前提

住宅の建築一式工事を任せてもらえる設計事務所の開拓

同じ設計事務所でも、職種ごとの職人を探している先と、建築一式を任せる施工会社を探している先では、営業先としての意味が変わります。 設計事務所への営業を考えるときは、まずこの違いを揃えておきたいところです。

栃木県内で住宅工事を手がける、ある建設会社も、建築一式工事の受注につながる設計事務所との接点を増やそうとしていました。求めていたのは、大工工事など一部の施工だけではなく、建物の工事を一式で任せてもらえる関係です。

設計事務所への電話を試したところ、延べ20回ほどの架電で複数の代表者と話ができ、そのうち一社では、建築一式で施工会社に任せる発注方式を確認できました。一方、話を聞いてもらえた別の事務所では、分離発注をしており、探していたのは大工でした。

どちらも「施工の担い手を必要としている設計事務所」ではあります。ただ、自社が取りたい仕事につながるかどうかは別です。なお、一式での発注を確認できた先も、この時点では受注が決まったわけではなく、詳しい条件を確かめる前の候補でした。

経営者が求めていたのも、単に電話の件数を積み上げることではありませんでした。

「件数よりも、できるだけ話ができる、質のほうが欲しい」

この「質」を、話を聞いてくれるかどうかだけでなく、自社の受注形態と相手の発注方式が合っているかまで含めて考えることが、営業先を見極める出発点になります。

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課題

話を聞いてもらえても建築一式の依頼先候補になれない営業

代表者と話せたことと、建築一式工事の依頼先候補になれたことは、分けて捉える必要があります。 接触できた相手の数だけでは、営業が受注に近づいているかを判断しきれません。

分離発注をしている設計事務所の場合、必要としているのは、大工など特定の職種を担う相手です。一式で工事を請けたい会社がそのまま提案しても、相手が今求めている役割とは合いません。会話ができても、自社が取りたい仕事の話には進みにくい状態です。

一方、一式で施工会社に任せる設計事務所であっても、新しい協力先を探しているとは限りません。電話では、「既存の施工会社と付き合っています」「今のところは大丈夫です」といった反応もありました。

ここで整理したいのは、次の三つです。

  • 一式発注か分離発注かが、まだ分かっていない先
  • 発注方式は合っているものの、追加の施工会社が必要かは分からない先
  • 発注方式が合い、追加の協力先についても話を進められそうな先

これらをすべて「電話がつながった先」として扱うと、次にどこへ時間を使うべきかが見えにくくなります。営業の反応を評価するには、相手の好意的な受け答えだけでなく、工事を任せる仕組みまで確認することが欠かせません。

背景

設計事務所ごとに異なる工事の任せ方と既存施工会社との関係

「設計事務所」という業種名だけでは、施工会社の選び方までは分かりません。 同じ地域で住宅の設計をしていても、工事を職種ごとに分けるのか、一社に一式で任せるのかによって、求める協力先は異なります。

相談した経営者は、地域の設計事務所について、一人や夫婦で運営しているところも多いと話していました。電話が不在になることもありましたが、それだけで営業先として合わないとは判断できません。相手と話せていない状態と、話したうえで発注方式が合わないと分かった状態は、別に残す必要があります。

また、経営者には、設計事務所が分離発注を経験した後、その難しさから工事の任せ方を変えることもある、という見方がありました。すべての事務所がそうなるわけではありませんが、現在の発注方式が将来も変わらないとは限らない、という視点です。

既存の施工会社との関係についても、経営者はこう話していました。

「もう一社入れたいなと思っているところもあるはずなんで、そういうところに早く入れてもらおう」

これは、既存先を外してほしいという話ではありません。一社だけに任せ続けることへの懸念や、金額を比較する相手を持ちたいという意向から、追加の施工会社を検討する余地があるのではないか、という考えです。

既存の施工会社がいることは、一式で工事を任せる関係がすでにあるという手がかりにもなります。 新規の受け入れ余地があるかは別途確認が必要ですが、「付き合いのある会社がいる」という理由だけで候補から外すのは早いといえます。

解決

施工事例で候補を絞り電話で一式発注と追加協力先の必要性を確認

公開情報で発注方式の手がかりを拾い、電話で現在の状況を確かめる順番にすると、営業先の適合度を判断しやすくなります。 最初から完全なリストを作ろうとするより、調べた情報と電話で分かった事実を重ねて、候補の精度を上げていく進め方です。

施工事例の施工会社表記から候補を探す

まず確認したいのは、設計事務所のホームページにある施工事例や、施工会社の選び方に関する説明です。実際の候補探しでも、ウェブ上から次のような情報が拾われていました。

