前提

新規開拓を増やしたい一方で、営業代行の再活用には慎重な測量会社

新しい取引先は増やしたい。ただ、以前と同じように外部へ任せてよいのか。その判断材料を求めている会社の相談です。

関西を中心に、広域で測量業務を手がける10名ほどの会社です。道路や河川の測量を得意とし、大規模な造成に携わった経験もあります。時期や条件による制約はあるものの、新しい仕事を受ける余地はありました。

そこで検討していたのが、地場の建設会社などへの新規開拓です。ただ、営業代行の利用は初めてではありませんでした。

「以前も何度か営業代行を活用したんですけど、成果につながらなかった苦い思いがあるんです」

新規開拓の必要性は感じています。それでも、費用をかけて同じ結果になることは避けたい。まず確かめたいのは、外部へ任せることで、自社だけでは進めにくい何が動くのかという点でした。

課題

「社長が自分で電話する場合との違い」が見えない営業代行

アポイントが取れるかどうかだけでは、営業代行へ任せる価値は判断しきれません。接点をつくった後まで含めて、何を担うのかを確認する必要があります。

社長が投げかけたのは、率直な疑問でした。

「僕がそのリストをもらって、片っ端から電話した場合と、何が変わるんですか」

電話をして、面談の約束を取る。その結果だけを見れば、社長自身が行う場合と外部が行う場合で、必ず違いが出るとはいえません。外部へ頼めば、すぐに発注を判断する相手につながるとも限りません。

継続して電話することへの懸念もありました。粘り強い連絡と、相手に迷惑だと感じられる連絡は、表裏一体ではないかという問いです。

さらに社長は、アポイントが取れた後の動きを確認しています。誰が面談に出るのか。社長が工事対応で動けないときはどうするのか。面談の結果をどのように受け取れるのか。

つまり、求めていたのは電話の代行だけではありません。自社に合う相手を探し、業務を説明し、見積もりの機会へ進める一連の動きが、どこまで任せられるかという確認です。

背景

「測量」という業種名だけでは伝わらない専門性と受け方の違い

営業活動を任せるには、業種名の理解だけでなく、自社が何を提供し、どのような仕事を受けたいのかまで共有する必要がありました。

社長は、自社の仕事についてこう話しています。

「ニッチな仕事なので、説明しないと分かってもらえないところがいっぱいあるんです。測量といっても、畑がいろいろ違いますから」

実際、比較対象として示された会社にも認識のずれがありました。測量を営業品目に掲げていても、主力は別の工事で、その工事に必要な測量を行う会社もあります。従業員数や売上規模が近くても、同じ事業構造とは限りません。

受けたい仕事の形にも違いがあります。この会社が増やしたかったのは、自社の技術を評価してもらい、業務を任せてもらえる仕事でした。一方、工事の中に測量要員として入り続ける仕事は、安定収入にはなるものの、人がその現場に取られる面があります。社長にとっては、どちらも同じ「新規案件」ではありませんでした。

また、既存の好条件の仕事は、技術への評価や信頼関係があって成立しているという認識もありました。似た事業を営む会社に連絡すれば、同じ条件で受けられるとは考えていなかったのです。

なお、以前の営業代行が成果につながらなかった原因は、この相談では特定されていません。専門性の理解不足が原因だった、と決めつけることもできません。

ここから読み取れるのは、次の依頼先を選ぶときには、アポイント数の前に「何を受注するための営業か」を合わせる必要があるということです。

解決

見積もり機会までの実務を確かめ、社長と代行側の分担を決める進め方

再検討では、専門業務の説明、継続的な連絡、面談対応、記録の共有をひと続きで確認します。任せる範囲と社長に残る仕事が見えれば、自社で進める場合とも比較しやすくなります。

自社の仕事と、狙う相手の理解を確かめる

最初に確かめたいのは、代行側が自社の業務と受けたい仕事の違いを説明できるかです。

この会社であれば、測量が主力の会社と、別の工事に付随して測量を行う会社の違いが出発点になります。そのうえで、技術を評価して業務を任せてくれる相手を探すのか、現場に継続して入る仕事を探すのかを合わせます。

