社員大工の採用で、スカウトの送信先が数日で尽きる状況
職人採用でスカウト候補者が見つからなくなっても、採用できそうな人をすべて探し終えたとは限りません。 まず確認したいのは、現在の検索条件で、どのような人が表示され、どのような人が外れているかです。
千葉県で社員大工を募集する建設会社などの採用支援では、手動でスカウトを送るうちに、次の送信先が見つからなくなることが悩みになっていました。職人経験者や、希望職種に職人を登録している人に絞ると、候補者は数百人程度にとどまり、数日で確認し終えてしまう状況です。
未経験でも職人を希望する人まで広げても、しばらくすると候補者が尽きます。その後は、検索し直して新しい人がいれば数件ずつ送る、という繰り返しになっていました。
担当者には、「職人を希望していない人に送って、職人をやりたいと思ってもらえるのか」という迷いがありました。対象外の人にむやみに送るのは避けたい。そのために希望職種で絞っていたのですが、その条件が候補者との接点を狭めている可能性もありました。
希望職種での検索漏れと、採用対象の狭さが重なった候補者不足
検索条件の見直しでは、「条件に合うのに見つかっていない人」と「これまで対象にしていなかった人」を分けることが大切です。 この二つは、広げる理由も、確認すべきことも異なります。
一つ目は、登録情報による検索漏れです。職人の経験があっても、希望職種を入力していなければ、その職種を必須にした検索から外れる可能性があります。希望勤務地が未入力だったり、特定の都道府県ではなく全国を選んでいたりする場合も、検索条件によっては見つけにくくなります。
この場合、必要なのは採用基準を下げることではありません。同じ採用要件に合う人を、別の情報から探し直すことです。
二つ目は、採用対象そのものを狭く設定していることです。未経験者を受け入れられる会社でも、「すでに職人になりたいと登録している人」だけを探せば、異業種からの転職を検討し始めた人には届きません。
こちらは、検索漏れの解消ではなく、新しい対象者を試す取り組みです。経験者を探す場合と同じ条件・同じ文面で進めるのではなく、なぜその人に職人の仕事を提案するのかを整理する必要があります。
「職人希望」の登録が、その人の経験や転職意向のすべてではない事情
希望職種は候補者を探す手がかりですが、未入力を「関心がない」と読み替えることはできません。 登録された希望と、実際の経験を分けて見る余地があります。
採用支援の場でも、希望職種や希望勤務地を入れていない人、勤務地を全国にしている人がいることが、見直しのきっかけになりました。希望職種だけで検索していると、職務経験や保有資格には接点がある人まで、確認する前に外してしまいます。
一方で、職人を希望していない人すべてが候補になるわけでもありません。対話では、飲食店やアパレル、販売スタッフから現場の仕事へ転職する人を想定し、収入を見直したい人に職人という選択肢を届ける考え方が挙がりました。
ただし、これは異業種経験者に一律の転職意向があるという話ではありません。飲食や販売の経験は、あくまで対象者を考えるための手がかりです。その人が職人の仕事を希望するかどうかは、別に確かめる必要があります。
また、検索範囲を広げると、候補者が一度に多く表示されるようになります。そこで次の論点になるのが、直近のログイン状況です。採用要件との接点があっても、最近サービスを利用していない人と、直近で利用している人では、スカウトへの反応が異なる可能性があります。
候補者不足は、単に登録者数が少ないという問題だけではなく、「誰を対象にするか」「どの登録情報から探すか」「誰から接点を持つか」が重なって起きていた問題と整理できます。
経験・資格からの探し直しと、異業種への対象拡大を分けた検索条件の調整
まず経験者の検索漏れを見直し、未経験者を受け入れられる場合に異業種へ広げる順番が、採用要件とのずれを抑えやすい進め方です。 候補者数だけを増やすのではなく、検索結果に自社が会いたい人が含まれるかを確認しながら調整します。
経験者は希望職種だけでなく、職務経験・資格・経験キーワードから探す
経験者を採用したい場合は、希望職種を必須にした検索とは別に、職務経験や保有資格を軸にした検索を試します。希望職種の条件を外しても、経験との接点を残せば、無関係な人まで一律に対象にすることにはなりません。
確認する手がかりは、次の三つです。
