前提

曳家や傾き修正を手がける少人数の会社で進む新規開拓

専門技術を必要とする人がいても、その技術の存在が知られていなければ、相談先の候補には入りません。 岐阜県にある、5名ほどの専門工事会社も、その接点づくりを課題にしていました。

手がけているのは、建物を移動する曳家や、建物の傾き修正、土台まわりの補修などです。長年の経験があり、ほかの会社では対応が難しかった工事が回ってくることもあります。

既存の取引を支えてきたのは、先代から付き合いのある地場の工務店です。「土台を直したい」「建物を残したい」という相談に、互いの強みを持ち寄って応えてきました。一方、ホームページや口コミを通じた一般の施主からの依頼もあります。

現在は、若手も新しい視点で営業に取り組んでいます。ただ、経営者が求めているのは、建設会社の知り合いを増やすことだけではありません。自社の技術が役立つ場面を理解し、必要な施主につないでくれる相手を見つけることです。

取引先開拓サービス 詳細資料

実際のサービスでお客様に提供する営業先リストのサンプル、進行資料、月次定例の内容等、利用実感を掴みやすい資料にまとめました。

取引先開拓サービス 詳細資料 1ページ
課題

建設会社との接点が増えても専門工事の受注につながらない状況

新規開拓の難しさは、接点の少なさだけでなく、「どんな施主の困り事に使える技術か」が伝わっていないことにあります。

経営者は、こう話していました。

「ただ建設会社さんと知り合っても、意味がないと思っていて。お客さんのお客さんに、どうつながるのかを気にしています」

実際、土地活用などの計画段階で、不動産会社や関連する会社から相談を受けることはあります。しかし、技術の説明や見積もりで終わり、受注には至っていません。経営者は、それも知ってもらうための大切な機会と捉えていますが、取引先が増えたとは言い切れない状態です。

大手ゼネコンとの接点にも、別の難しさがありました。対象になる工事が常にあるわけではありません。発注が協力会社を経由する場合もあり、直接つながれば依頼が来るとは限りません。取引開始までの時間や、安全書類などへの対応負担もあります。

相手の知名度や会社規模と、自社の仕事につながりやすいかどうかは別です。見るべきなのは、その会社が自社の技術を必要とする施主の相談を受けているかどうかです。

背景

工務店の高齢化で細る紹介経路と同業者にも届いていない技術の用途

これまで仕事につないでくれた工務店が減る一方、その役割を担う新しい相手には、技術の用途から伝える必要があります。

既存の工務店では、大工の高齢化や廃業が進んでいました。それに伴い、曳家や建物を持ち上げる工事の依頼も減っています。施工力が落ちたというより、技術の使いどころを知る相手との接点が細くなっている状況です。

従来の関係には、単なる外注先以上の意味がありました。工務店側にも「建物を残したい」という考えがあり、土台の補修などに専門技術をどう組み合わせるかが分かっていました。施主との信頼関係を持つ工務店が間に入ることで、専門工事の相談につながっていたのです。

一方、新しい相手には、曳家や傾き修正そのものを知らない建設会社もあります。技術の内容が分からなければ、見積金額だけで比較されやすくなります。

この会社の強みは、一つの工法だけに縛られず、建物の状態や予算に応じて方法を提案できることでした。図面と実際の状態が違う場合にも、対応を考えられる経験があります。ただ、その価値は「曳家ができます」という説明だけでは伝わりきりません。

「付き合う業者さんの、引き出しが一つ増えるようなイメージだと思うんです」

この言葉に、法人向けに伝える価値が表れています。相手にとっての利点は、専門業者を一社知ることではなく、施主に提案できる選択肢が増えることです。

解決

既存案件と施主の困り事から絞る営業先と伝え方

最初に整理したいのは営業先の業種一覧ではなく、既存の仕事が「誰の、どんな相談」から始まったかです。 そこから候補を絞ると、接点を持つ理由も伝える内容も具体的になります。

まずは、実際に受注した案件と、見積もりで終わった相談を分けて振り返ります。この会社であれば、次の情報が手がかりになります。

  • 工務店からの、建物を残すために土台を直したいという相談
  • 地盤関係の会社からの、建物を持ち上げる必要がある相談
  • ほかの会社では対応が難しく、最終的に持ち込まれた工事
  • 不動産会社などからの、計画段階の相談や見積もり依頼

確認したいのは、紹介元の業種だけではありません。施主が何に困っていたのか。相手の会社だけでは何が難しかったのか。自社のどの対応が役立ったのか。ここを整理すると、長年の付き合いに隠れていた「選ばれる理由」が見えてきます。

営業先は、施主の相談との近さと、自社の技術を提案に組み込めるかで選びます。 工務店なら、既存建物を残す相談を受けているか。地盤調査・地盤工事会社なら、調査や地盤への対応だけでなく、建物側の対応が必要になる相談があるか。不動産会社なら、土地活用の計画で既存建物の扱いを検討する機会があるかが、候補を絞る軸になります。

不動産会社から相談が来ていることと、受注につながることは分けて考えます。計画段階の情報収集なのか、施主が具体的な対応を検討しているのか。既存の相談がどの段階で止まっているかも、次の働きかけを考える材料です。

そのうえで、候補企業の事業内容や取引先を調べ、既存案件と共通点のある会社をリストアップします。「工務店だから」ではなく、「建物を残したい施主の相談を受けているから」と理由を持てる相手から、接点をつくっていく進め方です。

法人に伝える際は、工法名の列挙よりも、実際の相談と対応を結びつけます。土台の補修にどう関われたのか。建物の状態や予算に合わせて、どのような提案をしたのか。既存案件の中身を伝えることで、「自社の施主にも使えるかもしれない」と考えてもらいやすくなります。

法人向けの取引先開拓と、一般向けの認知活動は、伝える目的を分けます。 法人には「施主への提案の選択肢が増えること」を伝えます。一方、一般向けのホームページやSNSでは、「建物の状態によっては、解体以外の方法を検討できること」を知ってもらう役割があります。

経営者が伝えたかった「建物は直せるんだよ」という言葉も、すべての建物を直せるという約束ではありません。まずは直す方法を相談する余地があると知ってもらうこと。その認知活動と、相談を受け止める法人との関係づくりを並行して進めることが大切です。

まとめ

専門工事の新規開拓は、技術を広く知らせるだけでなく、その技術が必要になる相談を受けている相手を見つける活動です。

既存の工務店から依頼が来ていたのは、長い付き合いに加えて、「建物を残したい」という共通の目的があったからでした。新しい取引先を探すときも、その共通点を手がかりにできます。

まずは、受注につながった案件を振り返り、施主の困り事、取引先だけでは難しかったこと、自社が担ったことを整理する。そのうえで、工務店・地盤関係の会社・不動産会社などの候補を絞ります。

法人には提案の選択肢が増える価値を、一般の施主には解体以外の選択肢があることを伝える。この役割を分けると、誰に何を届けるかが明確になります。

自社の技術を必要とする取引先の整理から

「どの業種に営業するか」が決まっていなくても、既存の仕事を振り返るところから始められます。 どんな相談で強みが生きたのか、誰との接点を増やすと施主に届くのかを整理することが、次の一手になります。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して捉え、整理から実行まで支援しています。販路開拓では、既存取引の特徴を踏まえた候補先の選定や、専門技術の伝え方の見直し、アプローチまで一緒に進めます。

「うちの場合は、誰に伝えるとよいのか」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスをお勧めすることはありませんので、次の整理先としてお気軽にお声がけください。

お問い合わせはこちら