電話による新規取引先開拓を、集計から改善へ進める段階
新規取引先開拓の進捗表は、数字を報告するだけでなく、次に何を変えるかを判断できる形にすることが大切です。 アポイントが何件取れたかは分かっても、そのためにどれだけ電話をかけたかが見えなければ、営業活動の振り返りは途中で止まってしまいます。
建設会社の取引先開拓を支援する現場でも、この管理方法の見直しが課題になっていました。社員とアルバイトの担当者が電話をかけ、取引先開拓の進捗をスプレッドシートに集計する仕組みを整えていた段階です。
従来の手入力から、担当者がフォームに活動内容を入力し、その回答が進捗表へ反映される方法へ移そうとしていました。担当者からは、「社員もフォームで、どこに何をかけたかを回答すると、ここに反映される仕組みです」と説明されています。
ただし、入力を集める仕組みができても、それだけで改善点が見えるわけではありません。進捗表を確認するなかで、月別だけの集計や、アポイント数に偏った表示では、取り組み全体を判断しにくいことが見えてきました。
アポイント数だけの進捗表示では、活動不足とアプローチの問題を分けられない状態
架電数とアポイント数を別々に見られなければ、電話をかける量が足りないのか、かけた後の反応に改善の余地があるのかを切り分けられません。
確認の場では、「進捗にアポイント数しか書いていないけれど、コール数が上限に達した場合もある。そこはどう見るのか」という指摘がありました。表示されている成果だけでは、その裏側にある活動量が分からなかったのです。
たとえば、アポイントが伸びていないという同じ結果でも、架電自体が進んでいない場合と、架電は進んでいるのにアポイントにつながっていない場合とでは、次に確認することが違います。前者なら活動の進め方を確認し、後者なら営業トークの修正が必要かどうかを検討する、という順序になります。
もう一つの課題は、集計期間でした。「今月はうまくいっているかもしれないけれど、取り組み全体で見たらどうなのか」という問いに、月別の表示だけでは答えにくい状態でした。
単月の数字が良くても、それまでの活動を含めた成果は別に確認する必要があります。逆に、今月だけを見て方法を変える前に、開始からの推移も押さえたいところです。営業KPIは、何を数えるかと同時に、どの期間で見るかまで設計しておく必要があります。
達成状況を示す表示と、営業改善に使う数字の混在
背景にあったのは、達成状況を示すための表示と、営業活動を分析するための表示が一つになっていたことです。
進捗表では、架電数とアポイント数をそれぞれ確認するのではなく、設定された指標に応じて片方を表示していました。担当者も「合体してしまっています」と説明しており、両方の実績を同時に把握できる状態ではありませんでした。
達成状況を一目で示すこと自体は便利です。ただ、達成・未達の表示は「どこまで進んだか」を伝えるものであり、「なぜその結果になったか」まで説明するものではありません。ここを同じ表示で済ませようとすると、改善に必要な数字が隠れてしまいます。
集計方法も整備の途中で、過去の一部は手入力、その後はフォーム回答から反映する予定でした。また、進捗を確認しようとした人に閲覧権限がなく、途中経過を見られない場面もありました。
つまり、課題は担当者の報告姿勢だけにあるのではありません。入力方法、集計期間、表示する指標、確認できる場所が、まだ一つの管理方法としてそろっていなかったのです。必要なのは、数字をさらに増やすことよりも、同じ活動記録から、関係者が同じ条件で架電数とアポイント数を確認できる状態です。
架電数とアポイント数を分け、三つの期間で確認する管理設計
見直しの順序は、指標を分ける、期間を切り替えられるようにする、入力をそろえる、週次で次の行動を決める、の四つです。 最初から大きな仕組みに作り替えるより、いまの進捗表で判断できない点から直していくと進めやすくなります。
架電数とアポイント数を、同じ画面に別項目で表示する
まずは、架電数とアポイント数を独立した項目にします。確認の場でも、「指標として両方見られるようにしてほしい」と修正の方向が示されていました。
達成状況の表示を残す場合も、その表示とは別に実績を確認できるようにします。架電の目標に届いたからアポイント数が見えなくなる、あるいはアポイント数だけを見て架電の進み具合が分からなくなる、といった状態を避けるためです。
ここでの判断軸は、項目の多さではありません。「活動量が足りない」と「活動はしているが成果につながっていない」を分けて話せるかどうかです。この二つを分けられるだけでも、振り返りの焦点が定まりやすくなります。
月別・任意期間・開始からの累計を切り替える
期間は、次の三つで同じ指標を見られるように整理します。
- 月別:その月の架電数とアポイント数を確認するため
- 任意期間:開始日と終了日を指定し、確認したい範囲を振り返るため
- 開始からの累計:取引先開拓の取り組み全体を確認するため
期間指定については、「開始と終了は別のセルに分けてほしい」という具体的な要望もありました。開始日と終了日を独立して指定できれば、月をまたぐ期間でも同じ条件で集計しやすくなります。
大切なのは、架電数とアポイント数の集計期間をそろえることです。月別では足元を確認し、累計では全体を確認する。そのうえで、営業トークを修正した前後など、確かめたい範囲を任意期間で見る、という使い分けができます。
社員とアルバイトの活動報告を共通フォームにそろえる
活動記録は、担当者ごとに別の形で集めるのではなく、共通フォームから進捗表へ反映する方法にそろえます。支援現場でも、社員とアルバイトの双方がフォームを使う設計が進められていました。
入力内容を整理する際は、集計に必要な活動日、担当者、どの取引先開拓の活動か、架電実績、アポイント実績が結びつくかを確認します。入力欄を増やすためではなく、同じ期間・同じ取り組みの数字を取り出せるようにするためです。
また、集計表は関係者が閲覧できる共有場所に置き、確認の入口もそろえます。数字がまとまっていても、権限がなく開けなければ、途中経過を使った改善にはつながりません。入力の共通化と、確認できる場所の共通化はセットで進めることが要点です。
週次レビューでは、数字の報告から次の修正までつなげる
週次の確認では、アポイントの増減だけで話を終えず、架電数との関係を見て次の行動を決めます。支援側でも、数字を正しく捉え、毎週チームで進捗を話し合い、修正できる状態をつくる方針が共有されていました。
確認の順序は、まず指定した期間の架電が進んでいるか、その活動に対してアポイントがどう動いているか、最後に累計で見ても同じ傾向か、です。架電が進んでいなければ活動の進め方を確認し、架電が進んでいても成果につながっていなければ、営業トークを見直す必要があるかを検討します。
ただし、数字だけで原因を断定する必要はありません。「スクリプトを改善しないといけないのかを見たい」という発言のとおり、数字は修正箇所を決めつけるものではなく、何を確かめるかを絞るために使います。週次レビューの着地点は、実績の読み上げではなく、次に確認・修正する内容をチームでそろえることです。
まとめ
新規取引先開拓の数字を改善につなげるには、架電数とアポイント数を分け、月別・任意期間・累計の三つで確認できるようにすることが出発点です。
アポイント数だけでは活動不足とアプローチの問題を分けられず、月別だけでは取り組み全体を判断しにくくなります。共通フォームで活動記録を集め、関係者が同じ進捗表を見られるようにしたうえで、週次で次の行動を話し合う流れまでつなげます。
まずは、いまの進捗表を見て「どれだけ電話をかけ、その結果アポイントが何件生まれたか」「開始から見るとどうか」に答えられるかを確認してみてください。答えられない箇所が、管理方法を見直す入口になります。
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