- 職務経験:募集する仕事につながる職種や現場作業の経験が登録されているか
- 保有資格:自社が求める経験と関連する資格が登録されているか
- 経験キーワード:「職人」という大きなくくりだけでなく、関連する仕事の名称や経験を示す語から探せるか
実際の検索画面では、言葉を入力するだけでなく、表示された候補から該当する職種や経験を選択する操作も確認されていました。検索結果が少ないときには、言葉の選び方に加え、条件が意図どおり設定されているかも見直したいところです。
希望勤務地についても、登録内容だけで働ける場所を決めつけないことが大切です。未入力や全国希望の人が条件から外れていないかを確認し、見つかった人について、実際に募集勤務地で働く意向があるかを確かめます。
希望条件を緩めることと、経験や勤務地の適合性を確認しなくてよいことは別です。 検索の入口を変えた後も、採用要件との照合は残します。
未経験者も受け入れられるなら、飲食・販売経験者を別の対象として試す
異業種への拡大は、自社が未経験者を受け入れられることが前提です。経験者が必要な募集で候補者数を増やすためだけに広げても、検索結果と採用要件のずれが大きくなります。
未経験者も対象にできる場合は、飲食、アパレル、販売などの経験を持つ人を、職人への転職を提案する対象として試す余地があります。このときは、「異業種なら誰でも」ではなく、収入の見直しなど、職人への転職を考える理由を仮説として置きます。
スカウト文面も、経験者向けとは分けて考えます。経験者には職務経験や資格との接点を、未経験者には未経験でも応募できることや、自社で実際に提示できる収入・待遇との接点を伝えます。
相手の経歴だけから収入への不満や家庭事情を決めつける必要はありません。対象者の仮説は検索に使い、本人の転職理由は反応を通じて確かめるという距離感が適切です。
直近のログイン状況と反応を見て、広げた条件を調整する
検索範囲を広げた後は、利用しているサービスで可能であれば、最新ログイン順などに並べ替え、最近利用している人から確認します。直近の利用は職人への関心を示すものではありませんが、接点を持つ順番を考える手がかりにはなります。
そのうえで、経験者を経験・資格から探した条件と、未経験者を異業種経験から探した条件は、反応を分けて見ます。候補者が増えたかだけでなく、採用要件に合う人が見つかるか、送った相手から返信や応募があるかを確認します。
人数が増えても要件に合わなければ、経験やキーワードを見直します。要件に合う人は見つかるのに反応が乏しければ、直近の利用状況や、対象者に合わせた伝え方を確認します。一度にすべてを変えるより、どの変更に意味があったのかを追える形で進めるほうが、次の判断につながります。
なお、この相談で確認できたのは、検索条件を変えることで、それまで表示されなかった候補者が見つかったところまでです。検索結果の増加を採用成果と同一視せず、適合性と反応を見ながら条件を育てていくことが重要です。
まとめ
職人採用でスカウトの送信先が尽きたときは、採用対象を広げる前に、今の検索条件が誰を外しているかを確認することが出発点です。
希望職種・希望勤務地の未入力による検索漏れと、職人志望者だけに対象を絞っている問題は、分けて考えます。経験者は職務経験・関連資格・経験キーワードから探し直し、未経験者を受け入れられる場合は、飲食や販売などの異業種経験者にも対象を広げて試します。
その後は直近のログイン状況を参考にしながら、要件との適合性とスカウトへの反応を確認します。広げるべきなのは送信数だけではなく、自社の仕事を選んでもらえる可能性のある人との接点です。
自社の採用要件に合わせたスカウト対象の整理
「どこまで検索条件を広げてよいか」は、自社が求める経験と、未経験者を受け入れられる範囲を並べると整理しやすくなります。 検索方法の問題なのか、対象者の設定から考え直す必要があるのか、切り分けるところから始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を現場の事情とあわせて整理し、実行まで支援しています。職人採用についても、採用要件と検索条件、対象者ごとの伝え方を一緒に整理できます。
「うちの場合、何から見直せばよいかわからない」という段階でもご相談いただけます。無理な営業はいたしませんので、次の一手を整理する場としてご活用ください。