リストは、件数の多さだけで評価しないほうが整理しやすくなります。既存の取引先に似ているという理由だけでなく、なぜその会社に自社の業務を発注する可能性があるのかを、代行側と確認します。比較対象として調べた会社なのか、実際に連絡する候補なのかも分けておきたいところです。

「測量の会社を知っている」ではなく、「自社のどの業務を、誰に提案するかが合っている」ことが判断の土台です。

電話の回数ではなく、継続して動ける内容を確かめる

外部へ任せる価値の一つは、連絡や追客を継続するための時間を確保できることです。

たとえば、受付で「担当者は夕方に戻る」「午前中ならいる」と聞けたとき、その情報に合わせて連絡できるか。初回の面談後も、継続して状況を確認できるか。こうした実務まで具体的に聞くと、単に電話件数を増やす支援との違いが見えてきます。

同時に、社長が懸念していた連絡頻度の扱いも確認します。相手の反応を踏まえず、同じ連絡を重ねる運用では困ります。どのような反応があったときに、次の連絡をどう判断するのかまで話しておくことが大切です。

社長自身でこの活動を続けられるなら、外部へ任せる必要性は小さくなります。逆に、電話する時間は取れても、その後の連絡が続かないのであれば、そこが分担を考える対象になります。

初回の面談で確認項目と役割を合わせる

面談対応は、最初から全面的に任せるか、すべて社長が出るかの二択にしなくても構いません。

相談の中では、初回は社長と代行側が同席し、どのような点を確認するのかを共有する進め方が示されていました。その後、社長が工事対応で出られない場合には、代行側だけで面談し、必要情報や議事録を共有する形です。

この会社なら、少なくとも次の点を確認項目としてそろえたいところです。

  • 自社が提供する測量業務を必要としているか
  • 希望する業務の任せ方と、相手の依頼内容が合うか
  • 対応エリアや時期が合い、見積もりに参加できる可能性があるか

代行側が説明・確認できる範囲と、社長への確認が必要な範囲を分けます。社長の出席回数を減らすことより、社長が出なくても必要な情報が戻る状態をつくることが先です。

アポイントから見積もりまでの進捗を共有する

成果の確認は、電話件数とアポイント数だけで終わらせないようにします。

連絡先ごとの反応、面談で分かった依頼内容、見積もり参加の可否、次の連絡予定まで共有されれば、どこで進み、どこで止まっているかが分かります。相談でも、管理表や営業支援ツール、議事録を通じて活動を見えるようにする案が示されていました。

まず確かめたいのは、ツールの種類よりも記録の中身です。面談は増えているが希望する仕事とは違うのか。相手は合っているが、まだ見積もりの機会がないのか。それによって、リストを見直すのか、説明内容を合わせるのか、追客を続けるのかが変わります。

受注の有無に加え、見積もり機会まで何が進んだかを見られることが、継続や見直しを判断する材料になります。

まとめ

営業代行で成果が出なかった後は、「次なら成果が出るか」という約束だけでなく、前回とは何を確認し、どの実務を任せるのかを具体化することが再検討の出発点です。

今回の会社では、専門業務の違い、希望する仕事の受け方、電話を続けることへの懸念、面談後の動きが判断材料になっていました。

まずは、自社が受けたい仕事を共有できるか。次に、連絡から面談、追客まで誰が担うか。そして、その活動が見積もり機会へどう進んでいるかを確認できるか。この順番で整理すると、社長自身が動く場合との違いも見えやすくなります。

過去の原因を無理に決めつける必要はありません。次に任せるなら何を見える状態にしておきたいかを、具体的にするところから始められます。

自社で続ける営業と、外部に任せる営業の整理先

営業代行を使うか決める前でも、受けたい仕事と営業実務の分担から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。新規開拓についても、増やしたい取引先や案件の条件を確認し、自社で担う部分と外部を活用する部分を一緒に考えます。

「うちの場合、社長が動くのと何が違うのか」「以前の経験を踏まえ、何から確認すればよいか」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、次の進め方を整理する場としてご活用ください。

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