  • 施工事例に、外部の建築会社が施工を担当したと記載されている
  • 案件ごとに施工会社を探す、または選ぶ旨が示されている
  • 複数の施工会社から見積もりを取る旨が示されている

これらは、建築一式を請ける会社が候補に入れるかを考える材料です。特に、案件ごとに施工会社を選ぶ先や、複数社に見積もりを依頼する先は、新たな接点をつくる理由を見つけやすくなります。

ただし、施工会社名が載っているだけでは、一式で任せているのか、現在も同じ選定方法なのかまでは確定できません。公開情報は営業先を確定する答えではなく、電話で何を確かめるかを決める手がかりです。

電話では発注方式と新規の受け入れ状況を分けて聞く

電話で優先して確認するのは、「どのように工事を任せているか」と「新しい施工会社を必要としているか」の二点です。自社の説明を長く続ける前に、この二つが分かれば、その後の話を合わせやすくなります。

確認する内容は、次のように整理できます。

  • 工事は建築一式で施工会社に任せているのか、職種ごとの分離発注なのか
  • 施工会社は固定なのか、案件ごとに選定するのか
  • 現在、追加の施工会社や見積もり依頼先を探しているのか

分離発注で大工を探していると分かった場合は、一式受注の候補とは分けて管理します。発注方式を変える意向が確認できていないのに、一式工事の見込み先として数える必要はありません。

既存の施工会社がいる場合は、それを否定せず、追加の協力先を検討する余地があるかを確認します。新規は受け入れていないと分かれば、その意向を尊重します。まだ詳しく話せていないだけなら、「既存先あり・追加の必要性は未確認」と残せば、事実と推測を混ぜずに済みます。

次の行動を決められる情報まで残す

営業リストには、接触の有無だけでなく、発注方式と相手の反応を残します。経営者も、ホームページやメールアドレスに加えて、「タイミングが合えばいけそう」といった反応を共有してほしいと求めていました。

最低限、ホームページのURL、公開情報で分かった施工会社の選び方、電話で確認できた発注方式、対応者、追加の協力先に対する意向、次回の対応を揃えておくと、再連絡や訪問の判断につながります。

「資料を送っておいて」と言われた場合は、送付先のメールアドレスを確認します。不在なら発注方式は未確認のまま残し、時間帯を変えて連絡するなど、会話できた先とは分けて扱います。

「脈あり」「断られた」だけで終わらせず、何が分かり、何が未確認なのかを残すことが、次の営業判断につながります。

架電件数は活動量として適合度とは分けて見る

営業の振り返りでは、電話を何回かけたかに加えて、一式発注を確認できた先、追加の協力先を検討できる先、その先の面談や見積もり依頼に進んだ先を分けて見ます。

代表者との接触が増えても、分離発注で職人を探す先が多ければ、まず見直したいのは候補の選び方です。一式発注の先とは話せているものの、追加の必要性を確かめられていなければ、電話での確認内容を見直します。単に不在が多いのであれば、候補の適合度を判断する前に、接触方法を調整する段階です。

このように結果を分けると、件数を増やすべきなのか、リストを絞り直すべきなのかが見えてきます。定期的に情報を更新し、自社が取りたい工事の話を進められる相手へ、営業の時間を寄せていくことが大切です。

まとめ

設計事務所への営業は、相手の発注方式と、自社が請けたい工事の単位を合わせることから始まります。 話を聞いてくれた相手でも、分離発注で大工を探しているのであれば、建築一式を請けたい会社とは、その時点で求める役割が異なります。

施工事例の施工会社表記、案件ごとの施工会社選定、複数社への見積もり依頼といった公開情報から候補を探し、電話で一式発注かどうかと追加の協力先の必要性を確認する。この順番で情報を重ねれば、営業先を評価する根拠が揃っていきます。

既存の施工会社がいる先も、一律に除外する必要はありません。追加の一社を必要としているかを確かめたうえで、次の行動を決められます。

架電件数だけでなく、「自社の受注形態に合う相手と、どこまで具体的な話ができたか」を見ることが、営業先の見極めにつながります。

建築一式を任せてもらえる営業先の整理から

自社の場合、どの設計事務所を候補にすればよいか。既存の営業リストをどう見直せばよいか。まだその整理ができていない段階でも、相談を始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援する会社です。取引先開拓では、自社が取りたい工事と相手の発注方式を揃え、候補の選定から接触後の情報整理まで、次の行動につながる形を一緒に考えます。

「うちの場合は何から確認すればよいか」という段階でも構いません。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、営業先を整理する場としてご相談ください。

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