機器販売を軸に、通信工事の設計と施工管理を担う25名規模の会社
工事を増やしたいといっても、増やしたいのは職人の応援依頼ではなく、構成設計から工事全体を任される仕事です。 兵庫県に拠点を置く、従業員25名ほどの会社から寄せられた相談には、この違いがはっきり表れていました。
主力は情報機器の販売で、工事は販売した機器の設置や導入に伴うものが中心です。無線LAN、防犯カメラ、電子黒板などを扱い、工事部門では経営者自身が設計と施工管理を担当し、現場の施工は協力会社に依頼しています。
対応できるのは、決まった機器を取り付ける作業だけではありません。顧客との打ち合わせから構成を考え、仕様をまとめ、機器を調達し、配線や取り付け、設定までを一貫して進められる体制です。病院の無線LANを設計した経験もあり、メーカーから案件への協力を求められることもあります。
一方、既存の機器販売には需要の波があり、それに付随する工事も影響を受けます。そこで、販売に伴う工事だけに頼らず、新しい取引先から工事を受ける道を広げたいと考えていました。
設計から任されたいのに、紹介されるのは職人を求める会社ばかりというずれ
新規開拓の課題は、候補企業が少ないことよりも、自社が担いたい役割と相手が発注したい内容が合っていないことでした。
この会社は、以前にも外部の営業支援を利用していました。その際には、システム会社や機器販売会社など、通信設備の導入に伴って工事を発注する企業との接点を求めていました。職人の応援を募集している会社は、対象から外してほしいと伝えていたそうです。
ところが、届いた候補一覧の大半は、現場で作業する人手を求める会社でした。自社の希望に近い候補はごく一部で、そこへ連絡しても返答がなく、開拓が進まない状態になっていました。
同じ「電気通信工事の協力会社を探している企業」でも、必要としているものは異なります。仕様が決まった現場で施工する人手が欲しい企業と、無線LANや防犯カメラの構成から相談したい企業では、求める相手が違います。
この会社の希望は、「こんな仕事があるので、ゼロから考えて任せたい」という依頼でした。工種だけで候補を集めると、この違いが一覧に反映されず、紹介件数が増えても受けたい仕事には近づきません。
機器販売の需要変動と、設計・調達まで担える強みが生きにくい営業先選び
既存事業の需要の波を和らげるには、取引先の数だけでなく、工事が発生する経路を広げる必要があります。 この会社にとっては、機器販売に付随する工事とは別に、設計や施工管理を必要とする相手との関係をつくることが、その方向性でした。
これまでの工事は、システム会社や情報機器の販売会社からの依頼が中心でした。すでに、機器を導入したい顧客と、工事を具体化できる同社が組む形はできています。新規開拓でも、この役割が必要とされる相手を探すことが出発点になります。
候補として挙がっていたのが、工場や倉庫を顧客に持つ電気工事会社です。既存の顧客から無線LANや防犯カメラの相談を受けても、構成設計や機器の選定まで自社で対応するとは限りません。そこを補完できれば、単に施工する人手としてではなく、通信設備をまとめて任せられる相手として接点を持てます。
もう一つが、メーカーやシステム会社です。実際に、無線アクセスポイントのメーカーから、一緒に案件を進めてほしいという話がありました。施工を依頼できる会社がいても、ネットワーク設計を担う相手を必要としている場合には、同社の経験が生きます。
ただし、工場や倉庫を顧客に持っていることや、通信機器を扱っていることだけで、依頼が見込めるとは限りません。相手の顧客層に加えて、設計・調達・施工管理のどこを外部に任せたいのかまで確認して、初めて営業先としての相性が見えてきます。
顧客層・依頼範囲・対応エリアで、設計力が必要とされる相手を絞る進め方
先に「何を任されたいか」を整理し、その役割を必要とする企業が対応エリア内にどれだけあるかを調べる順番が適しています。 会社名を大量に集めてから選別するより、候補に含める条件をそろえておくことで、以前のようなずれを減らせます。
受けたい仕事と、対象外の依頼を分ける
