国土交通省は令和8年10月20日、リコール対象が100台未満の「少数台数リコール」について、令和8年9月分として5件の届出があったと公表しました。

今回の公表には、フォークリフト、大型トラック、ロータリ除雪自動車など、建設会社や関連事業者が現場・資材置場・運搬・除雪業務で使用している可能性のある車両が含まれています。

公表日

令和8年10月20日

対象月

令和8年9月分

公表内容

リコール対象が100台未満の少数台数リコール届出

届出件数

5件

建設業が確認したい対象

フォークリフト、大型トラック、ロータリ除雪自動車など

確認方法

販売店、届出者、メーカー等ホームページの検索画面等

今回公表された5件の概要は次の通りです。

届出者

主な車名・通称名

対象台数

製作・輸入期間

不具合の概要

住友ナコフォークリフト株式会社

SN/FD25PAXIII 他

29台

平成21年8月21日〜令和8年1月30日

特殊仕様車の後写鏡が視界試験の要求仕様を満たさない位置に取り付けられており、後方の交通状況を確認できず、保安基準に適合しない

Stellantisジャパン株式会社

フィアット/デュカト

42台

令和7年9月1日〜令和7年11月27日

燃料リターンホースの柔軟性が不足し、接続部から燃料が漏れ、最悪の場合、火災に至るおそれ

本田技研工業株式会社

ホンダ/Super-ONE

1台

令和8年4月24日

電動機用制御装置の通電板と高電圧端子の密着力不足により、走行不能となるおそれ

株式会社パブコ

三菱/ふそうスーパーグレート

97台

令和7年2月5日〜令和8年4月17日

オプションの後部クッション材装着時、尾灯の幾何学的視認性が保安基準に適合しない

株式会社NICHIIJO

ニッセキ/HTR608 他

34台

平成17年12月21日〜令和8年2月6日

ロータリ除雪自動車のリヤフレームに亀裂が発生し、最悪の場合、操舵不能となるおそれ

中小建設業が見るべきポイントは「台数の少なさ」ではなく「自社にあるか」です

今回のリコールは、いずれも対象台数が100台未満です。数字だけを見ると、全国的には小さな話に見えるかもしれません。

しかし、建設会社にとって大事なのは全体台数ではありません。自社の車両台帳の中に、対象となる車両・型式・製作期間のものが1台でもあるかどうかです。

特に注意したいのは、次のような車両です。

  • 資材置場や工場、倉庫で使っているフォークリフト
  • 土木・建築資材、産廃、重機部材などの運搬に関わる大型トラック
  • 自治体業務や冬期維持作業で使うロータリ除雪自動車
  • リース・レンタル・中古購入で導入した車両
  • 協力会社が現場に持ち込む車両

少数台数リコールは、対象が特殊仕様車や特定オプション装着車に限られることがあります。今回も、フォークリフトでは「特殊仕様車の後写鏡」、ふそうスーパーグレートでは「オプションで設定された後部クッション材」が関係しています。

つまり、車名だけでは判断し切れないケースがあるということです。通称名が似ていても、型式、製作期間、仕様、オプションの有無で対象外・対象内が分かれる可能性があります。

実務では、車両台帳と現物確認をセットで進めたいです

今回のような公表を見たとき、現場で使いやすい確認手順はシンプルです。

  1. 車両台帳に、車名・型式・初度登録・製作年・導入経路を記載しているか確認する
  2. 該当しそうな車両について、車検証や車体表示で型式を確認する
  3. メーカー、販売店、届出者の検索画面や問い合わせ窓口で照合する
  4. リース・レンタル車両は、所有者・貸主側にも確認する
  5. 協力会社の持込車両については、必要に応じて現場入場時の確認項目に加える

ここで大切なのは、担当者任せにしすぎないことです。

「たぶんうちは関係ない」ではなく、車両台帳で確認した結果として、関係ないと言える状態にしておく。この小さな違いが、安全管理の質を分けます。

建設業では、バックホウやクレーンなどの建設機械には目が向きやすい一方で、フォークリフト、トラック、除雪車、社用車といった「日常的に使う車両」の管理は、総務・工務・現場それぞれに分散しがちです。

