前提

設計事務所への電話を、社長自身の訪問にもつなげたい建設会社

新規営業で欲しいのは、電話をかけた実績だけでなく、次に誰へ、どのように働きかけるかを判断できる情報です。 栃木県内で住宅工事を手がけるある建設会社は、設計事務所との新たなつながりをつくるため、外部の担当者と電話での開拓を進めていました。

初期の架電は20数回で、不在や応答のない先が4割ほどを占める一方、代表者と話せた先も数件ありました。その中には、同社が求める建築一式での発注を行っている設計事務所もあり、改めて連絡する余地が残っていました。ただし、この段階で具体的な案件や受注が決まったわけではありません。

社長が確認したかったのは、その先の動きです。

「電話していただいた感じを、何かに書いてもらっているんですか」

「タイミングが合えば行けそう、といった感度も毎月教えてもらって、直接行ってみるようなアプローチもしたいです」

電話で接点をつくる役割は外部に任せつつ、話が進みそうな相手には自ら足を運びたい。そのために、アポイントが取れた会社だけではなく、まだ面会には至っていない会社の反応も知りたいという相談でした。

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課題

不在も既存取引先ありも「アポイントなし」では、次の動きを決められない状態

同じ「アポイントなし」でも、相手に届いていないのか、今は必要がないのか、発注方式が合わないのかで、取るべき行動は変わります。 この違いを残さないままでは、電話を重ねても営業の判断材料が増えていきません。

実際に確認された反応も、一様ではありませんでした。電話そのものに応答がない先、受付にはつながったものの担当者が不在の先、代表者から「既存の施工会社と付き合っている」と伝えられた先がありました。また、話は聞いてもらえたものの、建築一式ではなく分離発注を行っており、その時点で求めていたのは大工だった設計事務所もありました。

不在の会社は、提案を断ったわけではありません。担当者に話せていない会社も、施工会社を必要としていないと確認できたわけではありません。一方、分離発注で大工を探している会社は、工事への需要はあっても、建築一式を受けたい自社の提案とは現時点で合っていません。

これらをまとめて「見込みなし」とすると、再連絡すべき先を外してしまいます。逆に、すべてを見込み客として同じように追い続けると、相手の意向に合わない連絡が増えてしまいます。

社長が「件数よりも、できるだけ話ができる質の方が欲しい」と話していたのは、こうした違いを踏まえて次へ進みたいからです。管理したいのは電話の成否だけでなく、接触できた相手、確認できた事情、まだ分からないことです。

背景

少人数の設計事務所の不在と、発注事情が変わる可能性

電話に出られるかどうかと、新しい施工会社を必要とするかどうかは、別の事情です。 さらに、現在の発注方式や取引先との関係が、そのまま将来も続くとは限りません。

社長は地域の設計事務所について、「夫婦二人とか、一人でやっているところもあるので、何度か電話すれば、いずれ出ると思うんです」と話していました。実際、固定電話から転送に切り替わったように聞こえ、その先でも応答がなかったケースが報告されていました。少人数の相手先では、一度つながらなかっただけで営業対象から外すと、話をする前に候補を減らしてしまいます。

ただし、社長自身も営業電話を受ける立場として、「本当に営業電話が多いので、嫌なんです」と話しています。再連絡の余地があることと、何度でも連絡してよいことは同じではありません。相手の反応を記録する必要があるのは、見込みを拾うためだけでなく、望まれていない連絡を重ねないためでもあります。

発注事情については、分離発注の難しさを経験し、建築一式で任せる方向へ考えが変わる設計事務所もある、という社長の見立てがありました。

「最初は断られても、月日が変われば、『ちょうど今、考えていたんだよね』というタイミングに当たる可能性はあるんです」

また、既存の施工会社がいる場合でも、今後その会社が動けなくなったり、別の依頼先を加えたいと考えたりする可能性はあります。ただし、これは需要が変わり得るという話であり、個々の相手先で変化が起きていると確認されたわけではありません。

現在の断り理由は事実として残し、将来の可能性は見立てとして分けて扱うことが、無理のない再提案につながります。

解決

接触履歴と断り理由を残し、再連絡・資料送付・訪問へ振り分ける進め方

まず整えたいのは、アポイントが取れなかった会社も含めて、次の行動を判断できる記録です。 外部に電話を任せる場合も、担当者の手元だけに情報を置かず、自社が続きを引き継げる形で共有することが出発点になります。

電話の結果は、対応者と確認できた内容まで残す

架電結果の記録には、少なくとも次の情報をそろえたいところです。

  • 接触した日付・時間と、不在を含む接触結果
  • 対応者の名前・役職と、発注を判断する担当者に話せたかどうか
  • 建築一式か分離発注かなどの発注方式と、求めている施工会社・職種
  • 「既存の施工会社がいる」「今は忙しい」などの断り理由
  • 相手が実際に話した内容と、それを踏まえた検討の温度感
  • ホームページ、資料送付先のメールアドレス
  • 次回の連絡日時と、資料送付・再提案・訪問などの次の行動

