中心に依頼したい相手なら、施工品質や仕上がりを先に示します。
この会社の代表も、工務店の意匠や考え方は「施工例を見れば分かる」と話していました。相手の施工例を見て、どの評価項目から伝えると話が合うかを考える。その順番なら、自社の強みを無理に変える必要はありません。
営業時の説明も、「総合力があります」で止めず、設計提案、図面、施工、工事完了までの仕上がりを通して評価され、継続して依頼されている会社であることを伝えます。そのうえで、対応する図面や施工事例を示します。
まずは、評価理由を説明できる事例から整理する。それだけでも、初対面の相手が自社の仕事を判断する材料になります。
まとめ
「総合的に良い」は、特徴がないという結論ではなく、強みを具体化するための入口です。
この外構会社では、代表が顧客に尋ねたことで、設計提案、図面の仕上がり、施工品質、工事完了までのきれいさが評価されていると分かりました。
次に必要なのは、それぞれの評価を図面や施工事例と結び付けることです。そして、新しい取引先が任せたい仕事に合わせて説明することです。
突出した特徴を無理につくるより、すでに選ばれている理由を確かめる。そこからなら、日々の仕事とかけ離れない言葉で、自社の良さを伝えられそうです。
継続して選ばれる理由を、新しい取引先に伝えるために
「うちの場合は何を強みとして伝えればよいか」という段階から、営業の整理は始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。新規開拓でも、まず既存顧客からの評価や施工実績を確認し、どの相手に何を伝えるかを一緒に整理します。
自社の良さは分かっているけれど言葉にできない。図面や施工事例をどう営業に生かせばよいか迷っている。そんな段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、次の整理先としてお声がけください。