前提

応援中心から工場・メーカー系の請負を増やしたい十数名の電気工事会社

目指しているのは、仕事の件数を増やすだけでなく、工場に近い立場で工事を任される取引先を増やすことです。

佐賀県を拠点にする、十数名規模の電気工事会社の相談です。現在は応援の仕事が大半を占めています。一方で、産業機器メーカー系のエンジニアリング会社から、請負で電気工事を受ける取引もあります。

請負の現場には、社長と補佐役が管理担当として入り、数名の作業員を加えたチームで対応しています。電気工事の実稼働は数日から一週間ほど。今後はこうした規模の工事を重ね、得意分野では、より大きな現場にも対応していきたい考えです。

「できれば、お客さんに近いところで仕事ができればいいと思っていました」

ただし、工場から直接受注したいという希望と、メーカー系の設備会社から請けたいという希望は、まだ明確には分かれていませんでした。まず必要なのは、漠然とした「工場の仕事」を、自社が狙う取引先と工事内容に分けることでした。

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課題

購買・設備担当者への接点がなく、大手への入り口をつくれない悩み

営業に動けないのではなく、希望する発注先の誰に、何を持って接触すればよいかが見えていない状態です。

社長自身は、営業活動に時間を割くことができます。すでに取引のある会社もあり、新しい地域で仕事の話が進むこともあります。それでも、工場やメーカー系企業への開拓には、別の難しさを感じていました。

「工場から直接受けるといっても、そういう人とのパイプがないんです」

とくに知りたいのは、購買などの担当者と、どうすれば知り合えるのかという点でした。大手とは付き合いたい。ただ、担当者につながるまでにも、その先の取引開始までにも時間がかかると見ています。

ここでは、担当者との面談、見積依頼、取引開始、実際の受注を分けて考える必要があります。担当者につながることは入り口であり、工事を任せてもらえるかは、対応範囲・体制・日程・見積内容のすり合わせで決まります。 接点づくりだけで受注まで見通せるわけではありません。

背景

工場に近い商流への希望と、既存取引の下に入ることへの迷い

営業先を選ぶうえでの論点は、会社の大きさだけではなく、自社がどの立場で、どこまで責任を持って工事を受けるかです。

相談では、工場の仕事を持つ会社を二つに分けて整理しました。一つは、工場から直接受注している電気工事会社。もう一つは、メーカー系の設備・エンジニアリング会社です。

社長の希望に近かったのは、後者でした。すでにある取引と近く、得意な工事なら自社で対応できると考えていたためです。一方、あまり得意ではない工事については、電気工事会社の下であれば、技術面で頼れる部分があるとも話していました。

つまり、同じ工場案件でも、取引先に求めるものが違います。得意工事を一式で任せてほしいのか。電気工事の進め方を相談できる相手が必要なのか。この違いで、営業先は変わります。

もう一つの迷いは、既存の商流との関係でした。メーカー系企業と取引する電気工事会社の下に入れば、実績をつくる入り口にはなります。ただ、将来そのメーカー系企業と直接取引したくなったとき、間にいる会社との関係が開拓の制約にならないか、という懸念がありました。

一社下の立場に入ることは、実績づくりの機会になる一方、将来希望する直接取引との関係も確認しておきたい選択です。 必ず制約になるわけではありませんが、「まず入れればよい」だけでは決めにくいところです。

解決

得意工事から営業先を分け、大手と中堅を並行して進める開拓

得意工事・必要な支援・希望する商流を先にそろえ、その条件に合う会社へ段階的に接触する進め方が適しています。 大手一本に絞るのでも、接点を持ちやすい会社へ無差別に広げるのでもありません。

得意工事と、相手に頼りたい範囲で営業先を選ぶ

メーカー系の設備・エンジニアリング会社を優先するのは、自社の得意分野で、工事内容と管理体制をすり合わせられる場合です。工場から直接受注する電気工事会社も、不得意な部分の支援を相談しながら経験を重ねたい場合には候補になります。

ただし、業種だけで支援の有無は決まりません。面談では、どの範囲を任されるのか、どこまで自社で管理するのかを確認します。

営業先を絞る前に、少なくとも次の点を整理しておくと、話が具体的になります。

  • 得意な工事と、支援が必要な工事の範囲
  • 管理担当と作業員を含め、現実に組める体制
  • 既存現場と調整できる日程、対応可能な地域
  • 希望する取引上の立場と、すでにある取引関係

この会社では、遠方も一律に対象外とはしていませんでした。ただし、実際に動けるかは日程や社員の事情によります。営業上の「対応可能エリア」と、個別案件で「確実に動ける体制」は分けて伝えることが大切です。

