専門性の高い現場の仕事を、未経験者に一から教える用意のある会社
経験者にこだわっているわけではありません。仕事は入社後に教える。その前提で、早く仲間を迎えたいという相談です。
ある小規模な専門工事会社では、土木関連の専門性の高い現場業務を担っていました。必要なのは、最初から仕事を知っている人ではありません。
「結構ニッチな仕事なので、一から教えるつもりではいるんです」
求めているのは、現場作業に対応でき、出張にも行ける人です。経験のハードルはすでに下げていました。そのうえで、経営者が知りたかったのは、応募者と出会える具体的な窓口でした。
「そういった受け口というか、窓口があればどうかなと思っていたんです」
人手に余裕がなく、経営者自身も急に現場へ出ることがあります。採用に向けて腰を据えて考えたい一方で、まず人に来てほしい。そんな状況です。
経験要件を緩めても、応募者と出会うまでの道筋が見えない状態
「未経験でもよい」と決めることと、その人から応募が届くことは、別に整理する必要があります。
経営者からは、こんな問いがありました。
「ターゲットもそこまで絞らず、もうすぐに来てほしいような状況だったら、スピーディーに情報はもらえる感じになりますか」
条件を広げれば、候補者の情報も早く届くのではないか。そう考えるのは自然です。ただ、条件を緩めただけでは、誰に、どこで、何を伝えるかまでは決まりません。
この会社にも、実務上必要な条件はありました。現場作業ができること。出張に対応できることです。一方、専門的な仕事の経験は、入社後に身につけてもらう考えでした。
つまり、「誰でもよい」というより、「仕事の経験は問わないが、働き方には合ってほしい」という募集です。ここを具体化できると、求人で伝える内容も、面接で確かめることも整理しやすくなります。
候補者の紹介を受ける方法と、自社で応募を集める方法の違い
採用を始めたら候補者の情報が届くのか。それとも、応募を集めるところからつくるのか。この違いが、進め方の理解に関わっていました。
経営者は、採用支援についてこう確認していました。
「スタートしたら、紹介された人の情報が先に来るということですか」
人材紹介を利用する場合は、紹介会社から候補者の提案を受け、選考へ進む流れが中心になります。一方、自社の採用の仕組みをつくる場合は、採用対象を決め、接点を選び、求人や自社サイトで情報を届けるところから始まります。
どちらも採用の方法ですが、着手する場所が違います。後者は、すでにいる候補者を紹介してもらうことが出発点ではありません。
そのため、「求人原稿を作るところから始めるんですか」という質問に対しても、先に必要なのは、どんな人を求めるかの確認でした。対象者によって、利用する求人媒体も、学校説明会などの接点も変わるからです。
また、「一から教える」という受け入れの意思は、この会社がすでに持っている大切な情報です。ただし、その内容が応募者に伝わっているかどうかは、別の確認事項になります。
採る側が経験要件を下げても、応募する側に「自分も働けそうだ」と伝わらなければ、接点は生まれにくいままです。
現場作業と出張の条件を起点に、応募から受け入れまでをつなぐ見直し
最初の一手は、媒体を決めることではなく、「入社時に必要なこと」と「入社後に教えること」を分けることです。
その整理を起点に、採用対象、採用経路、伝える内容、選考・受け入れをつないでいきます。
まずは、経験ではなく実務上の条件を整理する
この会社であれば、出発点は次の二つです。
- 入社時に確認したいこと:現場作業や出張への対応
- 入社後に教えること:専門性の高い仕事の知識や技術
経験を問わないなら、その方針を求人にも反映します。同時に、現場作業や出張があることは曖昧にしないようにします。
「未経験歓迎」とだけ書くよりも、何は必要で、何はこれから覚えればよいのかを分けたほうが、応募者も判断しやすくなります。採用対象を具体化するのは、応募できる人をむやみに減らすためではありません。自社の仕事に合う人へ、伝わる募集にするためです。
対象者が情報を得る場所から、採用経路を選ぶ
採用対象が見えてから、求人媒体などの経路を検討します。判断軸は、知名度だけではありません。「採りたい人が、その経路を使って仕事を探しているか」です。
たとえば、高卒者を対象とするなら、学校説明会や合同説明会も検討先になります。ただし、早期採用を望むこの会社が、すぐにその方法を選ぶと決まったわけではありません。対象者と採用したい時期に合うかを確認する必要があります。
候補者の紹介を受けたいのか、自社への応募を集めたいのかも、この段階で揃えておきたい点です。外部に依頼する際も、どこから着手し、何を担ってもらうのかを確認すると、期待のずれを小さくできます。
社員の声から、求人で伝える魅力を整理する
自社の魅力は、経営者だけで考え切らなくても構いません。社員や勤続年数の長い人への聞き取りが、整理の手がかりになります。
社内では当たり前になっていることも、働いている人の言葉を通すと、応募者に伝える価値が見つかることがあります。そこで確認できた内容を、求人原稿に反映します。
この会社なら、「専門的な仕事を一から教えるつもりがある」という方針も、伝えるべき内容の一つです。ただし、実際の受け入れ方と合わせて説明することが大切です。
求人を見た人が、自社サイトで会社を確かめる流れも想定します。求人だけを整えるのではなく、その先の自社サイトでも、仕事内容や受け入れ方針を確認できる状態を目指します。
応募を集める準備と、面接・受け入れの準備を並行する
応募を増やすだけでなく、面接で何を確認するかも揃えておきます。今回なら、専門業務の経験よりも、現場作業や出張への対応、人柄を確認する質問が中心になります。
同時に、会社側から仕事や魅力をどう説明するかも整理します。面接は、採る側が判断するだけの場ではないからです。
受け入れについては、「一から教える」という意思を、社内で共有できる形にしていきます。教える内容を言語化して残すことは、未経験者を迎える準備にもつながります。
なお、条件を広げれば必ずすぐ採れる、とは言い切れません。求人への反響を見ながら、対象者、経路、伝える内容のどこを見直すかを判断します。早く採りたいときほど、この順序を押さえておくと、次に直す場所が見えやすくなります。
まとめ
「未経験でもいいから早く採りたい」ときは、経験要件をさらに緩める前に、必要な働き方と入社後に教えられる能力を切り分けることが出発点です。
この会社には、現場作業と出張に対応してほしいという条件がありました。一方で、専門的な仕事は一から教える用意がありました。まずは、その二つが伝わる募集に整えることです。
そのうえで、対象者が利用する採用経路を選びます。社員の声から魅力を整理し、求人から自社サイトへつなぎます。面接と受け入れの準備も並行して進めます。
候補者の紹介を受ける方法と、自社で応募を集める仕組みをつくる方法は、同じではありません。自社が今必要としている支援はどちらかを揃えることも、採用を前へ進める一歩です。
未経験者を迎える採用の入口を、一緒に整理するために
「一から教えるつもりはある。でも、どこで募集すればよいかわからない」。そんな段階からでも、採用の進め方は整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、必要な条件の切り分けから、採用経路、求人で伝える魅力、面接・受け入れ準備までを一緒に考えます。
「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも、ご相談いただけます。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、現状を整理する機会としてお声がけください。