国土交通省は、住宅のレジリエンス性の確保に向けた先導的な取組を支援する「2050先導型住宅推進事業」について、第2回の企画提案募集を開始しました。自然災害が起きた場合でも、入居者ができる限り住み続け、生活を続けられる住宅づくりを後押しする事業です。

事業名

2050先導型住宅推進事業

募集内容

住宅のレジリエンス性の確保に向けた先導的な取組の企画提案

応募期間

令和8年9月18日(金)から10月19日(月)18時まで

モデル住宅の計画戸数

10戸以上50戸以下

採択公表予定

令和8年11月中

事務局

2050先導型住宅推進事業 評価・交付事務局

事務局HP

https://2050sendogata.mlit.go.jp/

予算上の位置づけ

令和8年度当初予算「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」308.60億円の内数

今回のポイントは「災害に強い住宅」をどう説明できるかです

今回の募集対象は、一般的には住宅被害などが想定される自然災害が発生した場合にも、入居者の「居住継続」や「生活継続」に資する住宅の取組です。

ここで大切なのは、単に「強い材料を使います」「設備を入れます」だけではなさそうだ、という点です。

国土交通省の資料では、提案にあたって、想定するリスクを明確にすることが求められています。例として、地震、台風、火災などが挙げられています。

そのうえで、次のような説明が必要です。

  • そのリスクの発生防止や低減にどう効くのか
  • 被害からの回復にどう役立つのか
  • 平常時、発災時、発災直後、発災後の回復期のどのフェーズに対応する措置なのか
  • 一戸単位の措置なのか、複数住戸単位の措置なのか
  • 効果をどのように検証するのか

つまり、「この住宅なら、災害時に入居者の暮らしをどう守れるのか」を、筋道立てて語れることが問われています。

10戸以上50戸以下。地域住宅会社にも関係し得る規模感です

モデル住宅の計画戸数は、10戸以上50戸以下とされています。さらに、事業期間内に着工予定の戸数であることが求められています。

この条件を見ると、完全な一棟単位の注文住宅というより、複数戸を計画する分譲住宅、建売住宅、賃貸住宅、地域でのモデル的な住宅供給などと相性がよい可能性があります。

もちろん、詳細な応募要件や補助対象の範囲は募集要領の確認が必要です。現時点の報道発表だけでは、補助率や対象経費などまでは読み取れません。

ただ、地域の住宅会社にとっては、「うちは災害に強い住宅をどう定義しているか」を見直すきっかけになります。

お客様との会話でも、こうしたテーマは増えています。

「地震の後も住める家にしたい」

「台風で停電したとき、どこまで生活できますか」

「避難所に行かずに家で過ごせる備えはありますか」

こうした問いに対して、性能、設備、間取り、維持管理、地域との関係まで含めて答えられる会社は、今後ますます選ばれやすくなります。

「レジリエンス」は商品企画の言葉になっていきます

レジリエンスという言葉は、少し硬く聞こえます。

ただ、住宅会社の現場の言葉に置き換えると、かなり身近です。

災害が起きても、できるだけ普段の暮らしを止めない住宅です。

この考え方は、耐震性能だけに限りません。台風、火災、停電、断水、避難、在宅避難、復旧まで含めて、暮らしをどう支えるかという発想です。

今回の資料でも、平常時、発災時、発災直後、発災後の回復期というフェーズが示されています。

これは大事です。

住宅会社側も、提案を考えるときに、次のように分けて整理できます。

  • 平常時:災害に備えて、どのような設計・設備・情報提供をしておくか
  • 発災時:被害を受けにくくするために、どのような措置を講じるか
  • 発災直後:停電・断水・通信障害などの中で、生活をどう支えるか
  • 回復期:修繕、点検、復旧までの流れをどう見える化するか

この整理は、補助事業への応募だけでなく、自社の商品説明や営業資料にも使えます。

「耐震等級を取っています」だけで終わらせない。

「災害後の3日間、家族がどう過ごせるか」まで説明する。

この差は大きいです。

応募を検討する会社がまず確認したいこと

応募期間は、令和8年10月19日(月)18時までです。採択事業は、応募提案を審査したうえで、11月中に公表される予定です。

応募を検討する場合は、まず事務局ホームページで募集要領を確認する必要があります。

そのうえで、社内では次の点を早めに洗い出したいところです。

  • 事業期間内に着工予定の住宅が10戸以上50戸以下であるか
  • 地震、台風、火災など、どのリスクを主な対象にするか
  • そのリスクに対して、どの措置が居住継続・生活継続に効くのか
  • 一戸単位の提案か、複数住戸単位の提案か
  • 効果検証の方法を説明できるか
  • 設計、施工、営業、アフター部門で同じストーリーを共有できるか

特に最後の点は、実務では重要です。

補助事業の提案書だけ立派でも、現場が理解していない。営業が説明できない。引渡し後の点検や使い方説明につながっていない。

これでは、せっかくの取組が会社の力になりにくいです。

レジリエンス提案は、設計・施工・営業・アフターをつなぐテーマとして扱うのがよいと思います。

中小建設業にとっての見方

今回の事業は、すべての建設会社がすぐ応募できるものではないかもしれません。

計画戸数の条件があります。先導的な取組であることも求められます。効果検証も必要です。

それでも、経営者として見ておきたい意味があります。

それは、国の住宅政策が「省エネ」だけでなく「災害時の生活継続」も重視しているということです。

2050年を見据えた良質な住宅ストック形成。その中に、カーボンニュートラルとレジリエンスが入ってきています。

地域の住宅会社にとっては、価格競争だけでは苦しくなりがちです。

一方で、災害に備えた住宅、停電時にも暮らしを支える住宅、復旧まで見据えた住宅という切り口は、地域のお客様にとって現実感があります。

「うちの地域なら、まず台風だよね」

「このエリアは浸水より停電対策が大事かもしれない」

「高齢の入居者が多いなら、発災直後の生活動線まで考えたい」

こうした会話を、商品企画や営業設計に落とし込める会社は強いです。

今回の募集は、単なる補助金情報としてだけでなく、これからの住宅価値をどうつくるかを考える材料として見ておきたいニュースです。

自社の住宅提案にどう落とし込むかを整理する

今回のような制度は、「応募できるかどうか」だけで終わらせるともったいないです。

自社の住宅が、どの災害リスクに対して、どのように暮らしを守るのか。営業資料、設計標準、仕様、見積、アフター対応まで、どこを整えると伝わりやすくなるのか。

そこを一度整理しておくと、補助事業への対応だけでなく、今後の商品づくりにもつながります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。住宅レジリエンスのように、制度、商品企画、営業、施工体制がつながるテーマも、会社ごとの状況に合わせて一緒に整理できます。

「うちの場合は応募を考えるべきか」「まず何を確認すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する壁打ち先として必要なときにご相談ください。

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