国土交通省、経済産業省、環境省は、令和8年10月20日、「住宅省エネ2024キャンペーン」の事務局である株式会社博報堂が運営するシステムにおいて、外部からの不正操作により、登録事業者情報が漏洩した可能性があると公表しました。
このキャンペーンは、子育てエコホーム支援事業、先進的窓リノベ2024事業、給湯省エネ2024事業、賃貸集合給湯省エネ2024事業の総称です。新築住宅や住宅リフォーム等に関する補助金で、交付申請は工事を実施する事業者等が行う仕組みです。住宅・リフォーム・設備工事に関わる会社にとっては、単なる情報漏洩ニュースではなく、自社の担当者情報、顧客対応、補助金手続きに関わる実務上の確認事項として見ておきたい内容です。
公表日 | 令和8年10月20日 |
対象 | 住宅省エネ2024キャンペーンの登録事業者情報 |
事務局 | 株式会社博報堂 |
発生内容 | 外部からの不正操作により登録事業者情報が漏洩した可能性 |
判明している対象規模 | 23,918名、16,950事業者(速報値) |
含まれる可能性がある情報 | 法人代表者情報、個人事業主情報、補助金担当者情報など |
現時点での消費者情報 | 本補助事業を利用した消費者の個人情報漏洩は確認されていない |
システム状況 | 被害拡大防止のため全てのシステム機能を停止中 |
相談窓口 | 住宅省エネ2024キャンペーン事務局 電話相談窓口 0570-062-065 |
漏洩した可能性がある情報は、現場会社にとってかなり実務的です
今回、漏洩した可能性があるとされているのは、事業者に関する個人情報です。国土交通省の発表では、次の情報が含まれることが現時点で判明しています。
- 法人の代表者情報:氏名、肩書
- 個人事業主情報:氏名、住所
- 補助金担当者に係る情報:氏名、部署、役職、業務で用いている住所・電話番号・メールアドレス
ここで重要なのは、漏洩可能性のある情報が「補助金担当者の日常業務に直結する連絡先」であることです。
建設会社では、補助金申請を営業担当、事務担当、工務担当が兼務していることも多いです。担当者のメールアドレスや電話番号が悪用されると、「補助金事務局を名乗るメール」「再申請を求める案内」「添付ファイルの確認依頼」のような形で、現場に紛れ込みやすくなります。
国の発表でも、なりすまし、フィッシング詐欺メール、ウイルス感染メールへの悪用可能性が示されています。不審なメールの添付ファイルを開かない、本文中のURLをクリックしない、メールごと削除することが呼びかけられています。
まず確認したいのは「自社が登録事業者だったか」です
今回の対象は、「住宅省エネ2024キャンペーン」で交付申請等の手続きを行うために登録されていた事業者です。
住宅リフォーム、窓改修、給湯器交換、省エネ設備、賃貸集合住宅の給湯設備などに関わった会社は、過去の申請履歴を確認しておくとよいです。特に、2024年当時に次のような補助事業を扱っていた会社は、自社内で確認しておきたいところです。
- 子育てエコホーム支援事業
- 先進的窓リノベ2024事業
- 給湯省エネ2024事業
- 賃貸集合給湯省エネ2024事業
情報が漏洩した可能性のある登録事業者には、事務局から個別に謝罪と注意喚起の連絡をしているとされています。したがって、まずは自社の補助金担当者、代表メール、当時の登録メールアドレス宛に事務局から連絡が来ていないかを確認するのが現実的です。
システム停止により、完了実績報告などの手続きにも注意が必要です
発表によると、被害拡大防止のため、現在すべてのシステム機能が停止されています。今後、システム機能の点検と再発防止策を講じたうえで、「子育てエコホーム支援事業」の完了実績報告の受付等に必要なシステム機能に限り、提供を再開する予定とされています。
ここで中小建設業が見ておくべき点は、情報漏洩対応と同時に、補助金実務の進行にも影響が出る可能性があるということです。
現時点で、国土交通省の発表から読み取れるのは「全機能停止中」「必要な機能に限って再開予定」というところまでです。再開時期や具体的な運用方法については、事務局ホームページ等の案内を確認する必要があります。
補助金案件を抱えている会社では、次の確認をしておくと安心です。
- 完了実績報告が残っている案件があるか
- 顧客に説明が必要な案件があるか
- 事務局からの正規連絡を誰が確認するか
- 不審メールと正規連絡をどう見分けるか
- 担当者が退職・異動している場合、登録メールを誰が見られる状態か
特に最後の点は、建設会社でよく起きます。補助金申請時の担当者がすでに異動・退職していて、会社として通知を見落とすケースです。補助金は「申請した人」ではなく「会社の案件」として管理するという意識が大切です。
顧客から聞かれたときの説明は、事実ベースで十分です
今回の発表では、現時点において、本補助事業を利用した消費者に係る個人情報の漏洩は確認されていないとされています。また、住宅省エネ2026キャンペーンなど、他年度の同種補助事業に関する登録事業者情報の漏洩もないことを確認しているとされています。
顧客から「うちの情報は大丈夫なのか」と聞かれた場合は、慌てて独自判断をするより、発表内容に沿って説明するのがよいです。
たとえば、社内では次のように整理しておくと対応しやすくなります。
- 現時点で消費者の個人情報漏洩は確認されていない
- 漏洩可能性があるのは登録事業者側の情報とされている
- 詳細な原因や被害状況は調査中
- 相談窓口が設置されている
住宅省エネ2024キャンペーン事務局の電話相談窓口は、受付時間が9:00〜17:00(土日祝休日、年末年始を除く)、電話番号は0570-062-065、IP電話からは050-3524-7232です。消費者向けには、住まいるダイヤルの電話相談窓口も案内されています。
補助金活用が進むほど、情報管理は経営課題になります
今回の件は、補助金制度そのものの否定ではありません。むしろ、省エネ改修や住宅性能向上の流れの中で、補助金を上手に活用できる会社の価値は今後も高まります。
一方で、補助金を扱うということは、申請システム、顧客情報、担当者情報、外部事務局とのメール連絡など、会社の外側と多くの情報をやり取りするということでもあります。補助金活用は、営業施策であると同時に、情報管理の仕組みづくりでもあると捉えるべきです。
中小建設業では、情報システム部門がなく、総務や営業事務が兼務で対応している会社も少なくありません。それでも、次のような基本動作は十分に整えられます。
- 補助金ごとの登録メールアドレスを一覧化する
- 担当者個人任せにせず、会社で通知を確認できる体制にする
- 不審メールを受けた場合の報告先を決める
- 補助金関連メールの添付ファイルやURLを開く前に、送信元を確認する
- 顧客から問い合わせが来たときの回答方針を共有する
大きなシステム投資の前に、まずは「誰が、どのメールを、どの基準で確認するのか」を決めることが重要です。ここが曖昧なままだと、制度が増えるほど現場が疲弊し、リスクも見えにくくなります。
自社の補助金実務と情報管理を整理するきっかけにする
今回のようなニュースを見たとき、「うちは大丈夫だろう」で終わらせず、補助金案件の管理、担当者情報、顧客への説明、メール確認ルールを一度棚卸ししておくと、次の制度活用がかなり楽になります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。補助金活用そのものだけでなく、社内の情報管理や担当者任せになっている業務の整理も、建設企業の持続的成長には欠かせないテーマです。
「自社が何を確認すべきか整理したい」「補助金対応を担当者任せから会社の仕組みに変えたい」「どこから手をつければよいかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、今回の件をきっかけに、自社の実務を落ち着いて整理したい方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。