前提

管理担当は動けるのに、修繕工事の案件数が追いついていない年商4億円弱の専門工事会社

千葉県内を中心に内装、塗装、防水などを手がける、5名ほどの専門工事会社があります。年商は4億円弱。社内には複数の管理担当がおり、一人当たりの施工管理能力を考えると、まだ受注を増やせる余力がありました。

会社として特に伸ばしたいのは、マンションなどの修繕工事です。ただし、既存取引先から動く修繕案件は年に1棟か2棟ほど。1棟で数千万円規模になることもある一方、案件が具体化してから着工するまでには長い時間がかかります。

経営者からは、次のような言葉がありました。

「今の取引先からいただける仕事は、そろそろ上限だと思うんです。来年、再来年を考えると、もう少し営業してお客さんを追わないといけない」

新しい取引先を増やす必要性は見えています。しかし、経営者自身が現場や既存顧客への対応を抱えるなか、一社ずつ訪問し、その後も継続して連絡する時間は簡単にはつくれません。

この会社の課題は、営業先がまったくないことではなく、修繕需要が発生するまで見込み客との接点を維持する仕組みがないことでした。

課題

一度訪問して終わる営業では、数カ月後に発生する修繕相談を拾えない状態

修繕工事の営業では、初回訪問の時点で具体的な案件がないことも珍しくありません。不動産管理会社や元請会社に話を聞いても、「今はないけれど、困ったときに連絡する」と言われることがあります。

ここで見込みがないと判断して接触を止めてしまうと、相手側で修繕需要が発生したときに思い出してもらえません。反対に、訪問時には何もなかった会社から、後になってまとまった発注が出ることもあります。

実際、この会社でも、しばらく接点を持てていなかった取引先から、ひと月で数千万円規模の受注が生まれたことがありました。経営者も「一社の取引が大きいので、簡単には捨てられない」と話しています。

それでも、接触先が増えるほど、記憶だけで追うのは難しくなります。

  • 最後にいつ連絡したのか
  • 誰と何を話したのか
  • 修繕案件が動きそうなのはいつか
  • 見積もりを出したまま止まっていないか
  • 次は誰が、いつ連絡するのか

これらが残っていなければ、営業活動はどうしても「行ったきり」になります。

修繕営業では、初回訪問の件数よりも、案件が動くまで接点を切らさずに追客できる見込み客の数が重要です。

背景

修繕工事は発注時期が読みにくく、社長の記憶と偶然のタイミングに受注が左右される構造

修繕工事の受注が読みづらいのは、営業の良し悪しだけが原因ではありません。相談、現地確認、見積もり、社内や施主との調整を経て着工するため、案件化までに時間がかかります。

この会社でも、既存取引先から相談があっても、「なかなか工事着工まで進まない」という状況がありました。年に動く棟数は少ないものの、動けば売上への影響は大きくなります。

そのため、営業先を訪ねた日に案件があるかどうかだけで、相手の価値を判断することはできません。必要なのは、将来案件を持つ可能性がある会社と、継続的に接点を持つことです。

一方、経営者は現場にも出ており、興味の薄い電話対応や、一社につき1時間、2時間とかかる訪問に時間を取られていました。営業だけに集中できる体制ではありません。

「自分で稼ぎに行ったわけではなく、仕事が舞い込んできた。たまたま運が続いているだけだと思っています」

この感覚は、紹介や既存顧客からの受注で成長してきた会社ほど持ちやすいものです。売上が伸びていても、どの行動が何件の見積もりや受注につながったのかが残っていなければ、翌年の営業計画を立てにくくなります。

問題の中心は営業力の不足ではなく、「誰に、いつ、何をして、どこまで進んだか」が会社の数字として蓄積されていないことです。

解決

接触履歴と次回連絡日を残し、電話から受注までの件数を週次で積み上げる営業管理

最初に整えたいのは、高機能な営業システムではなく、見込み客を追い続けられる一つの管理表です。スプレッドシートやExcelでも構いません。

少なくとも、見込み客ごとに次の項目を残します。

  • 会社名、担当者名
  • 最終接触日と接触方法
  • 話した内容と相手の反応
  • 案件の有無、想定される工事内容
  • 見積もりの依頼日、提出日、回答状況
  • 次回連絡日
  • 次回確認する内容
  • 自社の担当者

