前提

ダクトから配管まで対応できても、一式受注には番頭の確保が必要な設備工事会社

施工に対応できることと、自社の立場で現場をまとめて一式で受けられることは、別の体制です。 その間をつなぐ番頭が、今回の相談の中心でした。

兵庫県のある設備工事会社は、ダクトから空調配管まで対応しています。目指しているのは、設備工事をまとめて任せてもらえる、小さなサブコンのような立ち位置です。

改修工事を扱う取引先からも、番頭を用意できれば丸ごと任せたいという話があります。ただ、現場管理を頼んでいるのは、個人事業主として活動する複数の協力業者です。自社専属ではありません。

「うちだけの仕事をしているわけではないので、タイミングが合わなかったら、もういないという感じですね」

頼れる人はいる。けれど、自社が受けたい現場に、必ず入ってもらえるわけではない。そのため、自社の担当として現場を任せられる人を迎えたいと考えています。

課題

仕事を断ってはいなくても、一部工事の受注にとどまる状態

困っているのは、仕事がまったく取れないことではなく、番頭を用意できずに受注範囲が狭くなることです。 ここを分けて考えると、採用で解消したい課題が見えてきます。

社長は、受注状況についてこう説明していました。

「番頭がいないからといって、丸々断ることはないんです。その工事のうち、ここの作業だけやろうか、という感じで取れてはいるので」

一式では受けられなくても、ダクトや配管など、一部の工事には入れます。一方、現場管理まで含めた依頼は、年間で複数件、引き受けられていませんでした。

気になっているのは、その現場だけの受注額ではありません。

「できませんと言ったときに、ほかの業者さんが入りますよね。次の現場では、番頭を準備できた業者さんに先に話が行くと思うので」

これは、すぐに取引がなくなるという話ではありません。ただ、取引先が設備一式を頼みたいとき、最初に相談する相手が変わる可能性はあります。

欲しいのは、単に作業人数を増やすための採用ではありません。取引先からの「まとめて任せたい」に、自社として応えられる担当者の確保です。

背景

協力業者の空き日程に左右される体制と、一度に増員できない事情

協力業者に現場管理を頼める体制はあっても、自社の受注予定に合わせて動ける体制にはなっていません。 人数だけを見ると、この違いを見落としやすくなります。

協力業者にも、ほかの取引先や現場があります。日程が合えば頼める。合わなければ、一式で受けることを見送る。今の受注範囲は、その都度の予定に左右されていました。

一方で、仕事量に合わせて一気に採用することにも、慎重さがあります。

「仕事量で言ったら、もう少し人がいたら回ると思います。ただ、コストは先にかかってしまうので」

社長は、今後の地域の新築需要にも目を向けています。目の前の依頼だけを見て、固定的な負担を急に増やしたくない。そう考えるのも自然です。

そのため、採用人数の希望だけを先に決めても、動き出しにくくなります。まず必要なのは、どの役割を自社側に置きたいのかを明確にすることです。

「番頭が欲しい」という言葉だけでは、候補者にも任せたい仕事が伝わりきりません。自社の立場で設備工事の現場を管理してほしいのか。一部工事を任せたいのか。設備一式を担う体制づくりにも関わってほしいのか。この範囲を言葉にすることが、声をかける相手を決める土台になります。

解決

番頭の役割を言葉にし、経験者への紹介と直接の声掛けを軸にした採用

求人媒体を選ぶ前に、「誰に、どこで、何を伝えるか」をそろえることが、今回の会社に合う進め方です。 役割、候補者、出会い方の順で整理していきます。

まずは、自社の番頭として任せたい範囲の整理

最初に言葉にしたいのは、肩書きよりも役割です。この会社で必要なのは、自社の担当として現場を管理し、設備一式を受ける体制を支える人です。

紹介を頼む前に、次の点をそろえておくと、相手に伝える内容が具体的になります。

  • 一部工事の担当ではなく、設備一式の現場管理まで任せたいのか
  • ダクトや配管など、異なる工種の職人と組んで進める役割なのか
  • 社員として迎えたいのか、一人親方や協力会社としての参画も考えるのか

