仕事の引き合いが増える一方、施工管理人材の募集が面接につながらない専門工事会社
仕事はあるものの、現場を任せる人が足りない。採用のために広告も出しているのに、面接まで進まない状態です。
兵庫県に拠点を置く、創業数年、数名規模の専門工事会社では、公共施設の設備工事を中心に引き合いが増えていました。設備の据え付けだけでなく、付帯する工事にも対応し、自社で現場作業と施工管理の両方を担っています。
求めているのは、単に作業人数を増やすための人材ではありません。優先したいのは、現場の管理を任せられる人です。社長と主力社員がそれぞれ現場を受け持つなか、さらに工事が重なったときに対応できる体制をつくりたいと考えていました。
そこで、ホームページでの募集に加えて動画広告も開始しました。しかし、採用につながる反応は乏しく、面接には至っていません。外注先から実際の社長や社員を撮影した動画の制作を提案されても、費用を上乗せする判断がつかない状況でした。
採用にお金をかけたくないのではなく、何を変えれば成果に近づくのかが見えない。この区別が、見直しの出発点になります。
動画の見栄えを変えるだけでは、応募が来ない原因を切り分けられない状態
追加投資の前に確かめたいのは、「求める人に届いていない」のか、「届いても働く姿が伝わっていない」のかという違いです。
社長の疑問は、「実際に動画を撮ったら、それで本当に入ってくるのか」というものでした。社長や社員の映像を出していても、採用に苦戦している周囲の会社を見ていたためです。
この疑問に対して、撮影の質や映像の華やかさだけで答えるのは難しいところです。施工管理を担える人がその広告を見る機会を持っているか、見た人が仕事内容を理解できるか、自分に合う職場だと思えるかは、それぞれ別に確認する必要があります。
また、面接に至っていないという結果だけでは、広告のどこに改善余地があるのかまではわかりません。応募そのものがないのか、求める人からの反応がないのかも分けて捉えたい点です。
この会社についても、広告を見た人数や、その後の詳しい反応までは確認できていません。したがって、媒体が悪いとも、動画の内容が悪いとも断定できません。原因が未確認のまま制作物だけを増やすのではなく、何を改善するための追加費用なのかを明確にすることが先です。
施工管理を優先する採用と、求人票だけでは伝わりにくい現場の魅力
採用で伝えるべき情報は、施工管理という職種名と募集条件だけでは足りていませんでした。仕事内容の幅と、一緒に働く人の姿が重要な判断材料になっています。
この会社では、管理だけを行うわけでも、作業だけを行うわけでもありません。現場作業に加えて、書類作成や図面への対応も担っています。一方、次の採用では施工管理を優先したいと考えていました。
この違いは、募集内容を整理するうえで大切です。会社として対応できる業務をすべて並べることと、入社する人に何を担ってほしいかを伝えることは同じではありません。応募を考える側が、自分の経験をどこで生かせるのか判断できる説明が必要です。
求める条件にも幅がありました。年齢には強くこだわらず、資格も保有していればよいものの、必要に応じて取得を目指してもらう考えです。その一方で、直近の大きな現場は、経験者が入社してもすぐに任せられる内容ではないと認識していました。人柄を重視する姿勢と、当面必要な実務経験を分けて伝える余地があります。
職場の魅力として社長が挙げたのは、社員の人柄、事務所や現場の雰囲気でした。「仕事はもちろん真面目にやりますが、怒鳴り声より笑い声のほうが多い」という言葉に、その特徴が表れています。
ただ、社長自身も、楽しさだけを強調して仕事への姿勢を誤解されることは避けたいと考えていました。職場の雰囲気は、仕事内容と切り離した宣伝文句ではなく、どのような人たちと仕事をするのかを伝える情報として整理することが大切です。
もう一つの手がかりは、主力社員の入社経路です。もともと一緒に働いた経験があり、社長が声をかけてから入社までには一年ほどかかっていました。仕事ぶりや人柄を知る関係が採用につながった経験は、広告以外の経路を考える根拠になります。ただし、既存のつながりなら短期間で採用できる、という意味ではありません。
対象人材・伝える内容・募集経路を整理してから判断する動画への追加投資
