前提

東海地方で衛生配管を手がけ、主力の協力会社が2〜3社に限られている設備工事会社

東海地方で病院、高齢者施設、工場などの設備工事を請け負う、ある設備工事会社があります。

主力となる協力会社は2〜3社ほどです。そこに一人親方や応援の職人を組み合わせ、現場を納めています。

一方で、人手が足りず、声をかけてもらった案件を断ることもあります。無理に売上を伸ばしたいわけではありません。経営者が求めていたのは、受注量を急激に増やすことではなく、既存の仕事を安定してこなせる体制でした。

「足りない、足りないと言いながら無理をすると、事故にもつながります。協力してくれる人を増やして、今の仕事をきちんとこなしていきたいんです」

協力会社の開拓は、受注拡大だけでなく、無理のない施工体制をつくるための取り組みでもあります。

そのため、候補の数を増やせばよいわけではありません。自社の現場に合う会社を、どう見極めるかが重要になります。

課題

「一般管工事業」という分類だけでは得意な現場も施工水準も見えない状態

協力会社候補を探す際、最初の条件には所在地、従業員数、業種などがよく使われます。実際、この会社でも東海3県を中心に、従業員5名以下の管工事会社や建設業許可を持つ個人事業主を候補として抽出しました。

ところが、候補一覧に並ぶ「一般管工事業」という表記を見た経営者から、率直な言葉が出ました。

「一般管工事業だけでは、何をやっている会社なのか分からないよね」

同じ管工事会社でも、仕事の中身はかなり異なります。

候補の中には、市の指定工事店として公共工事を中心に手がける会社がありました。給排水工事の経験はあっても、民間の工場や施設工事を得意としているとは限りません。

「市の仕事ばかりやっている会社だから、工場はあまり得意ではないと思います」

この一言からも、業種が同じことと、自社が任せたい現場を経験していることは別だと分かります。

協力会社検索サービスや企業データベースには、多数の会社が登録されています。ただし、業種と地域だけで抽出すると、既存の取引先、過去に相性が合わなかった会社、自社の施工領域とは異なる会社も混ざります。

候補数が多くても、選定基準が曖昧なままでは確認の手間が増えてしまいます。

背景

病院や高齢者施設の衛生配管では施工技術に加えて書類対応まで求められる事情

この会社が求めていたのは、単に配管工事ができる会社ではありませんでした。

望ましい経験を掘り下げると、次のような言葉が出てきました。

「病院や老人ホームの衛生配管をやったことがあるところなら、だいたい安心ですね」

病院や高齢者施設の現場経験が一つの目安になるのは、衛生配管の施工経験を確認できるからです。それだけではありません。大手元請けや設備会社の現場に入った経験があれば、現場のルールや必要書類への理解も期待できます。

求めている条件は「管工事会社」という一つの分類ではなく、複数の要素で成り立っていました。

  • 病院、高齢者施設、工場などの現場経験
  • 衛生配管の施工実績
  • 大手元請けや大手設備会社との取引経験
  • 現場で求められる書類への対応力
  • 建設業許可の有無
  • 施工に必要な道具の保有状況
  • 自社の現場まで無理なく移動できる対応エリア
  • 売上や利益の推移を含む財務状況

一人親方を探す場合には、道具を持っていないケースもあったため、建設業許可の有無が候補を絞る材料として使われました。許可があるだけで施工力を判断できるわけではありませんが、一定の業歴や経営実態を確認する入口にはなります。

また、候補企業の売上や利益が伸びているか、反対に足元の受注状況に課題を抱えているかも、関係づくりを考える材料になります。大切なのは、黒字か赤字かだけで良し悪しを決めることではありません。仕事量を安定させたい少人数会社と、自社が継続的に発注できる仕事がかみ合う可能性もあります。

