施工体制が広がり、次の成長に向けて自社営業を検討する専門工事会社
施工を受け止める体制は広がってきた。次は案件を増やしたい。ただ、以前使った営業代行には手応えがなかった。そんな段階にある会社からの相談です。
山梨県に拠点を置く、従業員7名ほどの専門工事会社です。解体や足場を中心に、複数の工事に対応しています。協力会社や継続して入る一人親方も含めると、20名前後で動く体制があります。
今期の売上は3億円前後を見込み、数年後には8億円規模を目指しています。案件が増えた場合の施工対応について、社長は「全然問題ないです」と話していました。
一方、新規開拓を担う自社営業は、これから整えようとしているところです。建設業向けのマッチングサービスでは受注につながることもありますが、成長目標に向けて別の動きも考えています。
そこで候補に挙がったのが、営業担当を自社に置く方法でした。その背景には、電話と問い合わせフォームによる営業代行を利用した経験があります。
期待した打ち合わせが増えず、営業活動も直接つかみにくかった状況
自社営業を考える理由は、成果への不満だけでなく、「何をしているかを近くで見たい」という思いにもありました。
以前の営業代行について、社長はこう振り返ります。
「それだけ動いているなら、月に数件はあるかなと思っていたんですけど」
実際の打ち合わせは、約1年間で十数件ほどだったといいます。毎月安定して入るわけでもありませんでした。
「まとめて2、3件来るときもあれば、1か月、2か月、何もないこともあって」
さらに、外注先に電話してもつながらないことがあったそうです。成果が出ていないときほど状況を聞きたい。その連絡が取りづらいと、続けるべきか、変えるべきかの判断も難しくなります。
「それだったら、自分のところに一人いたほうが、すぐ見られるじゃないですか」
この言葉には、自社営業に求めるものが表れています。営業担当が近くにいれば、活動状況を確かめやすい。話し方や進め方も直接確認できます。
ただし、活動を見やすくすることと、必要な案件を獲得できることは、分けて考えたいところです。担当者を社内に置くだけで、以前の成果不足まで解消できるかは、まだわかりません。
「仕事があれば」から、県内で現場数の多い営業先へ具体化した希望
営業代行の成果を振り返るには、活動量だけでなく、「どこに、何を伝えていたか」の確認が必要です。今回の相談でも、営業先の条件は話を重ねる中で具体的になりました。
当初、社長の希望は「仕事であれば」「来れば何でも」というものでした。大手か地場の会社かにも、強いこだわりはありませんでした。
その後、伸ばしたい工事として解体が挙がります。案件金額が比較的大きく、売上拡大につながると考えていたためです。ただし、解体の対応エリアは基本的に県内です。県外での対応には、許可などの確認も関わります。
さらに、付き合いたい会社について尋ねると、現場数の多い会社が候補に挙がりました。解体だけでなく、足場の仕事でも入れる可能性がある相手です。
「解体を月に何件も受けられなくても、足場では受けられるので」
同社には、解体と足場をまとめて頼める強みがあります。元請けが工種ごとに別の会社へ連絡しなくても、社内で職人同士の調整を進められる。社長は、その良さを「元請けさんからすれば、楽」と表現していました。
こうした条件がそろうと、営業先の選び方も、伝える内容も変わります。
ただ、以前の営業代行が、この条件をどこまで踏まえていたかは確認できていません。打ち合わせ件数の見込みについても、社長の期待と外注先の説明が、どの程度一致していたかは不明です。
成果が少なかったという事実だけで、原因を外注先の実行力に絞らないことが、次の選択に役立ちます。営業対象や伝え方、成果の捉え方まで確認してこそ、自社営業へ引き継ぐべき課題も見えてきます。
過去の活動を確かめ、必要な案件量と立ち上がりまでの時間で選ぶ営業体制
内製か外注かを先に決めるより、過去の活動と今後必要な案件量を整理すると、選びやすくなります。進め方は、大きく三つに分けられます。
まず、成果不足の中身を確認する
