前提

足元には余力がある一方、約2か月の現場と別案件が重なる可能性

いま工事を受けられることと、これから重なる現場を管理できることは、分けて考える必要があります。 岡山県で店舗・事務所などの内装関連工事を手がける、ある中小建設会社も、その判断に向き合っていました。

経営者の言葉は、「今はちょっと空いているんで」というものでした。目の前の工事を増やす余地はあり、継続的に受注できる体制をつくりたいという考えもあります。

一方で、年末から年度末にかけて、約2か月続く現場が決まりそうな状況でした。さらに年明け以降、別の取引先からも案件が出てくる可能性があります。ただし、こちらは着工時期がまだはっきりしていません。

社内では20代の経験者を新たに採用し、在籍数年の社員についても「簡単な現場は、まあできるかな」と見ていました。加えて、横のつながりから、外部で管理を頼めそうな人にも声をかけています。

つまり、人の手当てに何も着手していない会社ではありません。それでも残っていたのは、複数の現場が同時に動いたとき、誰にどこまで任せられるかという問題でした。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ
課題

工事件数だけでは見えない、長期現場が重なる時期の施工管理不足

不足しているのは、いつでも一律に必要な人手ではなく、長期現場が重なったときに管理を任せられる人です。 経営者も、「かぶったときに、一人、管理の人間がいればできるんですよね」と話していました。

この会社では、施工が1〜2日で終わる工事であれば、多少案件が増えても経営者自身で対応できると考えていました。ところが、事務所の工事になると、同じようにはいきません。

「事務所になると、1日、2日というわけにはいかないから、やっぱり管理の人が必要になる」

同じ「もう1件」でも、短期間で終わる工事と、一定期間にわたって管理を担う工事とでは、受け入れるための条件が違います。工事件数だけを見て「まだ受けられる」と判断すると、長期現場同士が重なる時期の不足を捉えにくくなります。

また、社員が増えたことと、難しい現場を任せられる管理者が増えたことも同じではありません。「簡単な現場なら任せられる」という社員の存在は心強いものですが、それだけで長期案件の重複に対応できるとは限りません。

受注の上限を考える際には、人数だけでなく、どの工事が、いつまで続き、その現場を誰が任せられる状態なのかまで見ることが大切です。

背景

外注は空き状況次第、採用は継続受注の見通し次第という判断の難しさ

外注にも採用にも踏み切る理由はありますが、どちらも受注前にすべてを確定できるわけではありません。 そこに、この会社の迷いがありました。

外部の管理者候補は見つかっていました。ただし、経営者は、その関係を次のように説明しています。

「外注さんなんで、空いていればという話ですからね。だから、早めに言ってくださいよ、と」

対応できる人を知っていることは、大きな前進です。ただ、その人にも別の仕事があります。「頼める相手がいる」と「必要な期間に来てもらえる」は別の状態です。現場が決まってから声をかけても、その時点で空いているとは限りません。

一方、採用については、「どんどん仕事が来るようになればね」という言葉がありました。継続的に工事が入るなら社内体制を厚くしたいものの、見込み案件がどこまで受注につながるかは、まだ読み切れない状況です。

短期工事は経営者が対応でき、簡単な現場なら任せられそうな社員もいる。そのうえで、長期現場が重なったときだけ管理者が足りなくなるのであれば、すぐに採用人数を増やす判断には迷いが出ます。

この状況は、外注か採用かの単純な二択ではありません。一時的な重複を補う必要と、継続受注に備えて社内の管理能力を増やす必要が、まだ分かれていない状態と捉えると、次に整理することが見えてきます。

解決

工期の重なりと任せられる現場を整理してから、外注と採用の役割分担

最初に決めたいのは採用人数ではなく、「どの期間に、どの現場を任せられる人が足りないか」です。 その不足が見えれば、外注で補う範囲と、採用を検討する理由を分けられます。

短期工事と継続管理が必要な工事を分ける

まずは、受注済みの工事だけでなく、決まりそうな工事も含めて、工期と管理担当の見通しを並べます。整理する項目は、次の範囲から始められます。

  • 施工が1〜2日で終わる工事か、一定期間の管理が必要な工事か
  • 着工・完了の見込みはいつか、時期が未確定の案件はどれか
  • 経営者が対応する工事と、社員に任せられる工事はどれか
  • 別の長期現場が重なった場合、管理担当が決まっていない工事はどれか

