三菱ふそうトラック・バス株式会社は、令和8年10月8日、国土交通大臣に対して「ふそうスーパーグレート」のリコールを届け出ました。対象は大型トラクタ等のけん引車両で、ASAMという電装品制御モジュールの制御プログラムが不適切なため、走行中に運転者が操作していないにもかかわらず、トレーラ側のハザードランプとバックランプが瞬間的に点灯し、バックブザーが鳴るおそれがあるとされています。
届出者 | 三菱ふそうトラック・バス株式会社 |
リコール届出日 | 令和8年10月8日 |
リコール届出番号 | 5884 |
リコール開始日 | 令和8年10月9日 |
対象車種 | 三菱「ふそうスーパーグレート」 |
対象型式 | 計12型式 |
対象台数 | 計2,293台 |
製作期間の範囲 | 令和2年1月22日~令和4年5月26日 |
不具合部位 | 電気装置(ASAM) |
不具合件数 | 32件 |
事故の有無 | なし |
改善措置 | ASAMの制御プログラムを書き換え、該当する場合は過去リコールで追加したハーネスを切断 |
建設会社にとっての論点は「対象車両があるか」だけではありません
今回のリコールは、建設業そのものを対象にした制度改正ではありません。ただし、建設会社にとっては軽く見ない方がよい情報です。
理由は、対象が大型トラクタ等のけん引車両であり、資材運搬、重機回送、産廃・建設副産物の運搬、長距離輸送などで関係する可能性があるためです。
自社で該当車両を保有していない場合でも、協力会社や運送会社が使用している車両が対象になる可能性があります。現場の安全管理を考えるうえでは、「自社の車両ではないから関係ない」と切り分けすぎない方がよい内容です。
不具合の内容は、現場周辺の誤認につながり得ます
公表内容によると、対象車両では走行中に運転者が操作していないにもかかわらず、10分ごとに1回、トレーラ側のハザードランプとバックランプが瞬間的に点灯し、バックブザーが鳴るおそれがあります。
事故は「なし」とされていますが、建設現場や資材置場、狭い搬入路では、ランプやブザーは周囲の作業員・誘導員・他車両にとって重要な判断材料です。
特にバックランプやバックブザーは、「車両が後退する」「後退準備に入った」と受け取られやすい信号です。実際には後退していなくても、周囲が誤認すれば、誘導や動線に乱れが出る可能性があります。
中小建設企業としては、今回の情報を車両そのものの故障情報ではなく、現場の合図・誘導・安全確認に関わる情報として捉えるとよいです。
まず確認したいのは車台番号と製作期間です
今回の対象は、三菱「ふそうスーパーグレート」の計12型式、合計2,293台です。製作期間の全体範囲は令和2年1月22日から令和4年5月26日までとされています。
ただし、国土交通省の資料では、リコール対象車の車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合があると注意書きされています。
そのため、実務上は次の順番で確認するのが確実です。
- 自社の車両台帳で、三菱「ふそうスーパーグレート」の保有有無を確認する
- 型式・車台番号・製作時期を確認する
- 販売店、届出者、またはメーカー等ホームページの検索画面で対象有無を確認する
- 対象の場合は、リコール作業の実施予定を確認する
- 協力会社が該当車両を使っている場合は、対応状況を確認してもらう
ポイントは、「車種名だけで判断しない」ことです。対象型式や車台番号の確認まで進めて、対象かどうかを確定させる必要があります。
今回の改善措置はプログラム書き換えが中心です
改善措置の内容は、全車両についてASAMの制御プログラムを対策仕様に書き換えることです。
また、過去の届出番号4918で追加したハーネスが回路に組み込まれている場合は、当該ハーネスを切断するとされています。
今回のリコールは、令和3年3月26日付の届出番号4918、令和3年11月1日付の届出番号5042でリコール届出を行ったものについて、大型トラクタ等のけん引車両で新たな不具合が判明したため、対策を行うものとされています。
ここから読み取れる実務上の示唆は、一度リコール対応をした車両でも、追加対策の対象になる場合があるということです。
「前に対応済みだから大丈夫」と考えるのではなく、今回の届出番号5884として改めて対象有無を確認するのが安全です。
車両管理は、台帳整備と連絡経路の整備が差になります
リコール情報への対応は、日々の運行管理や現場管理の中では後回しになりがちです。しかし、車両を使う事業では、こうした情報を拾える会社と拾えない会社で、安全管理の精度に差が出ます。
中小建設企業で見直したいのは、次の3点です。
- 車両台帳に型式・車台番号・購入先・整備先が整理されているか
- リコール通知が届いたときに、誰が確認し、誰が整備手配するか決まっているか
- 協力会社の車両についても、必要に応じて安全上の確認を依頼できる関係性があるか
今回のようなリコールは、単発のニュースとして流すよりも、車両管理の仕組みを点検するきっかけにした方が価値があります。
特に、現場で大型車両が出入りする会社では、自社車両と外部車両の境目を越えて、「現場に入る車両の安全状態」をどう確認するかが重要になります。
中小建設企業が取るべき現実的な対応
今回の公表を受けて、まずは次の対応で十分です。
- 自社に三菱「ふそうスーパーグレート」があるか確認する
- 該当しそうな車両があれば、車台番号で対象有無を確認する
- 対象車両であれば、販売店等にリコール作業の進め方を確認する
- 現場搬入に関わる協力会社に、必要に応じて情報共有する
- 車両台帳にリコール確認日・対応状況を記録する
大切なのは、確認した事実を残すことです。安全管理では、「知っていたか」だけでなく、「確認したか」「対応状況を追えるか」が後々の差になります。
車両・安全管理を会社の仕組みとして整えるために
今回のようなリコール情報は、対象車両の有無を確認して終わりにすることもできます。ただ、車両台帳、整備履歴、協力会社との確認方法、現場搬入時の安全ルールまで見直すと、会社全体の管理水準を一段上げる機会にもなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。車両管理や安全管理についても、「うちの場合は何から整理すべきか」という段階から一緒に考えることができます。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理な営業はいたしません。自社の状況を一度整理したい場合は、次の整理先としてご活用ください。