国土交通省は、i-Construction、インフラDX、AI利活用の推進に向けて、AIが回答内容に応じて追加質問を行う「対話型AIアンケート」を試行すると発表しました。対象はi-Construction・インフラDXコンソーシアム会員で、実施期間は令和8年10月から11月末までです。i-Construction開始から約10年間で変化したこと、十分に変化していないこと、現場の課題、AIを含めて今後重点的に取り組むべき事項などを収集し、今後の施策検討やコンソーシアム活動に活用するとされています。

実施主体

国土交通省

取組名

インフラDX・AIの取組に関する「対話型AIアンケート」

対象者

i-Construction・インフラDXコンソーシアム会員

実施期間

令和8年10月~11月末

実施方法

コンソーシアム会員が利用可能な専用サイト上で、AIとの対話形式により実施

主なテーマ

i-Construction開始から約10年間で変化したこと、十分に変化していないこと、現場課題、AIを含め今後重点的に取り組むべき事項など

活用目的

今後の施策検討、コンソーシアム活動の充実、AIを活用した意見収集手法の有効性検証

今回のポイントは「アンケート」そのものより、国交省が現場の課題をAIで深掘りし始めたことです

今回の発表は、補助金や義務化のように、すぐに各社の実務対応が発生するものではありません。対象も、i-Construction・インフラDXコンソーシアム会員に限られています。

ただし、中小建設業にとって見逃しにくいのは、国土交通省が、i-Constructionの10年を振り返り、次の改善テーマとしてAIやDXの現場実装を本格的に整理しようとしている点です。

これまでのi-Constructionは、ICT施工、3次元データ活用、施工管理の効率化など、主に生産性向上の文脈で進んできました。今回のアンケートでは、そこに加えて、「現場で何が変わったのか」「何がまだ変わっていないのか」「AIを含めて今後どこに重点を置くべきか」が問われます。

つまり、国の関心は単なる技術紹介ではなく、現場に定着しなかった理由や、制度・発注・人材・業務フロー上の詰まりを拾い上げる段階に入っていると読めます。

中小建設業が見るべきは「AIを使うかどうか」ではなく「どの業務が変わるか」です

AIという言葉が出ると、どうしても大企業向けの話、研究開発の話に見えがちです。しかし、今回のテーマはインフラ分野のAI実装です。建設会社側から見ると、影響が出やすいのは次のような領域です。

  • 書類作成や報告業務の効率化
  • 施工管理・出来形管理・品質管理のデータ活用
  • 写真、図面、点群、日報などの情報整理
  • 発注者との情報共有や協議の進め方
  • 人手不足を前提にした現場運営の標準化

今回の発表だけで、具体的な制度変更や新しい義務が示されたわけではありません。そこは慎重に見る必要があります。

一方で、公共工事の現場でDXやAIが進むほど、会社側にも「データを残す力」「デジタルで共有する力」「業務を標準化する力」が求められる可能性は高まります。

中小建設業にとって重要なのは、最新ツールを一気に導入することではありません。まずは、日報、写真、出来形、原価、工程、安全、協力会社とのやり取りなど、日々の情報がどこにあり、誰が、どの形式で、どう使っているかを把握することです。

コンソーシアム会員企業は、自社の「うまくいかなかったDX」も意見として出す価値があります

今回のアンケートは、AIが回答内容に応じて追加質問を行い、経験や問題意識を対話形式で深掘りする形式とされています。

これは、単純な選択式アンケートよりも、現場側の違和感や、制度と実務のズレを伝えやすい仕組みになる可能性があります。

たとえば、次のような内容は、今後の施策検討にとって重要な材料になります。

  • ICT施工を導入したが、採算面で継続しにくかった
  • 発注者側の運用と現場の実態にズレがあった
  • データを作っても、次の工程や次の工事で活用しきれなかった
  • 若手は使えるが、会社全体の業務フローに乗らなかった
  • ソフトや機器よりも、人材育成や標準化のほうが課題だった
  • 小規模工事では、DX導入の費用対効果が見えにくかった

こうした内容は、単なる不満ではありません。中小・専門工事会社がDXを進めるうえでの実装課題そのものです。

コンソーシアム会員であれば、自社の成功事例だけでなく、うまく進まなかった点も含めて整理して回答することに意味があります。

非会員企業も「国が何を聞こうとしているか」は確認しておきたいところです

今回のアンケート対象はコンソーシアム会員です。ただし、非会員の中小建設企業にとっても、発表内容から読み取れることがあります。

それは、今後のインフラDX・AI施策では、技術そのものよりも、現場の課題、業務変化、導入の壁が重視されていく可能性があるということです。

国土交通省は、今回の主なテーマとして、i-Construction開始から約10年間で「変化したこと」「十分に変化していないこと」「現場の課題」「AIを含め今後重点的に取り組むべき事項」を挙げています。

これは、自社内でもそのまま使える問いです。

  • この10年で、現場管理は本当に楽になったか
  • 写真、書類、図面、工程、原価の扱いは変わったか
  • DXツールは導入しただけで止まっていないか
  • 現場代理人や職長の負担は減ったか
  • 若手が定着しやすい業務環境になっているか
  • AIを使う前に、そもそも社内データが整理されているか

国の施策を待つだけでなく、自社の業務をこの問いで棚卸しすることが、次のDX投資の失敗を減らす第一歩になります。

経営者が今考えておきたいこと

今回の発表から、中小建設業の経営者が考えておきたいのは、次の3点です。

1つ目は、DXやAIを「現場の省人化」と「管理部門の負担軽減」の両面で見ることです。現場だけに押しつけると定着しません。施工管理、総務、経理、安全、採用まで含め、どこに情報の二重入力や属人化があるかを見る必要があります。

2つ目は、公共工事の変化に備えて、データを扱える会社になることです。大がかりなシステム導入でなくても、写真、日報、原価、工程、労務、安全記録を整理して蓄積するだけで、次の一手が打ちやすくなります。

3つ目は、AI導入を目的にしないことです。AIは、整理された業務やデータがあって初めて効果を出しやすくなります。逆に、業務手順があいまいで、情報が個人の頭の中や紙、Excel、チャットに散らばっている状態では、AI以前の整理が必要です。

今回の「対話型AIアンケート」は、国が現場の声を集める取組です。同時に、建設会社側にとっては、自社のDXがどこで止まっているのかを見直すきっかけとして使えるニュースです。

自社のDX・AI活用を考える前に、業務の詰まりを整理する

DXやAIの話は、ツール選びから始めると迷いやすくなります。まず整理したいのは、自社の中で「何に時間がかかっているのか」「どの情報が二重入力になっているのか」「誰に業務が集中しているのか」です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業がものづくりに集中できる状態をつくるためには、制度や技術の話を、自社の業務に落とし込むことが大切です。

「うちの場合、AIやDXはどこから考えるべきか」「まず何を整理すればよいか」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、状況整理の相手が必要なときは、お問い合わせはこちらからご相談ください。