この会社であれば、約2か月続く見込み案件と、年明け以降に出てくる可能性のある案件を、まず重ねて確認することになります。後者の時期が未確定なら、「受注した場合に重なる可能性がある案件」として残しておくことができます。

大切なのは、未確定の案件まで受注済みとして扱うことではありません。決まった工事だけを見たときの余力と、見込み案件も重なった場合の不足を、分けて把握することです。

社員は人数ではなく、任せられる現場の範囲で捉える

社内の体制は、「社員が何人いるか」から一歩進めて、「誰に、どの現場なら任せられるか」で整理します。

在籍数年の社員が簡単な現場を担当できるのであれば、その範囲を受注計画に反映できます。一方、新たに入った経験者については、経験者という括りだけで、すべての長期現場を任せられる前提にはしないことです。

今回の不足が、簡単な現場を担当する人なのか、長期現場の管理を任せられる人なのかによって、必要な外注先も採用したい人も変わります。社員の対応範囲を具体化することが、そのまま人材確保の条件整理になります。

外注先には、案件が見えた段階で期間を伝える

外注を活用する場合は、受注が確定するまで何も伝えないのではなく、見込みの段階で工期を共有し、稼働の可能性を確認する進め方が合っています。

その際は、未確定であることも併せて伝えます。対応できそうという返事なのか、必要な期間の対応を確認できているのかを区別すれば、外注先を受注体制にどこまで織り込めるかが明確になります。

「空いていれば来てもらえる人」を、確保済みの管理者として数えないことが、外注判断の要点です。 候補者の予定が合わない可能性があるなら、ほかの協力先を確保する動きも並行して考えられます。

継続して不足する見通しが立てば、採用の比重を上げる

採用を判断する軸は、目の前の工事が1件決まったかどうかだけではなく、その後も管理を必要とする工事が続く見通しです。

特定の期間だけ長期現場が重なるのであれば、まず外注や協力先で補う考え方ができます。一方、継続受注が見え、長期現場の管理を任せる必要が繰り返し生じるなら、社内に管理者を増やす意味が大きくなります。

ただし、採用は必要になった時点ですぐ人が入るとは限りません。継続受注の見通しを確認しながら、求める経験や任せたい現場の整理は先に進めておくと、判断しやすくなります。

この会社のように、社内に簡単な現場を担えそうな社員がいて、外部にも管理者候補がいる場合は、その組み合わせで対応できる範囲を確かめ、その先に残る不足を採用で補う順序が考えられます。外注と採用を競合する選択肢にせず、短期の重複対応と継続受注への備えとして役割を分ける進め方です。

まとめ

施工管理の外注と採用は、工事件数ではなく、工期の重なり・現場の難易度・継続受注の見通しで判断します。 足元に余力があっても、約2か月続く現場と別案件が重なれば、管理体制の条件は変わります。

まずは短期工事と継続管理が必要な工事を分け、社内の誰にどこまで任せられるかを整理します。そのうえで外注先の稼働を早めに確認し、繰り返し発生する不足が見えてきたら、採用の比重を上げていきます。

受注を増やすことと、管理体制を整えることは、別々に決めるより、同じ案件の見通しをもとに考えるほうが判断しやすくなります。次の一手は、見込み案件と担当できる人を並べ、管理者が足りなくなる期間を確かめることから始められます。

現場が重なる時期を見据えた受注体制の整理

「外注で補えるのか、採用を進めるべきか」がまだ決まっていない段階でも、案件と人の状況から整理できます。 自社の場合に何から確認すればよいか迷うときは、見込み案件の工期と、社員・協力先に任せられる範囲を出発点にしてみてください。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。施工管理者の確保についても、受注の見通しと社内体制を踏まえ、協力先の確保や採用をどう組み合わせるか、一緒に考えます。

「うちの場合はどう考えるべきか」という段階からお話しいただけます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、次の整理先としてご相談ください。

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