社員大工の求人を出し、掲載数週間で応募が伸び悩む建設会社の状況
大工の求人に応募が少なくても、原稿や待遇に問題があるとは限りません。まず、求人がどれだけ表示され、読まれ、そのうち何件の応募につながったかを分けて見ることが出発点です。
千葉県内のある建設会社では、社員大工の求人を掲載して数週間がたち、反応が伸び悩んでいました。ウェブからの応募は1件ありましたが、その後の連絡がつかず、面談には進めていない状態です。
求人運用を担う担当者は、クリック率が低ければ職種名や写真を変え、応募率が低ければ原稿の内容を直す、という考え方を持っていました。ただ、それ以外となると、会社に待遇の変更を相談するくらいしか打ち手が思い浮かばなくなっていました。
この募集は、ウェブ求人でどれほど反応が得られるかを確かめる試験的な取り組みでもありました。つまり、採用できたかどうかだけでなく、次の判断に使える数字をつかむ段階です。応募が止まったという結果だけで原稿を直し続けるよりも、募集のどこに伸ばす余地があるかを整理する必要がありました。
応募1件という結果だけでは、原稿の弱さと閲覧数の不足を切り分けられない問題
「応募数が少ないこと」と「読んだ人が応募する割合が低いこと」は別の問題です。ここを分けないと、見てもらう機会が足りない求人の本文を直し続けることになります。
この会社では、約70回のクリックに対して応募が1件でした。応募率にすると約1.4%です。応募は1件だけなので少なく見えますが、この数字だけで「原稿を読んでも応募したくならない状態」と断定することはできません。
例えば、同じ閲覧数で応募がもう1件増えるだけで、応募率は約2.9%になります。少数の応募しかない段階では、1件の増減が率を大きく動かします。そのため、応募率の小さな上下を、そのまま原稿の良し悪しと結びつけないことが大切です。
求人の数字は、次の3段階で見ると整理しやすくなります。
- 表示数:求職者に求人が表示された回数
- クリック数・クリック率:表示された求人が、どれだけ開かれたか
- 応募数・応募率:開かれた求人から、どれだけ応募につながったか
ここでのクリック率は「クリック数÷表示数」、応募率は「応募数÷クリック数」です。率を見るときは、必ず元の件数も一緒に確認します。
なお、応募後に連絡がつかないことは、求人が読まれても応募されない問題とは別です。今回も応募自体は発生しています。面談に進んでいないからといって、その1件をなかったものとして原稿の反応を評価すると、原因の捉え方がずれてしまいます。
原稿修正に目が向き、求人を見つけてもらう入口が検討から抜けていた背景
原稿の改善と同じくらい重要なのが、その原稿にたどり着く入口の確認です。本文を読む前の段階で接点が少なければ、応募率だけを改善しても応募件数は伸ばしにくくなります。
この会社の募集は、「大工職人」という職種名の求人1本が中心でした。担当者はクリック率については悪くない印象を持っていましたが、応募が増えないため、原稿内の説明や待遇に改善点を探していました。
一方で、求職者が仕事を探す言葉は「大工」だけとは限りません。対話では、「工事サポートスタッフ」「内装工事スタッフ」といった別の職種名や、関連する職種カテゴリを通じた入口も検討されました。仕事内容に合う範囲で表現やカテゴリを見直せば、これまでとは異なる探し方をする人に届く可能性があります。
ただし、職種名を増やせば必ず表示が増える、という話ではありません。同じ予算の中で複数の求人に配信が分かれるだけなら、会社全体の表示総数は変わらないこともあります。
また、地域による違いも確認が必要でした。都心部ではないから難しいのではないか、という見方はありましたが、それだけでは判断材料が足りません。地域や職種の違いは、反応が弱い理由を推測する材料ではなく、比較するデータの条件として扱うことが有効です。
地域・職種別の数字を確かめ、表示不足に合った募集導線の試験
先に数字で改善箇所を絞り、その箇所に対応する変更を試すと、原稿修正も募集導線の追加も、目的を持って進められます。
1.表示・クリック・応募の件数を同じ期間で並べる
最初に、掲載中の求人について、表示数、クリック数、応募数と、それぞれの率を確認します。掲載後数週間の結果を見るなら、まずはその同じ期間の数字をそろえます。
表示はされているのにクリックにつながっていなければ、職種名や写真など、求人を開く前に見える情報が見直し候補になります。クリックは得られているのに応募につながりにくければ、原稿の説明や待遇の伝え方を確認します。
