前提

若手職人の確保に向け、近隣の工業高校への求人を始めた専門工事会社

高校への求人票の送付は、若手採用の入口です。その先に、仕事内容や入社後の成長を知ってもらう接点があるかで、見直すべきことが変わります。

鹿児島県にある内装系の専門工事会社では、職人の高齢化を背景に、高卒採用に力を入れ始めていました。社内には20〜30代の社員もいますが、施工を担う職人は年齢層が高く、若い人へ技術を引き継ぐことが課題になっています。

従来はハローワークを中心に採用してきました。求人誌への掲載も経験していますが、多くの求人が並ぶ限られた掲載枠では、自社の魅力を十分に伝えにくいと感じていました。

そこで、ここ数年で近隣の工業高校に求人票を出し始めました。建築に関わる仕事なので、まず工業系の学校を選んだという、自然な出発点です。一方、学校へ届ける情報は求人票が中心で、高校生向けの会社案内などは十分に整っていませんでした。

この段階で考えたいのは、求人の送付先や媒体を単純に増やすことではありません。学校や生徒が会社を知ったあと、働く姿を具体的に理解できる状態になっているか、という点です。

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課題

求人票だけでは、職人の仕事と入社後の成長が伝わりにくい状態

応募が来ない理由を、知名度や初任給の差だけで捉えず、自社を選ぶための情報が届いているかに分けて考える必要があります。

この会社が感じていたのは、大手企業との採用競争の厳しさでした。工業高校には大手からも求人が届き、初任給などの条件で比較されると、中小企業には難しい面があります。

ただ、条件面の比較とは別に、仕事内容を理解してもらうための情報も必要です。求人票で募集条件を確認できても、建設の仕事に詳しくない高校生が、それだけで職人として働く姿や成長の道筋まで思い描くのは簡単ではありません。

先生にとっても同じです。求人票を受け取ったことと、生徒に会社の特徴を説明できることは別です。どんな仕事を覚えられるのか、入社後にどう教えてもらえるのかがわからなければ、その会社を紹介するための材料が限られます。

採用ページがあっても、高校生が知りたいことに答えていなければ、この不足は残ります。必要なのは情報の置き場所を増やすことではなく、高校生と先生が仕事内容や成長を理解できる情報を用意することです。

背景

工業高校を選ぶ理由はあっても、学校への説明材料が不足している現状

建設の仕事だから工業高校へ、という訪問先の選び方だけでは、自社の魅力を届けるところまで設計できません。

工業高校を最初の候補にするのは合理的です。ただ、建築やものづくりを学ぶ生徒に採用の対象を絞ると、大手企業とも同じ学校で競うことになります。この会社でも、工業系以外に、普通科や農業系の学校へ求人を出すことが検討されていました。

訪問先を広げる際には、伝え方も変える必要があります。建築を学んでいない生徒に、業種名や工事名だけを示しても、仕事の内容は伝わりにくいためです。未経験から何を身につけられるのかという説明が、より重要になります。

一方で、この会社には長年施工を担ってきた職人がいるものの、若手への教え方には難しさもありました。採用時に成長を伝えるなら、実際に説明できる受け入れ方と結びつけることが欠かせません。

ここで必要なのは、立派な教育制度を掲げることではありません。現在どのように教えているのか、どこをフォローしているのかを整理し、実態に沿って伝えることです。会社の魅力は、見栄えのよい言葉を足すより、入社後に経験できることを具体的にするほうが伝わりやすくなります。

解決

高校生向けの会社案内と継続訪問を、自社で試すところからの見直し

誰に何を伝えるかを先に決め、紙一枚の会社案内と学校との接点づくりから始める方法があります。 ホームページの新設や全面的な外注を、最初の条件にする必要はありません。

工業系以外も、仕事内容を伝えられるかを軸に検討する

訪問先は、近隣の工業高校だけに固定せず、普通科や農業系の学校も候補にできます。ただし、工業系以外なら採用しやすい、という意味ではありません。

判断の軸は、その学校の生徒に対して、未経験から職人を目指す道筋を自社の言葉で説明できるかです。専門用語を前提にしない説明と、入社後の成長を伝える材料を用意することが、訪問先の見直しと一組になります。

