現場を任せる人を迎えたい、地方の小規模建設会社の採用準備
求人で伝える内容は、「人が必要」という事情だけでなく、入社後に何を任せたいかから整理することが出発点です。
佐賀県にある小規模な建設会社では、社長が内勤と現場管理を兼ねていました。施工は協力会社に頼れる部分がある一方、現場を回す役割まで社長一人で担い続けるには限りがあります。まずは一人、二人と、現場を任せられる人を迎えたい状況でした。
ただ、人数が増えれば誰でもよいわけではありません。社長には「早くうちのやり方を覚えてもらうに越したことはない。でも、焦って雇っても、というところもある」という考えがありました。
求人広告はまだ制作中で、応募の反応を見るのはこれからです。その段階で気にしていたのが、仕事内容そのものへのイメージでした。汚れる、きついと受け取られやすい建設業に、どんな人が関心を持ってくれるのか。広告を出す前から考えておきたい問いです。
給与と待遇を並べるだけでは伝わらない、仕事への興味の入口
待遇は応募を判断する材料ですが、それだけでは「この仕事を知ってみたい」というきっかけが伝わりにくい場合があります。
「建設業は、今の若い人が積極的に来る道ではないのではないか」。社長の言葉には、仕事の選択肢が増えるなかで、自社の仕事が選ばれるのかという疑問がありました。
ここで分けたいのは、仕事内容に厳しい面があることと、その仕事に関心を持つ人がいないことです。汚れを伴う仕事でも、働く場所や作業の特徴に興味を持つ人はいるかもしれません。ただし、求人が職種名と給与、休日の説明だけなら、その関心と結びつく前に読み飛ばされてしまう可能性があります。
必要なのは、実際よりよく見せることではありません。仕事の特徴を隠さず、その特徴に関心を持つ人へ届く言葉にすることです。
応募を増やしたいからといって、仕事内容を曖昧にする必要はありません。むしろ、何をする仕事なのかが伝わるほうが、応募する側も自分に合うかを考えやすくなります。
下水道点検の「汚れやすさ」と「普段入れない場所で働けること」の表裏
会社が採用上の弱みと感じている特徴にも、別の角度から伝えられる面があります。
参考になるのが、岩手県で下水道の点検を行う会社の例です。マンホールの中に入って作業するため、作業服に下水道内の汚れが付きやすい仕事でした。経営者自身も「うちには、なかなか人が来ない」と感じていたそうです。有料で求人を掲載していても、応募につながりにくい状況でした。
そこで変えたのは、給与や待遇ではなく、求人の打ち出し方です。それまでの「下水道を点検する仕事です。給与と待遇はこうです」という説明から、「マンホールの中に入れる仕事です」という特徴を前面に出しました。
同じ仕事内容でも、汚れやすさだけでなく、普段は入れない場所で働けるという面を伝えたわけです。大勢に広く好かれる表現より、その特徴を面白いと感じる人の関心を引くことを狙っていました。
その後は、無料掲載で打ち出し方を試し、反応を見ながら修正し、有料掲載へ進めています。単に目立つ一言へ変えたのではなく、誰に何を伝えるかを考え直したうえで、掲載の仕方も段階的に変えた例です。
この表現を別の会社がそのまま使えばよい、という話ではありません。持ち帰りたいのは、仕事を変えずに、興味を持ってもらう入口を見直した考え方です。
人物像・仕事の特徴・採用経路をそろえ、無料掲載から確かめる進め方
先に「誰に、何を、どこで伝えるか」をそろえ、その組み合わせへの反応を確かめてから掲載費をかけます。
最初に整理したいのは、採用したい人物像です。相談企業で必要だったのは、単に現場作業をする人ではなく、将来的に現場を任せられる人でした。ここが曖昧なままだと、応募はあっても、任せたい役割と応募者の希望が合わないことがあります。
まずは、次の三つを一組にして書き出します。
- 採用したい人物像: どの役割を担ってほしいのか。経験者を求めるのか、未経験者も対象にするのか。
- 実際の仕事の特徴: 何をする仕事で、どこに関心を持ってもらえそうか。汚れやきつさなど、応募前に伝えるべき面は何か。
- 利用する採用経路: その人物像の人が仕事を探す場所と、利用を考えている求人媒体が合っているか。
下水道点検の例なら、「普段入れない場所で働くことに興味を持つ人」と「マンホール内で行う点検作業」を結びつけています。職種名だけでは伝わりにくい特徴を、応募者が関心を持てる具体的な言葉にしています。
一方、相談企業のように現場を任せる人を求めるなら、仕事内容への興味をつくるだけでなく、どんな役割を期待しているかも伝える必要があります。関心を引く言葉と、任せたい仕事の説明はセットです。
次に、無料掲載が利用できる媒体で、打ち出し方への反応を確かめます。求人の冒頭で何を伝えるかを見直し、応募につながるかを見ます。応募があった場合も、人数だけでなく、求める役割への理解や関心が合っているかを確認します。
無料掲載は、費用を抑えるだけでなく、自社の仕事がどんな言葉で伝わるかを探る機会です。
反応がなければ、仕事の魅力がないと決める前に、人物像・表現・掲載先のどこを見直すかを考えます。狙う人に届いていないのか。仕事内容が職種名だけで終わっているのか。関心は引けても、任せたい役割が伝わっていないのか。三つを分けて振り返ると、修正する箇所を絞れます。
有料掲載へ進む判断軸は、応募数だけではありません。仕事内容を理解したうえで、求める人物像に近い人から反応があるかです。無料掲載では見られる機会に限りがあるため、反応がないことだけで採用の可能性を決めつけず、組み合わせを見直しながら判断します。
まとめ
仕事内容へのイメージが採用の壁になっているときは、待遇の説明に加えて、その仕事に興味を持つ理由を具体的に伝えることが次の一手です。
下水道点検の例では、汚れを伴う作業を隠すのではなく、マンホールの中で働くという特徴を前面に出しました。そのうえで無料掲載から反応を確かめ、有料掲載へ進めています。
自社でも、採用したい人物像、実際の仕事の特徴、利用する採用経路を一組にしてみると、見直す点が見えてきます。誰にでも魅力的に見せるより、仕事を理解し、関心を持ってくれる人に届く求人を目指す。その順番で考えると、広告費をかける前にもできることがあります。
自社の仕事を誰にどう伝えるかの整理
「うちの仕事は、何を魅力として伝えればよいのか」という段階から、採用の進め方を整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用では、任せたい役割や仕事の特徴を言葉にし、求人の訴求内容と採用経路を一緒に検討します。
求人原稿がまだない場合も、掲載しているのに反応がない場合も、「自社なら何から整理するか」という相談から始められます。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する相手としてご相談ください。