全国から引き合いがある一方、施工は一件ずつ協力会社を探している段階
全国展開を見据える建設会社でも、立ち上げ期から各地域に協力会社をそろえられるわけではありません。
ある新工法を扱う建設会社では、工場から届く壁パーツを現場で組み立て、基礎から内装まで仕上げられる施工会社が必要でした。ところが、販売を始めてから施工したのは十棟前後。月ごとの施工候補もまだ十件未満です。
そのため、現時点では既存の提携先を中心に、一件ずつ丁寧に施工しています。
「一度に10カ所も20カ所も同時進行できる段階ではありません」
一方で、関東を中心に全国から問い合わせがあり、遠隔地の案件も増え始めています。将来的に施工数が増えれば、必要な地域で施工会社をすぐ確保できる体制が欠かせません。
施工件数が少ない時期でも、案件が増えてから探し始めるのでは遅くなるため、協力会社候補の把握だけは先に進めておく必要があります。
秘密保持契約を結んだ会社から探すため、現場の近くに依頼先がない状態
この会社では、施工方法に関する情報を扱うため、秘密保持契約を結んでから具体的な依頼へ進みます。
「結局、秘密保持契約を結んでいるところから探すので、近場にない可能性が高くなってしまうんです」
案件が決まってから候補を探す場合、会社の抽出、連絡、工法の説明、面談、条件確認、秘密保持契約という工程が発生します。適した会社が見つからなければ、遠方の提携先へ依頼することになります。
過去には、施工地域が決まってから現地の工務店へ一社ずつ電話し、「この工事をお願いできませんか」と確認したこともありました。
これでは、会社が見つかっても、着工までの時間や移動費が膨らみやすくなります。営業担当や技術担当が候補探しに追われれば、本来進めるべき案件対応にも影響します。
問題は協力会社の社数が少ないことだけではなく、説明、面談、秘密保持契約を終えた「すぐ依頼を検討できる会社」が必要な地域にいないことです。
建築一式の許可だけでは、特殊な工法を任せられる会社まで絞り込めない難しさ
協力会社探しでは、建設業許可の有無だけを見ても十分ではありません。
建築一式の許可を持つ会社は全国に十数万社あります。そこから一定の従業員規模、住宅施工の実績、基礎工事と内装工事への対応という条件を重ねると、候補は千数百社まで絞られます。
さらに、新工法との相性を見なければなりません。今回の会社では、次のような経験を持つ会社が候補になりました。
- 工場で製造された壁パネルを現場で組み立てた経験
- コンクリート住宅や型枠工事の実績
- 基礎から内装まで一式で対応できる施工体制
- 住宅だけでなく、RC造や公共施設を施工した経験
相談者も候補を見ながら、「型枠でコンクリートをつくる経験がある会社なら、私たちの施工方法に近いですね」と話していました。
地域条件も一律ではありません。問い合わせは人口の多い関東で目立ちます。一方、台風の影響を受けやすい地域ではコンクリート住宅への需要が期待できます。豪雪地域では、平屋でも補強によってコストが上がるため、同じ県内でも市街地と山間部を分けて考える必要があります。
協力会社候補は「許可がある会社」ではなく、対応工種、類似工法の実績、施工範囲、地域特性、秘密保持への対応を重ねて選ぶことが大切です。
全国に候補がいても、すべての会社へ一斉に連絡すればよいわけではありません。施工需要と自社の供給能力がまだ小さい段階では、候補を増やしすぎても関係を維持できないからです。
需要の高い地域から、面談・秘密保持契約・試験発注まで先に済ませる協力会社づくり
協力会社ネットワークは、全国を一度に埋めるのではなく、案件が発生しやすい地域から段階的につくると進めやすくなります。
まず、依頼先に求める条件をそろえます。
- 必要な建設業許可
- 対応してほしい工種と施工範囲
- 類似する構造・工法の施工実績
- 対応可能な地域と移動範囲
- 現場管理や職人の体制
- 秘密保持契約への対応可否
- 予定工期や品質基準への適応力
最初に「何を満たせば依頼候補になるか」を言語化すると、知名度や紹介だけに左右されず、同じ基準で候補を比較できます。
次に、優先地域を決めます。判断材料は人口だけではありません。過去の問い合わせ数、今後の受注見込み、既存協力会社からの距離、施工難易度、気候条件を重ねます。
例えば、問い合わせが多い関東を先に厚くする。台風対策としてコンクリート需要が見込める地域を押さえる。豪雪地帯は補強費とのバランスを見ながら、市街地と山間部を分ける。このように、県単位よりも実際の施工条件に沿って優先順位を付けます。
候補抽出後は、次の順番で進めます。
- 公開できる範囲で工法、役割、想定案件を説明する
- 面談で施工実績、対応範囲、体制、考え方を確認する
- 双方が前向きであれば秘密保持契約を結ぶ
- 契約後に詳細な施工方法や品質基準を共有する
- 初回案件を試験発注と位置付け、品質・工期・連絡体制を確認する
- 結果を候補リストへ反映し、継続依頼の可否を判断する
ここで重要なのは、秘密保持契約をゴールにしないことです。契約済みでも、実際の施工力や連絡の速さまでは分かりません。
面談と契約に加え、試験発注まで終えた会社を地域ごとに持つことで、案件発生後の依頼が初めてスムーズになります。
ただし、施工件数がまだ少ない会社が、最初から千社規模へ働きかける必要はありません。相談企業も「将来は増やさなければいけませんが、今は年間でまだ数件です」と話していました。
この段階なら、まず需要の高い地域で数社ずつ候補をつくります。未対応地域で具体的な案件が出たときは、スポットで一社を探す方法もあります。施工数が増えてから、対象地域と候補社数を広げれば無理がありません。
協力会社開拓の規模は将来目標ではなく、今後半年から1年の施工見込みと、自社が面談・教育・品質確認に使える時間で決めるのが現実的です。
まとめ
案件が決まってから施工会社を探す方法では、近隣に条件を満たす会社がなく、遠方への依頼や着工の遅れにつながりやすくなります。特に、特殊な工法や秘密保持契約が必要な工事では、一般的な工務店リストだけでは足りません。
協力会社ネットワークづくりでは、許可、対応工種、類似工法の実績、施工範囲、地域特性、秘密保持への対応を基準に候補を選びます。
そのうえで、需要が見込まれる地域から、事前説明、面談、秘密保持契約、試験発注まで進めます。施工件数が少ない時期は、全国を一度に開拓する必要はありません。重点地域で数社を確保し、必要に応じてスポット開拓を組み合わせる方法もあります。
「数が出始めたときに、すぐ対象の工務店を紹介してもらえると心強い」
その状態をつくるには、案件のない時期に少しずつ準備を進めることが近道です。
自社に合う協力会社の条件と優先地域を整理したい方へ
協力会社を増やしたくても、「どの地域から着手するか」「何を条件に候補を絞るか」「今の施工件数でどこまで準備すべきか」は会社ごとに異なります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、採用、デジタル活用まで横断して整理し、協力会社の候補抽出や新たな関係づくりの実行も支援しています。
「うちの場合は全国開拓とスポット開拓のどちらが合うのか」「まず候補条件だけ整理したい」という段階でも差し支えありません。状況を伺ったうえで次の整理先を一緒に考えます。無理に支援を勧めることはありませんので、必要なタイミングでお声がけください。