一方、クリック率や応募率が比較対象から大きく外れていないのに件数が少ない場合は、表示・閲覧の母数を増やす検討が優先候補です。今回の約70クリック・応募1件という数字も、原稿を全面的に変える前に、この切り分けを行う材料になります。
2.応募率の目安は、地域・職種別の比較で確かめる
応募率に一律の合格ラインを置かず、同じ地域・職種の比較データと、実際の件数を合わせて判断します。
応募率の目安として経験的な数値が示されることはありますが、その数値をすべての大工求人に当てはめることはできません。募集地域や職種が違えば、比較の前提も変わるためです。
求人媒体や運用担当者に、募集地域の大工求人について、クリック率、応募率、クリック単価などの比較データを確認できるか相談します。データを得られる場合も、どの地域・職種・集計期間を対象にしたものかを確認したうえで使います。
比較した結果、応募率に改善余地がありそうなら原稿を見直し、率よりも閲覧数の不足が大きそうなら入口を広げる、という順番です。少数の応募しかない間は結論を急がず、仮説として扱いながら反応を確かめます。
3.仕事内容と採用対象に合う範囲で、別の入口を試す
表示不足が疑われる場合は、仕事内容に即した職種名や関連カテゴリを見直します。「大工職人」以外の言葉で探す人にも、実際の仕事が正しく伝わる入口を検討する考え方です。
例えば、対話で候補に挙がった「工事サポートスタッフ」「内装工事スタッフ」も、実際の担当業務に合う場合に限って検討するものです。大工の経験者を必要としているのに、補助業務だけの募集に見せるような変更は避けます。関連カテゴリも、数を埋めるのではなく、仕事内容との関係を説明できるものを選びます。
また、採用対象そのものを変えた原稿を試す方法もあります。ただし、未経験者を対象にするなら、会社として未経験者を採用できることが前提です。職種名だけを変えるのではなく、誰に届ける募集なのかと、実際に任せる仕事をそろえることが重要です。
この段階では、求人を増やすこと自体が目的ではありません。異なる入口から、これまで届いていなかった対象者に届くかを試します。
4.求人ごとの反応と、会社全体の表示総数を比べる
試験掲載の後は、追加した求人だけでなく、既存の求人も含めた表示数・クリック数・応募数を確認します。新しい求人に表示がついていても、既存求人から配信が移っただけなら、全体の接点は増えていない可能性があります。
対話では、次の掲載期間で2つのパターンを試し、その反応を踏まえて、その後に力を入れる募集を決める進め方が検討されました。まず小さく比較し、反応のよい入口を把握してから、継続や予算配分を考える流れです。
予算を増やす場合も、表示や応募が比例して増えるとは限りません。クリック単価は変動するため、増額前の数字をそのまま倍にした結果を約束するのではなく、増額後の実績を確認しながら判断します。
まとめ
大工の求人で応募が伸びないときは、原稿を直す前に「表示が足りないのか」「開かれていないのか」「読まれても応募されていないのか」を分けることが、次の一手につながります。
応募1件という結果だけでは、原稿の良し悪しは決められません。表示数・クリック数・応募数をそろえ、地域・職種別の比較データも確認したうえで、改善箇所を絞ります。
閲覧母数の不足が疑われるなら、仕事内容に合った職種名や関連カテゴリ、対象者を変えた原稿を試す余地があります。その際は、求人ごとの反応だけでなく、会社全体で接点が増えたかまで確かめます。
原稿修正、募集導線の追加、予算の見直しは、どれか一つが常に正解というものではありません。足りない段階に合う施策を選び、反応を比べてから次の投資を決めることが、求人改善の基本です。
大工募集の数字と、次に試す入口の整理
自社の求人について、原稿を直すべきか、見てもらう機会を増やすべきか判断しにくい場合は、現在の数字と募集対象を並べるところから整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。大工募集でも、求人の反応と実際に採用したい人材像を照らし合わせ、次に何を試すかを一緒に考えます。
「うちの場合はどの数字から見ればよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、次の打ち手を整理する機会としてご活用ください。