見直しは、誰を採るか、何を伝えるか、どこで届けるか、反応をどう確認するかの順で進めると、追加投資の目的を絞りやすくなります。
動画をやめるか、続けるかを先に決める必要はありません。今の募集で不足している情報や経路を確認し、その不足を埋める手段として動画が適しているかを考えます。
まず、施工管理として任せたい仕事を明確にする
最初に整理したいのは、「施工管理ができる人」という言葉の中身です。この会社の場合、現場作業、書類、図面など対応範囲が広いため、会社全体の業務と、採用する人に求める役割を分けて確認します。
- 入社時点で、どの業務を任せられる経験が必要か
- 現場作業と施工管理のうち、どちらを優先して担ってほしいか
- 資格など、入社後に身につけてもらえるものは何か
この整理によって、人物面では幅広く受け入れたいことと、直近の現場対応に必要な経験を両立させやすくなります。応募の対象を曖昧に広げるのではなく、必要な経験と、入社後に補える条件を分けることが要点です。
次に、仕事内容と人柄が伝わる情報をそろえる
募集内容では、設備工事の施工管理という説明に加え、現場作業も担うこと、書類や図面への対応があることなど、実際の仕事の幅を伝えます。そのうえで、社長や社員の人柄、現場の雰囲気を補足します。
この会社なら、真面目に仕事に向き合う姿勢と、笑い声のある現場の関係性をセットで伝えることが軸になります。「楽しい会社です」だけで終わらせず、仕事の内容と一緒に示すことで、応募を考える人が働く姿を判断しやすくなります。
動画を制作する場合も、先に伝える内容を決めます。社長や社員が映ること自体ではなく、求人票では伝わりにくい何を補うのかが、制作を選ぶ判断軸です。
募集経路は、広告と既存のつながりを並べて考える
広告については、求める施工管理人材に届く媒体・配信になっているかを、運用を任せている相手と確認します。広く見られることと、採用したい人に届くことは分けて考えたい点です。
併せて、社長や社員がこれまで一緒に働いた人、会社の仕事ぶりを知る関係者など、既存のつながりも採用経路として検討します。その際も、単に人を探していると伝えるのではなく、任せたい仕事内容を共有することが先になります。
主力社員の入社に時間がかかった経験からも、つながりを生かす採用を直近の欠員への即効策として扱うのは避けたいところです。広告とは別の経路として、継続して考える位置づけが合っています。
最後に、応募と面接までの反応で見直す
追加投資を判断する際は、動画を納品してもらったことを区切りにせず、求める人からの応募や面接につながっているかを確認します。
広告を見る人が対象人材とずれているなら、先に募集経路を見直します。仕事内容が伝わっていないなら、募集文の整理が先です。人柄や現場の雰囲気を伝える情報が不足しており、それを動画で補う目的が明確なら、撮影を検討する理由になります。
外部の支援を利用する場合も、自社と近い地域・職種での実績、実施内容、成果までの期間を確認したうえで、誰が何を担当し、いつ反応を見直すかをすり合わせます。費用の大小だけでなく、「何を変え、応募・面接のどの反応を確かめるのか」が説明できる状態で判断することが大切です。
まとめ
求人広告を出しても応募が来ないときは、広告の見栄えより先に、対象人材・伝える内容・募集経路を切り分けて見直します。
施工管理を優先したいなら、入社時に必要な経験と、入社後に補える条件を整理します。職場の魅力は、仕事内容と社長・社員の人柄を一緒に伝えることで、働く場所を選ぶ材料になります。
動画は、その情報を届けるための選択肢の一つです。既存のつながりも含めて経路を検討し、応募や面接までの反応を確認しながら、次に費用をかける場所を決めていく進め方が現実的です。
求人広告を増やす前に、自社の採用の整理から
「うちの場合、媒体と募集内容のどちらから見直せばよいのか」という段階から、採用の進め方を整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用についても、求める人材や現場で任せたい役割、会社の魅力、現在の募集経路を確認しながら、次に取り組むことを一緒に考えます。
動画制作や新たな広告への投資を決めていなくても構いません。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、何から整理するか迷っている段階でもご相談ください。