迎え方の判断軸は、雇用するかどうかだけでなく、自社が受けたい現場を予定に組み込めるかどうかです。 協力関係を広げても、日程が合わない状態が続けば、今回の困りごとは残ります。

社員採用に絞る場合も、協力関係を含める場合も、まずは任せる範囲と関われる日程をすり合わせる必要があります。

候補者は、設備会社の立場で現場を管理した経験から検討

候補として挙がったのは、サブコンなどで現場代理人を経験した人です。設備会社の側に立って、現場を管理してきた経験が、求める役割につながります。

ほかにも、独立して動きたいベテランや、定年前後でも現場に関わり続けたい人が候補になります。ただし、独立志向の人と社員採用では、希望する働き方が異なる場合があります。

大切なのは、年齢や肩書きだけで対象を決めないことです。設備の現場管理経験と、これからどのように現場に関わりたいかを、セットで確かめます。

現場経験が長いことと、今回任せたい役割を担えることは、必ずしも同じではありません。自社の担当として現場をまとめられるか。その働き方が本人の希望にも合うか。この二つを見ながら候補者像を絞ります。

出会いの軸は人的ネットワーク、求人媒体は確認の受け皿

候補者との接点は、社長のネットワーク、協力業者からの紹介、経験者への直接の声掛けを軸に考えます。

ここで、紹介を頼む言葉も変わります。「誰かいい人はいませんか」だけでは、紹介する側も判断しにくいものです。設備会社の立場で現場を管理した経験があり、設備一式を受ける体制に関わってくれる人を探している。そこまで伝えると、必要な相手が具体的になります。

求人媒体は使わない、ということではありません。紹介や声掛けで関心を持った人が、役割や会社の方向性を確かめられる受け皿として使います。

直接伝える話と求人原稿の内容をそろえることも大切です。媒体上では単なる施工管理募集なのに、話を聞くと体制づくりまで期待される。それでは、候補者も判断しづらくなります。

伝える魅力は、設備一式を担う体制づくりへの参画

この会社が伝えられるのは、人手が足りないという事情だけではありません。ダクトから配管まで対応できる土台があります。設備一式を任せたいという既存取引先の声もあります。

そのうえで、番頭が加われば、今は一部しか受けられない工事をまとめて担えるようになる。この役割には、会社の次の体制を一緒につくるという意味があります。

改修工事に関われること。異なる工種の職人と組めること。自分の経験が、一式受注を支えること。こうした具体を、候補者の希望に合わせて伝えていきます。

もちろん、誰にでも同じ魅力が響くわけではありません。会社の目指す姿を説明し、相手が続けたい働き方との接点を探すことが、声掛けの中心です。

増員は、その役割を担える人を一人迎えたときに、どの現場を任せられるかから考えます。必要な人数を一度にそろえるのではなく、任せられる範囲と先に発生する負担を見ながら、段階的に進める考え方です。

まとめ

番頭不足によって設備工事を一式で受けられないときは、採用人数より先に、自社の立場で任せたい役割を明確にすることが出発点です。

その役割に照らして、現場代理人経験者や、現場に関わり続けたいベテランを候補にします。社員か協力関係かという迎え方も、本人の希望と必要な日程を踏まえて考えます。

接点づくりは、紹介や直接の声掛けを軸に進めます。求人媒体は、関心を持った人が仕事内容を確かめる受け皿です。

伝えたいのは、欠員を埋めてほしいという話だけではありません。設備一式を任せてもらえる会社を、一緒につくってほしいという役割です。まずは、その役割を短く説明できる状態にするところから始められます。

自社に必要な番頭像と、声をかける相手の整理

「うちの場合、どこまで任せる人を探せばよいのか」という段階から、採用の進め方を整理できます。 求人を出すか、紹介を頼むかを、先に決める必要はありません。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。番頭採用でも、現在の協力体制や受けたい工事を踏まえ、必要な役割、候補者像、働きかけ方を一緒に考えます。

何から整理すべきかわからない場合も、ご相談いただけます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、自社に合う進め方を考える場としてご活用ください。

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