施工経験、現場対応力、経営状況を重ねて見ることで、初めて「一緒に仕事ができそうな会社」が見えてきます。

解決

候補抽出・面談・小規模工事の3段階で自社との相性を確かめる進め方

協力会社選びでは、一覧表だけで採否を決めない進め方が現実的です。

経営者も「文字だけ見ても仕方がない。呼んでみないと使えるかどうかは分からない」と話していました。

そこで、候補抽出、面談、小規模工事の3段階に分けて見極めます。

1.候補抽出では「業種」より「経験」を具体化する

最初に、自社が安心して任せられる会社の条件を言葉にします。

今回であれば、「管工事会社」では広すぎます。「病院または高齢者施設で衛生配管を施工した経験がある」「工場の設備工事に対応できる」といった粒度まで具体化します。

候補一覧には、少なくとも次の項目を持たせると判断しやすくなります。

  • 所在地と対応可能エリア
  • 従業員数や職人の人数
  • 主な工事内容と施工実績
  • 主な取引先や元請けの種類
  • 建設業許可の有無
  • 売上、利益などの推移
  • 既存取引、過去取引の有無

最初から完璧な候補一覧をつくるより、合わない理由を記録しながら条件を修正するほうが精度は上がります。

たとえば「公共工事が中心で工場経験が少ない」「すでに取引口座がある」「過去に依頼したが合わなかった」といった情報を反映すれば、次の候補抽出に生かせます。

2.面談では実績の有無だけでなく仕事の進め方を確認する

候補企業と接点を持てたら、会社案内に書かれた業種を再確認するだけでは不十分です。実際の現場を想定して、対応できる範囲を確かめます。

確認したいのは、次のような項目です。

  • 病院、高齢者施設、工場のうち、どの現場を経験したか
  • 衛生配管では、どこまでを担当したか
  • 大手元請けの現場に入った経験があるか
  • 入場時や施工中に必要な書類へ対応できるか
  • 必要な工具や車両を自社で用意できるか
  • 何人で動けるか、応援を含めて体制を組めるか
  • 移動時間を含め、継続して対応できるエリアはどこか
  • 現在の受注状況と、今後増やしたい仕事は何か

ここでは、相手を一方的に審査するのではなく、お互いの条件をすり合わせます。発注側からも、案件の種類、仕事量、単価の考え方、継続発注の可能性を伝える必要があります。

大手設備会社との安定した取引や継続的な仕事があるなら、それは協力会社にとっても経営を安定させる材料になります。

3.小規模工事で施工力と相性を確かめる

面談で条件が合っても、実際の動き方までは分かりません。最初は小規模な工事や限定した範囲から依頼し、現場で確認します。

見るべきなのは、仕上がりだけではありません。

  • 安全や現場ルールを守れるか
  • 必要な道具を準備できているか
  • 書類を期限どおり提出できるか
  • 工程や変更事項を共有できるか
  • 自社の社員やほかの協力会社と連携できるか
  • 見積もりや単価の認識に大きなずれがないか

小規模工事で問題がなければ、次の案件で任せる範囲を少し広げます。合わなかった場合も、「使えない会社」と一括りにせず、工場経験、書類対応、エリア、道具など、どこが合わなかったかを記録します。

一覧表で候補を絞り、面談で条件を合わせ、小規模工事で実力を見る。この順番なら、採用判断に伴う負担を抑えながら関係をつくれます。

まとめ

設備工事会社の協力会社選びでは、「管工事」「給排水工事」といった業種分類だけでは、自社の現場に合うかを判断できません。

病院や高齢者施設、工場での施工経験。衛生配管の実績。大手元請けとの取引経験。書類対応力。建設業許可。保有道具。対応エリア。財務状況。これらを組み合わせて見る必要があります。

ただし、候補一覧だけで最終判断をするのも難しいところです。

協力会社選びの精度は、業種で決めるのではなく、自社が求める経験を具体化し、実際の仕事を通じて確かめることで高まります。

主力の協力会社が2〜3社に限られていても、いきなり大幅に増やす必要はありません。まずは「どの現場を任せたいのか」「そのために必要な経験は何か」を整理し、候補との接点を一つずつ増やしていく進め方が合っています。

自社に合う協力会社の条件から整理したいときは

協力会社を増やしたくても、「どの条件で探せばよいか」「候補企業の何を確認すればよいか」が曖昧なままでは、動きにくいものです。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社開拓についても、求める施工経験の整理、候補抽出、接点づくり、その後の検証まで、自社の状況に合わせて進められます。

「うちの場合は何を選定基準にすべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも差し支えありません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、次の整理先として気軽にお声がけください。

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