紙一枚と採用ページで、伝える内容をそろえる

会社案内は、最初から冊子にする必要はありません。求人票では伝えきれない内容を、紙一枚にまとめるところから始められます。整理したいのは、次のような情報です。

  • 自社の職人が、どのような施工を担っているか
  • 未経験で入社した人が、どのように仕事を教わるか
  • 技術を身につけた先に、どのような役割を目指せるか

将来の役割については、職人として技術を深める道や、施工管理に関わる道など、自社で実際に説明できる範囲に絞ります。用意できていない育成の仕組みを、採用向けの表現だけで補わないことが大切です。

採用ページを整える場合も、この内容が土台になります。高校生がスマートフォンで調べた際に、紙で見た説明をさらに理解できるようにするためです。紙かホームページかを先に選ぶのではなく、伝える内容を決めてから、それに合う手段を選びます。

先生との接点を、求人票の受け渡しで終わらせない

学校訪問では、自社で働くことを理解してもらうために、先生との接点を継続して持つことが重要です。一度説明しただけで会社の特徴が十分に伝わるとは限らないためです。

会社案内を持参して仕事や成長の道筋を伝え、その際の反応を次の説明に生かします。どの内容には関心が向き、どの説明では伝わりにくかったかがわかれば、資料を直す方向も見えてきます。

学校との関係づくりは、自社が主体を持って進めたい部分です。資料制作などの支援を使うとしても、先生から何を聞かれ、自社としてどう答えたかを社内に残せる形が望ましいでしょう。

卒業生が入社したら、成長を伝える訪問につなげる

採用後には、入社した卒業生と一緒に学校を訪れ、本人から成長を伝えてもらう方法もあります。会社側が育成方針を説明することに加えて、卒業生自身が仕事で身につけたことを話せれば、先生が入社後の姿を理解する材料になります。

これは、その後の紹介を保証するものではありません。それでも、求人票だけでは見えなかった働く実態を伝えられる点で、意味のある接点です。採用前に伝えた内容と、卒業生の実際の成長がつながることで、学校との関係を積み重ねられます。

自社で試した反応と作業時間から、外部支援を判断する

外部支援は、何が伝わりにくいのか、何に手がかかるのかが見えてから選ぶと、依頼する範囲を定めやすくなります。

まずは自社で会社案内を作り、学校で説明してみます。そのうえで、内容をまとめることが難しいのか、制作に時間がかかるのか、訪問を続ける負担が大きいのかを分けて考えます。

自社対応にも人件費はかかります。資料づくりや訪問に使った時間を把握し、担当者の時間を他の業務に振り向ける価値と、外部に依頼する費用を比較します。

自社で続けられることは残し、難しい部分に支援を使う進め方なら、丸ごと任せる場合よりも、何のための依頼かを明確にできます。媒体やホームページを増やすかどうかも、この判断のあとに置くと整理しやすくなります。

まとめ

高校に求人票を送っても応募につながらないときは、送付数より先に、仕事内容と入社後の成長が伝わる状態を見直すことが出発点です。

近隣の工業高校への求人を続けながら、普通科や農業系も含めて訪問先を検討する。その際には、高校生向けの会社案内や採用ページを通じて、未経験から何を身につけられるのかを伝えます。

先生との接点を重ね、卒業生が入社したあとは、その成長も届けていく。こうした取り組みを、自社で試せる範囲から始めることが大切です。反応と運用負担がわかれば、資料制作や情報発信に外部支援を使うべきかも判断しやすくなります。

高校への求人を、何から見直すか整理したいときに

求人票、会社案内、採用ページ、学校訪問のどこから手をつけるかは、現在の取り組みを並べてみるところから整理できます。

ネクスゲートは、中小建設会社・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。高校生に伝える自社の魅力や、学校との接点づくりについても、現在の体制を踏まえて一緒に考えます。

自社の場合は何から整理すべきか、外部に任せる必要があるのかが決まっていない段階でもご相談いただけます。無理な営業はせず、自社で進める範囲も含めて整理しますので、必要に応じてお声がけください。

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