東海地方で衛生配管を担う設備工事会社が、繁忙期に備えて協力会社を探している状況
東海地方で給排水・衛生配管を手がける、地域密着型の設備工事会社から寄せられたのは、協力会社候補の探し方に関する悩みでした。
求めていたのは、少人数で機動力があり、病院や高齢者施設などの給排水配管を経験している会社です。拠点からおおむね1時間圏内で動けることも条件に入っていました。
背景には、工事量を先まで読み切れない建設業ならではの事情があります。
「いま足りているかと聞かれると、これから急に仕事が入るかもしれないので分からない」
仕事が入ってから協力会社を探し始めると、必要なタイミングに間に合わないことがあります。一方、手当たり次第に声をかけるのも現実的ではありません。
そこで、広域の設備工事会社約2,000社から条件に合う候補を約1,000社まで絞り、さらに優先して確認する約120社を選びました。
協力会社探しでは、候補数の多さよりも「自社に合う順番で並んでいるか」が重要です。
約1,000社の候補があっても、社名と電話番号だけでは優先順位を決められない問題
候補が約1,000社あれば、母数としては十分に見えます。しかし、上から順番に電話をかければよいわけではありません。
社名、所在地、電話番号だけでは、次のような違いが見えないからです。
- 衛生配管と空調配管のどちらを得意としているか
- 給排水工事が主力なのか、一部の対応にとどまるのか
- 病院や高齢者施設、大型施設の施工経験があるか
- 大手設備会社の現場に入った経験があるか
- 自社の拠点から無理なく移動できるか
- 数名規模なのか、10名を超える組織なのか
- すでに取引や接点がある会社ではないか
候補企業を画面で確認していくと、「この会社は知っている」「一緒に飲みに行くくらいの関係」「以前、応援を頼んだけれど忙しくて難しかった」といった情報が次々に出てきました。公開情報上は条件に合っていても、実際には新規開拓先ではない会社が含まれていたのです。
評判についても同様です。工種や規模が合っていても、地域内で聞いている評判から、声をかけないほうがよい会社もあります。
データ上の適合と、実際に付き合えるかどうかは別の判断です。候補リストは、そのまま使うのではなく、自社が持つ関係性や評判を重ねて初めて実用的になります。
病院実績、5名以下、1時間圏内をすべて満たす会社は十数社まで減る条件の重なり
候補を選びにくくしていたのは、条件が曖昧だったからではありません。むしろ、求める会社像が具体的であり、複数の条件を同時に満たす会社が少なかったことが背景にあります。
たとえば、約1,000社の候補のうち、病院や高齢者施設の施工実績を公開情報から確認できた会社は十数社程度でした。
病院実績だけなら、もう少し見つかる可能性があります。しかし、そこへ「衛生配管が中心」「少人数」「拠点から1時間圏内」「大規模現場に対応できる」といった条件を重ねると、対象は急速に減っていきます。
大手設備会社との取引実績や大型施設の施工経験は、書類、安全ルール、入退場管理などに慣れている可能性を判断する材料になります。ただし、実績があるだけで、自社の仕事に合うとは限りません。
反対に、小規模で動きやすそうな会社でも、自治体の水道工事が中心であれば、民間の大型施設における衛生配管とは仕事の進め方が異なる場合があります。
一人親方は、さらに公開情報が限られます。近隣で管工事をしていることは分かっても、具体的な施工実績や得意分野までは確認できないことが多いためです。
「一人親方がどんな仕事をしてきたかで、だいぶ変わってくる」
この感覚は、法人の選定にも共通しています。会社名や許可業種だけでは、現場との相性までは判断できません。
条件を増やすほど精度は上がりますが、候補数は減ります。重要なのは、すべてを必須条件にせず、「外せない条件」と「後から広げられる条件」を分けることです。
工種と施工経験を固定し、規模、距離の順で条件を広げる選定手順
協力会社候補は、最初から一つの条件で切るのではなく、段階を分けて絞り込むと判断しやすくなります。
1.最初に「任せたい仕事」を固定する
最優先で確認したいのは、対応工種です。今回であれば、管工事会社という大きなくくりではなく、給排水・衛生配管を主力としているかを見ます。
空調配管、公共の水道工事、ポンプ工事などが中心の会社を一律に否定する必要はありません。ただし、探している仕事と主力分野が異なるなら、優先順位は下げたほうが効率的です。
「何の会社か」ではなく、「今回任せたい仕事を普段から行っているか」で選びます。
2.施工実績と主要取引先から、現場への適応度を見る
次に、施工実績と主要取引先を確認します。病院、高齢者施設、工場など、今回求める現場に近い実績があれば、優先度を上げます。