まず整理したいのは、設計から施工まで一貫して受ける仕事と、施工だけを受ける仕事の扱いです。この会社も、施工のみの依頼を一律に断りたいわけではありません。施工管理を担う形であれば、受ける余地があると考えていました。
そのため、「設計を含まない案件はすべて対象外」とすると、希望以上に営業先を狭めてしまいます。区別したいのは、設計の有無だけでなく、工事をどの立場で任されるかです。
- 優先したい仕事:無線LANや防犯カメラの構成設計、機器調達、施工管理まで任される依頼
- 検討できる仕事:設計は別でも、施工管理を担う形で受ける工事
- 対象外にしたい依頼:仕様が決まった現場への、職人の応援を求める依頼
この区分を社内や営業支援先と共有しておけば、「電気通信工事がある会社」という広すぎる条件から一歩進めます。
候補企業は、業種と発注ニーズを組み合わせて見る
営業先の候補は、大きく二つに整理できます。一つは、工場・倉庫などの顧客を持つ電気工事会社です。もう一つは、通信設備の導入案件を持ち、設計や現地工事を補完するパートナーを必要とするメーカー、メーカー系の工事会社、システム会社です。
前者では、既存顧客から通信設備の相談があるか、その対応をどこに任せているかが判断材料になります。後者では、案件の中で構成設計から任せる余地があるか、施工管理まで含めた協力先を必要としているかが重要です。
提案内容も、「通信工事に対応できます」だけでは違いが伝わりません。無線LANや防犯カメラについて、構成を考え、機器をそろえ、協力会社による施工と設定までまとめられることが、相手にとっての依頼理由になります。 病院などでのネットワーク設計経験も、その範囲を説明する根拠として使えます。
対応エリアを重ね、候補の認識を合わせてから動く
営業先を絞る際には、顧客層と依頼範囲に対応エリアを重ねます。この会社も、近隣であれば動きやすい一方、遠方へ頻繁に出向くことは難しいという条件がありました。相手企業の所在地だけでなく、実際の施工先がどこにあるかまで見る必要があります。
進め方としては、まず上記の条件で候補企業を調べ、どの程度の候補があるかを確認します。そのうえで、候補の一覧が自社の想定と一致しているかを確かめ、具体的なアプローチに進む流れです。
外部の営業支援を使う場合も、最初に確認したいのは紹介できる件数ではありません。「この会社は、なぜ候補なのか」「どの役割を任せてもらう想定なのか」を共有できるかが判断軸になります。公開情報だけでは分からない発注範囲は、接点を持った段階で確認し、候補選びに反映していきます。
なお、この整理は受注につながる可能性を見極めるためのもので、案件獲得を保証するものではありません。だからこそ、初めから対象が十分にあると決めつけず、調査と認識合わせを挟むことに意味があります。
まとめ
設計から任される工事を増やす新規開拓では、工種の一致よりも、自社が担いたい役割と相手の発注ニーズの一致を優先します。
機器販売の需要変動を受けやすい会社でも、無線LANや防犯カメラの構成設計、機器調達、施工管理まで対応できるなら、その力を必要とする別の受注経路を検討できます。工場・倉庫を顧客に持つ電気工事会社や、設計を補完する相手を探すメーカー・システム会社は、その候補です。
最初の一歩は、受けたい仕事、検討できる仕事、対象外の依頼を分けることです。そこに顧客層と対応エリアを重ねれば、営業先の選び方が具体的になります。候補の数を増やす前に、どんな依頼なら自社の強みが生きるのかをそろえることが、開拓を進める土台になります。
設計から任される取引先を、一緒に整理するために
「うちの技術は、どんな会社に必要とされるのか」という段階から、開拓先を整理できます。 自社でできることは説明できても、営業先の条件に落とし込むところで迷うことはあります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、方針づくりから実行まで支援しています。取引先開拓では、増やしたい工事と担いたい役割を確認し、候補企業の調査、アプローチまでつなげていきます。
何から整理すべきかが決まっていなくても構いません。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、自社に合う開拓先を考える際の整理先としてご相談ください。