昨年の繁忙から一転し、半年近く仕事が薄くなった会社の増員判断
忙しい時に人が足りなかった経験があっても、それだけでは増員を決めにくいものです。 翌年も同じだけの仕事があるとは限らないからです。
建設資材の販売・搬入を担う、十数名規模の会社でも、そんな迷いがありました。昨年は大きなピークがありました。一方、その翌年は春先から夏の終わりまで、仕事が薄い時期が続きました。
「今は人も足りています。もっと持っていく現場がなかったですね」
人がいなくて仕事を断っているのではありません。人はいるのに、動ける現場が少ない状態です。それでも、今後は仕事が増える見通しがあります。だからこそ、増員の判断が難しくなります。
「多すぎてもだめですし、少なすぎてもだめです」
この悩みは、資材を扱う会社だけのものではありません。工事の進み具合に合わせて人を配置する建設会社や専門工事会社にも、重なるところがあります。
繁忙期の人手不足に合わせて採用すると、翌年の人余りが気になる状況
整理したいのは、人手不足が普段から続いているのか、仕事が重なる時だけ起きるのかという違いです。 同じ「人が足りない」でも、選ぶ対応は変わります。
この会社では、経営者の実感として、数年に一度、人手が足りなくなる波がありました。毎年ずっと足りないわけではありません。
「今入れても、来年、暇だったらどうしよう」
忙しい時の負担を減らしたい気持ちはあります。ただ、人を増やした後に仕事が落ち着けば、その人の仕事も確保していく必要があります。今いる社員と、その家族の暮らしも支えたい。採用に慎重になるのは、その先まで考えているからでもあります。
一方で、今が落ち着いているからといって、将来も今の人数で回せるとは限りません。目の前の余力と、次の繁忙期に必要な人数。この二つを分けて捉えることが、判断の出発点になります。
工事計画の延期で、受注の好調さと実際に動く仕事量がずれる構造
仕事の話があることと、実際に人が動く時期が決まっていることは別です。 このずれが、増員への迷いを大きくしていました。
周囲では受注が好調という話がありました。しかし、自社が資材を納めるのは、その先です。工事が進まなければ、すぐに自社の仕事が増えるわけではありません。
資材の入荷が遅れる。工事計画が延期になる。予定していた仕事が、さらに先へ動く。そうした状況が重なっていました。
「始まる時期が分かっているならいいんですけど、まだ計画でしょう」
自社の努力だけで、着工や工事の進行を早められるわけではありません。仕事がない理由を、すべて営業や人員配置の問題に置き換えるのも、実態とはずれます。
また、延期された仕事が動き始めれば、今度は忙しくなる可能性があります。今の手持ち仕事だけを見れば余力がある。先の計画だけを見れば人が足りなく見える。その間をどう見通すかが、増員判断の難しいところです。
受注と工期の見通しを確かめ、業務余力・応援・増員を使い分ける考え方
採用するかどうかを先に決めず、仕事が動く時期と、今の人数で対応できる量を並べて確認すると、次の一手が選びやすくなります。 この会社で実際に行っていた時間の使い方の改善と、同業者との助け合いが、その手掛かりになります。
まずは「増える予定の仕事」が、いつ動くのかを確認する
受注が好調という情報だけでは、自社に必要な人数までは見えてきません。確認したいのは、自社の仕事が始まる時期と、今の仕事が終わる時期です。
整理する際は、次の点を押さえるとよいでしょう。
- すでに動いている仕事は、いつまで続くのか
- 次の仕事は、開始時期が決まっているのか、まだ計画段階なのか
- 延期された仕事が動いた時、ほかの仕事と重なるのか
- 忙しい時期を過ぎても、増員した人に任せる仕事が続くのか
これは先の仕事量を正確に言い当てるためではありません。開始時期が見えている仕事と、延期の可能性が残る計画を分けて、人数を考えるための整理です。
今の人数で生まれた余力を、仕事量と合わせて見る
この会社では、感染症流行期に終業時刻を18時から17時へ前倒ししました。その後も、元には戻していません。
「17時に帰れると思ったら、効率がよくなるわけです」
経営者は、終わりの時刻を意識することで、仕事の進め方が変わったと感じていました。さらに早い時間に作業が終わることもあるといいます。
ここから受け取りたいのは、どの会社も終業時刻を早めればよい、という話ではありません。増員の前に、すでに改善できた時間の使い方と、まだ残っている業務余力を確かめる視点です。
ただし、早く終わっている理由が、効率の改善なのか、単に仕事が少ないためなのかは分けて見たいところです。閑散期に時間が空いているだけなら、その余力をそのまま繁忙期の対応力とは考えにくいためです。
今の人数でどこまで対応できているのか。仕事量が増えた時にも、その進め方を保てるのか。そこまで確認すると、本当に人を増やす必要がある部分が見えやすくなります。
一時的なピークは同業者の応援、続く不足は増員の検討へ
この会社には、同業者同士で助け合う関係もありました。
「仕事があったら、応援する人もいます。その時にみんなで助け合うんです」
普段から顔を合わせ、互いの状況を話す機会もありました。繁忙期だけ人手が必要になるなら、こうした関係は大切な選択肢になります。
ただ、応援を頼める相手がいることと、必要な時に応援を受けられることは別です。周囲も同じように忙しくなる可能性があります。仕事が重なる時期の見通しと合わせて、応援を頼めそうか確認しておくと、採用判断の材料になります。
既存人員の余力で対応できる分は社内で、一時的な山は応援で、それでも継続して足りない分は増員で考える。 この切り分けなら、繁忙期の一番忙しい瞬間だけに合わせて、常時の人数を決めずに済みます。
もちろん、応援を前提にしても仕事が回らない状態が続くなら、増員を検討する理由になります。大切なのは、採用を避けることではありません。何の不足を補うために採用するのかを、はっきりさせることです。
まとめ
増員判断の軸は、今どれだけ忙しいかだけでなく、その忙しさがいつまで続き、今の体制ではどこが足りないかです。
工事計画が延期されれば、受注の話と実際の仕事量にはずれが生まれます。まずは、現在の仕事の終わりと、次の仕事の始まりを確認する。そのうえで、時間の使い方を変えて生まれた余力や、同業者に応援を頼める可能性を重ねて見ます。
「忙しいから採る」「今は暇だから採らない」の二択にしなくてもよいのです。一時的なピークと、継続して必要な仕事を分けるだけでも、増員を考える土台は整っていきます。
自社に必要な人数を、仕事の波から整理したい方へ
「うちの場合は、応援で対応するべきか、採用に動くべきか」という段階から整理できます。 受注の見通しがまだ固まっていない場合も、今分かっている仕事量と人員体制から考えられます。
ネクスゲートは、中小の建設会社・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。増員ありきではなく、現在の業務余力や繁忙時の協力体制も含め、自社に合う進め方を一緒に考えます。
何から整理すべきか分からない段階でも、ご相談いただけます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、まずは自社の状況を整理する場としてお声がけください。