以前の活動記録や報告が残っていれば、次の点を確かめたいところです。記録がなければ、「確認できていない項目」として残しておきます。
- 営業対象:対応エリア内で、解体や足場を発注する可能性のある会社だったか
- 活動内容:電話と問い合わせフォームで、それぞれどこに、どの程度働きかけたか
- 打ち合わせの定義:何をもって1件と数えていたか。案件の相談ができる相手だったか
- 結果の共有:接触先の反応や、打ち合わせに至らなかった理由まで把握できたか
- 連絡体制:状況確認や方針変更を、誰に相談できる状態だったか
ここで大切なのは、過去の外注先を評価し直すことだけではありません。自社で営業する場合にも、同じ項目を確認できる状態にすることです。件数だけを見ていると、担当者が社内にいても、どこを変えればよいかは見えにくいままです。
次に、成長目標を必要な案件量へ置き換える
売上目標があっても、それだけでは営業担当に必要な活動量を伝えきれません。
まず、既存の取引先からどの程度の売上を見込めるかを整理します。そのうえで、不足分を解体や足場の新規案件でどれだけ補いたいのかを考えます。案件の大きさには幅があるため、実際の受注実績をもとに置くのがよさそうです。
打ち合わせ件数も、受注につながったかを合わせて見ます。以前の十数件について、見積もりや受注に進んだ件数がわかれば、次の営業計画の手掛かりになります。
「月に何件会いたいか」ではなく、「必要な受注をつくるために、どれだけの接点が要るか」から考えるのが判断の土台です。
最後に、採用・育成期間も含めて体制を比べる
自社営業は、日々の活動を把握し、直接話し合いながら進めたい会社に合う選択肢です。一方、採用できるまでの時間と、入社後に自社の工事や営業先を理解してもらう時間は必要です。即戦力を採れるかどうかも、現時点では確定していません。
外注を再検討するなら、「以前とは違います」という説明だけでは判断しづらいでしょう。今回の相談でも、解体を入口に、具体的な営業候補先と実行内容を確認してから判断する方向になりました。
候補先が対応エリアに合っているか。既存取引先と重複していないか。解体と足場をまとめて頼める強みを、どう伝えるのか。そこまで見れば、任せる価値を考えやすくなります。
併用も、必要な案件量に対して自社営業の立ち上がりが間に合うかを見て検討する選択肢です。ただし、外部が早く動けるとしても、受注まで早いとは限りません。役割や結果の共有方法を確認する必要があります。
内製は活動の見やすさ、外注は提案内容と実行体制、併用は役割分担と連絡のつながりを確かめる。同じ成長目標に対して比べると、選択が感覚だけになりにくくなります。
まとめ
営業代行で期待した打ち合わせが増えなかったとき、自社営業への切り替えは十分に検討できる選択肢です。ただ、所属先を変える前に、成果不足の中身を整理しておきたいところです。
今回の会社では、活動状況を直接確認したいという希望がありました。同時に、県内で現場数が多く、解体と足場の両方で取引できる相手という、営業先の条件も見えてきました。
まずは過去の営業対象、活動内容、打ち合わせの定義、結果の共有、連絡体制を確認する。次に、成長目標に必要な案件量を整理する。そのうえで、営業担当の採用・育成期間も含めて比べる。この順番なら、自社に合う体制を考えやすくなります。
外注を再び使う場合も、具体的な営業先と実行内容を見てから決めて構いません。大切なのは、内製か外注かという名前より、必要な案件に向けて、活動を把握しながら改善できる体制かどうかです。
自社営業を置く前に整理したい、開拓先と任せる範囲
「うちなら誰に営業するのがよいか」「一人採用する前に、何を決めておくべきか」という段階から、整理を始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業体制についても、増やしたい案件、対応できる施工範囲、社内に任せたい役割を踏まえ、自社営業・外注・併用の選択肢を一緒に考えます。
まだ外注するか決まっていなくても大丈夫です。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、次の一手を整理する機会としてご相談ください。