前提

社員の高齢化を受け、会社紹介資料がないまま始めた高校への働きかけ

高卒採用を始めるときは、学校への働きかけと、会社を知ってもらう準備を一緒に進めることが大切です。

九州地方のある建設会社では、社員の高齢化を受けて、若手の採用に取り組み始めていました。「高卒採用をしたい」という思いがあり、すでに高校にも足を運んでいます。

ただ、会社を説明するホームページはありません。パンフレットも、まだ作っていない状態でした。

若い人に来てほしい。だから、まず学校へ行ってみる。その動き出しは大事です。一方で、訪問先に会社の情報を残せなければ、先生が生徒に説明する材料も限られます。生徒が関心を持っても、家で保護者と話すときに見せられるものがありません。

必要なのは、立派な採用サイトを完成させてから動くことではありません。まずは、どんな仕事をする会社で、入社した人をどう育てていくのか。その説明を、学校訪問と並行して整えることです。

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課題

学校を訪ねても、生徒・教員・保護者が会社を判断する材料の不足

訪問回数を増やすだけでは、生徒が見学を希望し、周囲と相談して会社を選ぶところまでつながりにくい場合があります。

この会社は、採用への意欲がないわけではありません。むしろ、必要性を感じて行動しています。足りないのは、その行動を次の接点につなげる材料です。

先生には、どんな仕事を任せる会社なのかを説明する必要があります。生徒には、実際に働く場所や人を見てもらう機会が必要です。保護者にも、仕事内容や育成の考え方が伝わると、家庭で話し合いやすくなります。

ホームページやパンフレットは、そのための手段です。作ること自体が採用の成果ではありません。

「学校へ行った」「資料を渡した」で終わらず、見学につながったか。見学後に、本人が会社を説明できる状態になったか。ここまでを一続きで考えると、準備すべきものが見えてきます。

背景

限られた地元就職者と、地域によって異なる先生の関わり方

高卒採用の計画は、地域の学校数と地元就職を希望する生徒数から考えると、無理のない形に近づきます。

別の地域で高卒採用に取り組む会社からは、対象となる高校が数校に限られるという話がありました。建築系の学科に数十人の生徒がいても、全員が地域の建設会社へ就職するわけではありません。進学や県外就職などで、進路は分かれます。

その会社では、「一人、二人を採るために、十人ぐらいは見学に来てもらう」という考え方で計画を立てていました。これは一般的な採用率ではなく、その会社なりの目安です。それでも、採用人数だけでなく、必要な見学者数まで考えている点は参考になります。

また、その地域では、見学先を考える際に先生の関わりが大きいという実感がありました。「まずは見学に来てもらう。そのためには先生」という言葉も出ています。

一方で、生徒がスマートフォンで求人情報を探し、先生に希望を伝える学校もあるという話がありました。教員の影響度も、生徒の情報収集方法も、一律ではありません。

「高校生は先生の推薦で決める」「今は全員スマホで探す」と決めつけず、対象校の実情を確かめることが出発点です。

解決

採用目標から逆算し、会社紹介・見学・成長報告をつなぐ準備

最初に整えたいのは、採用人数、対象校、伝える内容、見学後の報告までがつながった小さな計画です。

ホームページかパンフレットかを先に決めるより、誰に何を伝え、次にどう動いてもらいたいかを整理します。進め方は、次の四つに分けると考えやすくなります。

1.対象校と地元就職の状況を確かめる

まず、自社が採用対象とする高校を整理します。学校数だけでなく、関連する学科の生徒数、地元就職の状況、求人情報の見られ方も確認したいところです。

そのうえで、採用したい人数に対し、何人に見学してもらう必要がありそうかを考えます。先ほどの「十人ほどの見学から一人、二人」という計画を、そのまま当てはめる必要はありません。自社の実績がなければ、まず仮の目標として置き、実際の見学・応募の状況から見直します。

判断したいのは、学校訪問の件数を増やすべきか、それとも、すでに接点のある学校へ会社の説明を充実させるべきかです。対象となる生徒数が限られる地域ほど、この整理が役立ちます。

2.仕事内容と育成方針を、持ち帰れる資料にする

会社紹介では、仕事内容と、入社後にどう育てていくかを、生徒・教員・保護者が理解できる言葉でそろえます。

ホームページもパンフレットもないなら、まず会社紹介の内容をまとめるところから始めます。その内容を、学校へ渡す資料やホームページに展開していく考え方です。

資料の見栄えより先に、説明と実態が合っているかを確かめます。育成方針も、採用のために良く見せるのではなく、実際に社内で取り組める内容を伝えることが大切です。

3.職場見学を、家庭でも振り返れる接点にする

見学を受け入れている会社では、写真と見学内容をまとめ、紙の報告書を作っていました。学校へ報告し、生徒にも持ち帰ってもらう取り組みです。

そこには、「家に持って帰って、親に見せたら、いい会社だねと言われるように」という意図がありました。

これは、会社を飾るための資料ではありません。生徒が何を見たのかを、学校や家庭でも共有できるようにする工夫です。口頭の感想だけでは伝わりにくい仕事内容も、写真と説明があれば振り返りやすくなります。

会社紹介資料で知ってもらい、見学で確かめてもらい、見学報告で周囲にも伝わるようにする。 このつながりを整えると、一度の見学をその場限りにせずに済みます。

4.入社後の成長を、学校との関係につなげる

採用後も、学校に育成の様子を伝える接点を持ちます。卒業生と一緒に学校を訪ね、本人から成長を話してもらう取り組みも挙がっていました。

「ちゃんと育成して、先生に、ちゃんとやってくれる会社だと認めてもらう」。この言葉には、翌年以降の採用につながる視点があります。

採用前に説明した育成方針と、入社後の実際の姿。その両方が学校に伝わることで、継続的な信頼を築きやすくなります。

なお、学校への接触時期や求人・応募・選考の進め方は、最新の地域ルールと学校の方針を確認して決めます。 ハローワークや対象校に確認し、認められる時期と方法で進めることが前提です。成長報告を、採用活動の制限を避ける手段として扱うものではありません。

まとめ

高齢化を受けた高卒採用では、「若手がほしい」を、地域に合った採用計画と会社を理解できる接点に変えることが最初の一歩です。

まず、対象校と地元就職の状況を確認します。次に、採用目標と必要な見学者数を考えます。そのうえで、仕事内容と育成方針を資料にまとめ、職場見学、写真付きの見学報告、入社後の成長報告へつなげます。

ホームページやパンフレットが未整備でも、準備は始められます。すでに学校を回っているなら、訪問を止めて作り直すのではなく、相手が会社を理解するために足りない材料を、一つずつ補っていく進め方が考えられます。

自社の高卒採用で、先に整えるものを考えるために

「学校には行き始めたが、次に何を用意すればよいかわからない」という段階から、採用準備を整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。高卒採用でも、会社紹介資料だけを切り離さず、学校との接点や育成体制を含めて、何から整えるかを一緒に考えます。

「うちの地域ではどう考えればよいか」というご相談でも大丈夫です。無理にサービスの利用を勧めることはありません。今ある取り組みと、まだ整っていない部分を確認する機会としてご活用ください。

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