既存商流に入る場合は、その先の開拓との関係を確認する

工場に近い会社の下で実績を積む方法は、有力な選択肢です。ただし、将来直接つながりたい発注先があるなら、その会社を含む商流を先に確認します。

すでに取引のある相手や、既存取引先との関係に配慮が必要な相手は、営業リスト上でも区別します。下請として経験を積む先と、直接の接点をつくりたい先を分ければ、目先の仕事と将来の開拓を混同せずに進められます。

実績づくりのために入る先なのか、長く直接取引したい先なのかを、営業開始前に分けておくことが判断軸になります。

大手への継続開拓と、中堅企業への接点づくりを並行する

大手を目指す方針は残しつつ、それだけに案件獲得を預けない進め方が現実的です。担当者につながっても、社内で話が進むまでには時間がかかります。その間に、中堅企業との面談や見積機会もつくっていきます。

ここでいう中堅企業は、規模だけで選ぶ相手ではありません。工場との取引があり、自社の得意工事を必要とする会社です。従業員数や売上だけでなく、取引先、施工領域、売上・利益の推移も、候補を確かめる材料になります。

大手への開拓では担当部署との接点を、中堅企業への開拓では具体的な見積機会を、と進捗を分けて見ると、時間のかかる活動も把握しやすくなります。

部署調査から見積機会までを一段ずつ進める

最初から工事の発注を求めるのではなく、対応できる工事を確認し、見積に参加できる関係をつくることが最初の目標です。

進め方は、次のように段階化できます。

  1. 対象部署を調べる:会社の事業内容と取引先を確認し、購買・設備など、工事の相談につながる部署や連絡先を探します。
  2. 電話で接触する:部署の連絡先が分かればそこへ、不明なら代表電話から担当窓口を確認します。
  3. 面談で対応範囲を合わせる:実績、得意工事、人数、管理体制、地域、日程を伝え、相手が必要としている工事と合うかを確かめます。現場への入場条件も確認事項です。
  4. 見積機会を得る:対象工事があれば見積依頼を相談し、すぐになければ、案件が出た際に声をかけてもらえるかを確認します。
  5. 対応できる小規模工事から実績をつくる:現在のチームで管理できる工事を重ね、内容を見ながら受ける範囲を広げます。

この会社なら、まずは数名で入り、実稼働が数日から一週間ほどの工事が一つの目安です。ただし、工期や人数だけで決めず、得意分野かどうかも合わせて判断します。大きな会社からの依頼でも、自社で対応できる工事範囲から始める考え方です。

断られた理由と、面談で分かったことを次に残す

営業記録は、電話件数だけで終わらせないことが大切です。いつ連絡し、担当者に接触できたか。断られた理由は何か。面談では、どの実績や対応範囲に関心が向いたか。こうした情報を次の候補選びと説明内容に反映します。

「今は案件がない」のか、「求める工事と合わない」のかで、次の動きは変わります。 再接触する場合も、相手の意向を尊重し、間隔を置いて進めます。継続的な開拓と、同じ依頼を繰り返すことは別です。

社長が面談を担う場合も、そこで得た情報を営業担当と共有すれば、次の電話で伝える強みが具体的になります。接点を増やす活動と、接点から学ぶ活動を一緒に進めることが、開拓の精度につながります。

まとめ

工場・メーカー系の新規開拓は、「大手とつながる方法」だけを探すより、得意工事と希望する商流から営業先を分けることが出発点です。

得意工事を任されたいなら、メーカー系の設備・エンジニアリング会社を候補にします。技術面の支援が必要なら、工場から直接受注する電気工事会社も選択肢です。その際は、将来の直接取引と既存商流との関係も確認しておきます。

大手への開拓は続けながら、中堅企業との接点づくりも並行します。部署を調べ、電話で窓口につながり、対応範囲を合わせ、見積機会を得る。その先に、自社で対応できる工事の実績を重ねていきます。

まずは、「どの工事を、どの体制で、誰から受けたいか」をそろえること。そこが明確になれば、営業先の選び方も、最初に伝える内容も整理しやすくなります。

工場・メーカー系への営業先を整理したいときに

「メーカー系企業を狙いたいが、候補をどう選べばよいか分からない」「既存取引との関係を保ちながら、工場に近い取引を増やしたい」。そんな段階から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して捉え、実行まで支援しています。販路開拓でも、接点の数だけではなく、得意工事や現場の対応体制を踏まえ、営業先の選定から接触、面談で得た情報の振り返りまでを一緒に進めます。

自社の場合はどの営業先を優先するか、その整理からご相談いただけます。 無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、まだ方針が固まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。

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