分からなかった項目は、推測で埋めずに未確認として残します。たとえば、電話に出た方が発注事情を詳しく話してくれたとしても、それだけで役職や決裁権まで確定するわけではありません。

温度感も、「良さそう」だけでは引き継ぎにくくなります。「建築一式で発注していることは確認できたが、忙しく詳細は未確認。改めて連絡する話になった」というように、判断の根拠が分かる記載が役立ちます。

相手の発言と担当者の見立てを分ければ、社長が読んだときにも、何を確かめてから動くべきかが見えます。

不在先は時間帯を変え、担当者未接触の先とは分けて扱う

不在先には、同じ時間帯の電話を繰り返すのではなく、午前につながらなければ午後、次は夕方というように時間を変えて連絡する方法が検討されていました。ホームページで休業日を確認し、営業している日に連絡することも、この進め方の一部です。

一方、受付から「担当者が不在」と聞けた先では、会社に電話がつながることまでは確認できています。単なる応答なしと分けておけば、次は担当者への接触を目指す連絡だと分かります。

複数回つながらない先には、問い合わせフォームを使う案も挙がっていました。ただし、電話以外の窓口に切り替える場合も、その窓口が営業連絡を受け付けているかを確認し、相手の意向に沿って使うことが前提です。

資料送付と再提案は、相手が示した条件に合わせる

資料送付の希望があった場合は、送付先を確実に確認することが次の接点になります。社長も、「資料を送っておいてと言われたときは、必ずメールを聞いてもらいたい」と求めていました。

一方、既存の施工会社がいる先と、発注方式が合わない先では、再提案の判断が異なります。前者は、新たな施工会社を加える余地があるかが未確認です。後者は、現在の需要が自社の受けたい工事と合うかを見極める必要があります。

分離発注から一式発注に変わる可能性があるとしても、すでに変更を考えているとは限りません。現在の方式を記録したうえで、再接触の際に事情の変化を確認する対象として扱うのが自然です。

再連絡の候補と、明確に今後の連絡を断られた先は分けます。 連絡拒否があった先は連絡しない対象として共有し、担当者が変わっても電話や訪問を重ねないようにします。「今は必要ない」という反応も、言葉だけで機械的に判断せず、そのときのやり取りを残しておくことが大切です。

社長の訪問判断に使える情報を、アポイントの有無にかかわらず共有する

社長が求めていたのは、「アポイントは取れていないけれど、行った方がよいかもしれない先」まで分かる情報でした。訪問候補を選ぶ際は、建築一式での発注が確認できているか、担当者とどこまで話せているか、何が未確認なのかを見比べます。

そのうえで、再度の電話で面会の意向を確かめるのか、先に資料を送るのか、社長が訪問する段階なのかを決めます。アポイントがないこと自体を訪問の理由にせず、面会して確かめたい内容があるかを判断軸にします。

外部の担当者とは、月ごとの確認で架電件数やアポイント件数を見るだけでなく、不在先、担当者未接触先、再提案候補、訪問候補を確認します。訪問後に分かったことも同じ記録へ戻せば、電話で得た情報と社長の活動がつながり、次の開拓にも使えるようになります。

まとめ

新規営業を「電話して終わり」にしないためには、アポイントにならなかった理由を、次の行動に結び付く情報として残すことが重要です。

不在なら時間帯を変える余地があります。担当者に未接触なら、まず話を届ける段階です。資料送付の希望があれば送付先を確認し、既存取引先や発注方式の事情が分かれば、その条件を踏まえて再提案の余地を考えられます。明確な連絡拒否は、それらとは分けて管理します。

電話を外部に任せる場合も、評価するのはアポイント件数だけではありません。その情報を読んだ自社の社長や担当者が、次に何をするか判断できるかどうかが、営業情報の使いやすさを決めます。

まずは今の架電結果を見て、不在・未接触・断り理由が区別されているか、次回の行動まで分かるかを確認するところから始められます。

電話の結果を、次の提案や訪問へつなぐための整理

「うちの場合、どの先を追いかければよいか」という段階から、営業情報の整理は始められます。 新しく電話を増やす前に、今あるリストと接触履歴を見直すことで、再連絡する先や社長が動く候補を考えやすくなります。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を現場や組織の事情も踏まえて整理し、実行まで支援しています。新規営業では、案件獲得に向けた接触情報の残し方、外部担当者との情報共有、再提案や訪問へのつなぎ方を一緒に整理できます。

「何から整理すべきか分からない」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、自社に合う進め方を考える場としてご活用ください。

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