今回の公表は、そうした分散管理を見直すきっかけにもなります。

不具合内容を見ると、現場事故につながり得るものが含まれています

今回の5件には、単なる表示や書類上の問題だけでなく、現場の安全に直結し得る不具合が含まれています。

たとえば、住友ナコフォークリフトの届出では、後写鏡が要求仕様を満たさない位置に取り付けられ、後方の交通状況が確認できず、保安基準に適合しないとされています。

資材置場や倉庫では、フォークリフトの後退時に人、車両、資材が近接します。後方確認に関わる不具合は、現場のヒヤリハットに直結しやすい領域です。

また、NICHIIJOのロータリ除雪自動車では、リヤフレームのステアリングシリンダブラケット取付部に亀裂が発生し、最悪の場合、操舵不能となるおそれがあるとされています。

除雪作業は、視界が悪く、路面状況も安定しない環境で行われます。操舵に関わる不具合は、作業者だけでなく、周囲の道路利用者にも影響し得ます。

Stellantisジャパンのフィアット・デュカトでは、燃料リターンホースの接続部から燃料が漏れ、最悪の場合、火災に至るおそれがあるとされています。

保有している会社は限られるかもしれませんが、燃料漏れや火災のおそれがあるものは、該当確認を後回しにしない方がよい内容です。

「少数台数」ほど、見落としやすいという前提で管理したいです

大規模リコールはニュースになりやすく、メーカーや販売店からの案内も社内で認識されやすい傾向があります。

一方で、少数台数リコールは、対象が限定的である分、社内で見落とされやすい面があります。特に中小建設会社では、車両管理の担当者が他業務と兼務していることも多く、郵送物やメールの確認が日々の業務に埋もれてしまうことがあります。

そのため、仕組みとしては次のような形が現実的です。

  • 月1回、国土交通省やメーカーのリコール情報を確認する担当を決める
  • 車両台帳に「リコール確認日」「対応状況」の欄を設ける
  • 車検・定期点検・保険更新のタイミングでリコール確認を同時に行う
  • リース車両は契約先に確認ルールを明確にしておく
  • 現場入場する協力会社車両についても、必要に応じて安全書類や入場時確認に反映する

完璧な仕組みを一気につくる必要はありません。まずは、車両台帳を見れば、どの車両を誰が確認したか分かる状態にすることが第一歩です。

経営者にとっては、車両管理を「安全」と「稼働率」の両面で見る話です

リコール対応は、安全管理の話であると同時に、稼働率の話でもあります。

現場に必要なトラックやフォークリフトが急に使えなくなると、工程、搬入、出荷、除雪対応に影響が出ます。特に少人数で回している会社ほど、1台の停止が大きな負担になります。

だからこそ、リコール情報を早めに把握し、点検・修理の段取りを通常業務の中に組み込むことが重要です。

「壊れてから止まる」のではなく、「止める日を自社で決める」。この発想が、車両管理では非常に大切です。

今回の公表をきっかけに、対象車両の有無だけでなく、自社の車両管理そのものを一度見直しておくとよいでしょう。

自社の車両管理を整理するきっかけにする

今回のリコール公表は、対象会社だけの話に見えるかもしれません。しかし、中小建設業にとっては、車両台帳、リース車両、協力会社車両、安全確認の流れを整えるよい機会です。

「うちの車両台帳で本当に追えるのか」「現場に入る車両までどこまで確認すべきか」「安全管理と総務管理が分かれていて整理しにくい」と感じる場合は、一度、業務の流れとして棚卸ししてみると見えるものがあります。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、現場・安全・組織・原価・デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行を支援しています。車両管理や安全管理も、単独の書類整備ではなく、会社全体がものづくりに集中できる体制づくりの一部として考えることが大切です。

「うちの場合はどう考えるべきか」「まず何から整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要なときに次の整理先としてご活用ください。

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