三菱ふそうトラック・バス株式会社は、令和8年10月8日、国土交通大臣に対して「ふそうキャンター」「ふそうファイター」「ふそうスーパーグレート」に関するリコールを届け出ました。対象は計90型式・3車種、合計29,418台です。リコール開始日は令和8年10月9日です。
届出者 | 三菱ふそうトラック・バス株式会社 |
リコール届出日 | 令和8年10月8日 |
リコール開始日 | 令和8年10月9日 |
リコール届出番号 | 5886 |
対象車種 | ふそうスーパーグレート、ふそうファイター、ふそうキャンター |
対象台数 | 計29,418台 |
対象型式 | 計90型式 |
不具合部位 | 後退時車両直後確認装置(リヤビューカメラ) |
不具合件数 | 318件 |
事故の有無 | なし |
改善措置 | リヤビューカメラのシリアルナンバーを確認し、不具合品が装着されていた場合は対策品に交換。必要に応じて取り付け角度を調整 |
今回の不具合は、リヤビューカメラのソフトウェアが不適切なため、カメラ起動時に内部データが破損し、映像信号を正常に出力できないことがある、というものです。その結果、後退時にリヤビューモニターへ車両後方の映像が映らず、保安基準に適合しない状態となるおそれがあります。
建設会社にとって、キャンターやファイターは資材運搬、現場移動、重機・機材の搬送などで日常的に使われる車両です。今回のリコールは、単なる車両整備の話にとどまりません。現場内の後退事故防止、車両管理台帳の整備、点検・修理の段取りに関わる実務情報として見ておくべき内容です。
まず確認すべきは、自社車両が対象に含まれるかです
今回の対象車は、三菱ふそうの以下3車種です。
- ふそうスーパーグレート
- ふそうファイター
- ふそうキャンター
製作期間の全体範囲は、令和6年3月25日から令和8年1月21日までとされています。ただし、国土交通省の資料では、リコール対象車の車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合があると注意されています。
そのため、該当しそうな車両を保有している会社は、車名や年式だけで判断せず、次のいずれかで確認するのが確実です。
- 販売店へ確認する
- 届出者である三菱ふそうトラック・バスへ確認する
- メーカー等のホームページにあるリコール等対象検索で確認する
特に中小建設業では、社長車・現場車・資材車・リース車両が混在していることもあります。「誰がどの車両のリコール確認をするのか」が曖昧な会社ほど、まず保有車両一覧と車検証情報を確認することが大切です。
今回の不具合は「後退時の見え方」に関わります
不具合部位は、後退時車両直後確認装置、つまりリヤビューカメラです。
国土交通省の資料では、リヤビューカメラ起動時に内部データが破損し、映像信号を正常に出力できないことがあるとされています。その場合、後退時にリヤビューモニターへ車両後方の映像が映らない可能性があります。
建設現場では、後退時のリスクが高くなりやすい場面が多くあります。
- 資材置き場での切り返し
- 狭い現場内への進入
- 作業員や協力会社車両が近くにいる場所での後退
- 仮囲いや重機で死角が増える場所での車両移動
今回の発表では事故はないとされていますが、カメラやモニターに頼り切った後退確認になっている場合は、現場ルールを見直す良い機会です。
リコール対応が完了するまでの間は、少なくとも次のような基本動作を再確認しておくとよいでしょう。
- 後退前にモニターが正常に映るか確認する
- 映像が映らない場合は無理に後退しない
- 死角が大きい場所では誘導者をつける
- 窓・ミラー・目視による確認を省略しない
- 現場入場時に車両後退ルールを共有する
重要なのは、リコール修理はメーカー対応、事故防止は会社の運用対応だという切り分けです。どちらか一方ではなく、両方を進めることで安全水準が上がります。
修理内容は「確認して、必要なら交換」です
改善措置の内容は、全車両についてリヤビューカメラのシリアルナンバーを確認し、不具合品が装着されていた場合は対策品に交換する、というものです。取り付け角度に調整が必要な場合は、調整も行われます。
つまり、対象範囲に入る車両であっても、実際の作業内容は車両ごとの確認結果によって変わる可能性があります。
建設会社としては、次の流れで進めるのが現実的です。
- 保有車両・使用車両の中に三菱ふそう車があるか確認する
- キャンター、ファイター、スーパーグレートがあれば車台番号を確認する
- 販売店またはメーカー検索でリコール対象か確認する
- 対象であれば、稼働予定を見ながら入庫日程を調整する
- 修理完了後、車両管理台帳や点検記録に残す
特に現場稼働率の高い会社では、車両を急に止めることが難しい場合があります。だからこそ、対象確認を早めに行い、繁忙日・搬入日・遠方現場の予定と重ならないように修理日程を組むことが実務上のポイントになります。
車両管理は「台帳があるか」より「動く仕組みがあるか」です
今回のようなリコール情報が出たとき、会社ごとの差が出るのは車両管理の仕組みです。
車両台帳があっても、更新されていなければ使えません。逆に、簡単なExcelやスプレッドシートでも、車台番号、使用部署、担当者、車検日、点検状況、リコール確認状況が管理されていれば十分に機能します。
中小建設業で最低限押さえておきたい項目は、次のようなものです。
- 車名・型式
- 車台番号
- ナンバー
- 使用現場または使用部署
- 管理担当者
- 車検満了日
- 定期点検日
- リコール確認日
- リコール対応状況
- 修理・交換の完了日
今回の発表をきっかけに、車両管理台帳に「リコール確認欄」を追加するだけでも、次回以降の対応スピードは大きく変わります。
建設業の安全管理というと、どうしても作業手順書やKY活動に意識が向きがちです。しかし、現場を支える車両の状態も、安全の土台です。車両・人・現場を分けて考えず、一体で管理する視点がこれからさらに重要になります。
経営者が見るべきポイントは「修理」だけではありません
今回のニュースから、中小建設業の経営者が見るべきポイントは3つあります。
1つ目は、対象車両の有無を早く確認することです。これは安全面だけでなく、稼働計画を守るためでもあります。
2つ目は、後退時の安全確認が機械任せになっていないかを点検することです。カメラは有効な補助装置ですが、万能ではありません。映像が映らない、死角が残る、雨や汚れで見えにくいといった前提で、現場ルールを整えておく必要があります。
3つ目は、リコールや点検情報を社内で拾える仕組みを持つことです。車両台数が増えるほど、社長や総務担当者の記憶だけでは限界があります。車両管理を属人的にしないことが、結果として事故防止と稼働安定につながります。
リコールは、メーカー側の不具合対応であると同時に、自社の管理体制を見直す機会でもあります。今回の発表を「該当するかどうか」だけで終わらせず、車両管理と後退時安全確認の再点検につなげることが大切です。
自社の車両管理と安全運用を整理する機会に
今回のようなリコール対応は、単発の確認で終わらせることもできます。ただ、建設会社にとって車両は、現場を動かす重要な経営資産です。保有台数が増えるほど、車検、点検、修理、保険、事故防止、ドライバー管理を一体で見ていく必要があります。
「うちの車両台帳で十分なのか」「リコール情報を誰が確認するべきか」「現場の後退ルールをどう整えるべきか」など、整理したい論点が出てきた場合は、外部の視点を入れて棚卸しするのも一つの方法です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。車両管理や安全運用も、現場任せにせず、会社として無理なく回る仕組みにしていくことが重要です。
「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の相手が必要なときは、お問い合わせはこちらからご相談ください。