なかでも重要なのは、すべての見込み客に「次回連絡日」と「次に確認すること」を設定することです。「今は案件がない」という回答も、営業終了ではありません。相手の状況に応じて、1カ月後または2カ月後に連絡する対象として管理します。

次回の連絡では、無理に仕事を聞き出す必要はありません。前回話した修繕計画や協力会社の状況に変化がないかを確認し、自社が対応できる工事領域を改めて伝えます。接点を重ねることで、相手が困ったときに声をかけやすい状態をつくれます。

週次で営業の流れを数値化する

見込み客管理と並行して、営業活動を週単位で集計します。記録する数字は、次の流れに沿ってそろえると状況を把握しやすくなります。

  1. 接触した会社数
  2. 工事発注の担当者と話せた件数
  3. 面談につながった件数
  4. 見積もり依頼を受けた件数
  5. 見積もりを提出した件数
  6. 受注した件数

ある営業活動では、約300件への電話から、発注に関わる担当者との接点が約20件生まれ、そこから複数の面談につながりました。大切なのは、この数字自体を他社の基準にすることではありません。自社の実績を継続して蓄積することです。

数カ月分の数字がたまると、次のような判断ができるようになります。

  • 何社へ接触すると、1件の面談につながるか
  • 何件の面談から、見積もり依頼が生まれるか
  • 何件の見積もりを出すと、1件を受注できるか
  • 目標受注件数に対して、毎週どれだけ接触すべきか

「受注を増やしたい」を、「毎週何社に接触し、何件を追客するか」という実行可能な数字に変えることが、営業を偶然から計画へ移す第一歩です。

修繕営業は短期間だけで評価しない

修繕工事は相談から着工まで時間がかかるため、1カ月や2カ月で受注件数だけを見ても、営業の良し悪しを判断しにくい面があります。

初期段階では、担当者との接点、面談、見積もり依頼が増えているかを確認します。そのうえで、3カ月、4カ月と数字を積み重ね、受注までに必要な営業量を見ていきます。

また、面談で得られた反応をもとに、接触先や伝え方を見直すことも欠かせません。想定していた強みが響かなければ、相手が評価した別の強みに切り替えます。見積もりにつながりやすい会社の共通点が見えたら、その条件に近い見込み客を優先します。

案件が重なって現場が逼迫しそうなときは、新規接触の量を抑え、既存の見込み客への追客を中心にする選択もできます。反対に、数カ月先の案件が薄い場合は、新規接触を増やします。

週次の数字は営業担当者を評価するためではなく、将来の案件量を見ながら、接触量と追客量を調整するために使います。

まとめ

修繕工事は、訪問したその日に案件が出る仕事ばかりではありません。「今はない」と言われた会社が、数カ月後には大きな発注先になる可能性があります。

だからこそ、初回訪問の件数だけを増やすのではなく、接触した会社を会社の資産として残すことが大切です。

見込み客ごとに接触履歴、見積もり状況、次回連絡日を管理し、1カ月または2カ月ごとの追客を続けます。

さらに、接触数、面談数、見積もり数、受注数を週次で記録すれば、目標受注に必要な営業量を自社の実績から予測できます。

「たまたま仕事が来た」という状態から抜け出すために必要なのは、急に営業が得意になることではありません。小さな接点と数字を、途切れさせずに積み上げる仕組みです。

自社に合った追客方法と営業量を整理したい方へ

見込み客の管理項目や連絡頻度は、狙う工事、商圏、案件単価、社内の施工余力によって変わります。「うちの場合は誰を追うべきか」「何件動けば受注につながるのか」がまだ見えていない段階からでも整理できます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の案件獲得や元請け開拓について、営業先の整理、接触後の追客、週次の数値管理から実行まで支援しています。ものづくりに集中できる状態を目指し、現場の状況に合わない営業を無理に進めることはありません。

状況を伺ったうえで次の整理先をご一緒に考えます。無理な営業はいたしませんので、気になる点があれば気軽にお声がけください。

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