大手設備会社や設備サブコンとの継続取引も一つの材料です。大規模現場の安全管理や書類対応に慣れている可能性があるためです。
ただし、主要取引先の名前だけで判断せず、給排水と空調のどちらを担当したのか、どのような施設で施工したのかまで確認します。
3.距離と従業員規模で、実際に動けるかを見る
工種と経験が合ったら、拠点からの距離と従業員規模を確認します。
距離は、単純な市区町村ではなく、移動時間で見るほうが実態に合います。今回のように1時間圏内を基準にすれば、応援依頼への対応や継続的な移動負担を想像しやすくなります。
従業員規模は、小さいほどよいとは限りません。数名規模は機動力が期待できる一方、既存現場で埋まっていれば動けません。10名前後の会社でも、班編成によっては応援に入れる可能性があります。
4.社内で既存接点と評判を確認し、除外先を先に決める
候補を並べた後は、経営者だけでなく、工事責任者や現場をよく知る社員にも確認します。
候補は、少なくとも次のように分けておくと整理しやすくなります。
- すでに取引があるため、新規開拓の対象外
- 個人的な連絡先があり、自社から直接連絡できる
- 過去に依頼したが、その時点では繁忙で断られた
- 評判や過去の経緯から、連絡を控える
- 名前は知っているが接点がなく、新規に声をかけたい
- まったく接点がなく、条件面から確認したい
過去に断られた会社も、永久に対象外とは限りません。「以前は忙しくて難しかった」という会社は、時期を改めて確認する候補として分けておけます。
除外先を先に決めることで、既存取引先への重複連絡や、関係上避けたい会社への誤ったアプローチを防げます。
5.条件が厳しすぎる場合は、従業員規模から段階的に広げる
条件をすべて満たす会社が少ない場合でも、工種や必要な施工経験から緩めるのは避けたいところです。任せたい仕事との相性そのものが変わってしまうためです。
広げる順番は、次のように考えられます。
- 従業員数を5名以下から10名以下へ広げる
- 反応を見ながら15名以下まで広げる
- それでも不足する場合に、1時間圏内から周辺エリアへ広げる
従業員数を広げても、工種や施工経験が合っていれば、仕事上の相性は維持できます。一方、エリアを広げると移動時間や交通費が継続的に発生するため、後から緩和するほうが判断しやすくなります。
ただし、遠方でも一定期間まとまった仕事を出せる場合などは、距離を先に広げる選択肢もあります。どの条件を緩めるかは、候補数だけでなく、現場への入りやすさと継続時の負担で決めます。
6.公開情報で分からない項目は、最初の電話で確認する
候補を絞っても、稼働状況や応援可否までは分かりません。特に一人親方や小規模事業者は、ホームページがなく、施工実績を公開していないこともあります。
その場合は、近隣で該当工種を扱う候補を抽出し、電話で次の点を確認します。
- 現在の主な工種
- 病院や大型施設の経験
- 対応できる人数
- 動ける時期と期間
- 対応可能なエリア
- 大手現場で必要な安全書類などへの対応経験
この確認を通じて、条件が合う会社だけを次の打ち合わせにつなげます。リスト選定は電話を減らすための作業であり、公開情報だけで最終判断する作業ではありません。
まとめ
協力会社候補は、多く集めれば解決するものではありません。約1,000社の候補があっても、自社の仕事に合う会社を見分けられなければ、連絡の手間が増えるだけです。
まずは、対応工種、施工実績、主要取引先、距離、従業員規模で優先順位を付けます。そのうえで、既存の取引関係や地域内の評判を社内で確認し、連絡しない会社を除外します。
条件に合う会社が少なければ、工種と必要な施工経験は維持したまま、従業員規模、エリアの順で段階的に広げると整理しやすくなります。
協力会社選びの要点は、候補を増やすことではなく、自社が安心して声をかけられる順番をつくることです。
自社に合う協力会社の条件を整理したいときは
協力会社を増やしたいと思っても、「どの条件を必須にするか」「既存のつながりと新規候補をどう分けるか」が曖昧なままでは、動き始めにくいものです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社候補の条件整理や優先順位付けなど、「うちの場合は何から整理すべきか」という段階からでもお話しいただけます。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、状況を一緒に整理するところから進めます。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、必要なタイミングで気軽にご相談ください。