国土交通省は、令和9年度から開始する「河川砂防技術研究開発公募」の募集を、令和8年10月23日から開始しました。水管理・国土保全行政の技術政策課題を解決するため、大学、研究機関、一般社団法人、一般財団法人、民間企業等から研究開発提案を募るものです。

公募名

令和9年度 河川砂防技術研究開発公募

募集開始

令和8年10月23日(金)

応募締切

令和8年12月4日(金)必着

応募対象

大学、大学付属試験研究機関、一般社団法人、一般財団法人、民間企業等

対象部門

河川技術部門、砂防技術部門、河川生態部門、海岸技術部門

採択可否

令和8年12月〜令和9年3月に決定・公表予定

契約手続き

令和9年3月〜5月に委託研究契約の準備・手続き

今回の公募は、いわゆる「すぐに工事案件を取りに行く」話ではありません。 ただし、河川、砂防、海岸、維持管理、防災、環境、土砂管理に関わる会社にとっては、将来の公共事業の技術テーマを先取りできる情報です。

特に、地域の河川・砂防・海岸工事に関わっている会社、維持管理や調査、ICT、計測、遠隔施工、データ活用に関心がある会社は、一度目を通しておきたい内容です。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ

今回の公募で押さえたいポイント

今回の公募では、国土交通省が管理する河川や砂防、海岸を対象に、産学官が連携して技術研究開発を進める提案を募集しています。

主な部門は次のとおりです。

部門

主な公募内容

費用負担限度額・期間の例

河川技術部門

土砂供給シナリオの変化に応じた河道応答予測、土砂管理技術の高度化など

指定型は2年以内、合計2,000万円まで

河川技術部門・提案型

流域課題、地域課題

流域課題は最長2年・合計600万円、地域課題は最長2年・合計400万円

砂防技術部門

砂防施設の機能確保、流域内の土砂移動評価手法など

指定型はFS年度400万円、以後2年以内で合計1,600万円まで。総合計2,000万円まで

砂防技術部門・提案型

砂防関係事業の技術的課題

最長3年、合計600万円

河川生態部門

河川環境の保全・創出、生物の生活史を維持する研究

FS研究は原則1年以内、年間500万円まで

海岸技術部門

海岸工事、維持管理、津波・高潮、海岸侵食対策など

最長2年、合計400万円

民間企業等も応募対象に含まれている点が重要です。 ただし、各課題には、地方整備局等との事前調整、行政との意見交換、共同研究体制などの条件があります。応募を検討する場合は、必ず実施要領の確認が必要です。

中小建設業にとっての意味は「研究費」だけではありません

この公募を見て、こう感じる方もいると思います。

「うちは研究機関ではないから関係ない」 「大学や大手コンサルの話ではないか」 「現場会社には少し遠い話に見える」

たしかに、研究代表者の年齢要件や、行政・研究機関との連携条件がある課題もあります。中小建設会社が、単独でいきなり応募するのは簡単ではないかもしれません。

それでも、この公募は“これから国が現場で必要とする技術”をかなり具体的に示しています。

たとえば、砂防技術部門では、次のような研究テーマが想定されています。

  • 土砂生産が活発な流域における土砂移動を評価するモデル
  • 効果的・効率的な除石等の実施方法
  • 豪雨時に機能を発揮する砂防施設設計手法
  • 砂防施設の山脚固定効果を定量的に評価する技術

現場に近い会社ほど、「あの渓流では、除石のタイミングが難しい」「豪雨後の堆積状況をどう読むかで段取りが変わる」といった実感を持っているはずです。

現場の困りごとは、研究テーマの種になります。 そこに大学、研究機関、建設コンサルタント、測量会社、ICT企業などが組み合わされば、応募可能性が出てきます。

注目したいのは、維持管理・防災・データ活用の流れです

今回の資料では、河川、砂防、海岸のいずれでも、単なる新設工事ではなく、維持管理や機能確保、気候変動への対応、土砂移動の把握、環境への配慮が強く出ています。

これは、中小建設業にとって大事な流れです。

これからの公共工事は、「つくる力」だけでなく、「測る力」「記録する力」「変化を読む力」「維持する力」がより問われていきます。

たとえば、次のような力です。

  • 現場写真や測量データを継続的に整理する力
  • ドローン、3D測量、レーザー測量などを使いこなす力
  • 降雨後や出水後の変化を記録する力
  • 維持管理上の課題を行政や設計者に説明する力
  • 地域特有の地形、土砂、河道、海岸の変化を蓄積する力

今回の公募には、AI・データ駆動型モデル、スーパーコンピュータやGPU活用、数値解析技術といった言葉も出ています。 一方で、研究開発の検証には、現地データや実河川での知見が欠かせません。

ここに、地域建設会社の価値があります。

地域の現場を何年も見てきた会社の知見は、研究開発の現場データとして意味を持ちます。 それを言語化し、記録し、外部と共有できる形にしておくことが、次の仕事につながる可能性があります。

応募を考える会社が確認したいこと

応募を具体的に検討する場合は、まず次の点を確認したいところです。

1つ目は、自社が持っている現場課題が、公募テーマと重なるかです。 河川工事、維持管理、砂防、地すべり、海岸保全、除石、災害対応、環境配慮などで、日頃から感じている課題を棚卸ししてみるとよさそうです。

2つ目は、連携相手がいるかです。 大学、研究機関、建設コンサルタント、測量会社、ICT企業、地元の技術者など、共同で研究開発を組める相手が必要になる可能性があります。

3つ目は、対象フィールドを所掌する地方整備局や直轄砂防事務所等との調整です。 提案型課題では、応募に先立って、研究対象とする河川や海岸、砂防フィールドを所掌する機関との事前調整が求められるものがあります。

4つ目は、研究成果をどう実務に活かすかです。 採択されること自体が目的ではありません。将来の工事、維持管理、提案力、技術営業、採用、社内教育につながるかを見ておきたいところです。

応募締切は、令和8年12月4日(金)必着です。 期間は長くありません。関心がある会社は、まず公募ページと実施要領を確認し、連携先候補と早めに話すのがよさそうです。

経営目線では「技術開発に参加できる会社」になる準備を

今回の公募は、すべての中小建設会社が応募すべきものではありません。 無理に研究開発へ踏み込む必要もありません。

ただ、経営目線では、次の問いを持っておきたいです。

「自社の現場経験は、技術開発の材料として整理できているか」 「行政や設計者に、現場からの改善提案を出せる状態になっているか」 「大学や外部企業と組めるだけのデータや課題意識を持っているか」

これからの建設業では、現場をこなす力に加えて、現場から課題を見つけ、技術として形にする力が効いてきます。

特に、河川・砂防・海岸の分野は、気候変動、豪雨災害、維持管理、人手不足が重なっています。 現場は忙しいです。人も足りません。だからこそ、“経験と勘”を、記録と技術に変えていく会社が強くなります。

今回の公募は、そのきっかけの一つとして見ておきたいニュースです。

自社に関係する技術テーマを整理するところから始める

「応募できるかどうかは分からない」 「うちの現場課題が研究テーマになるのか判断できない」 「大学やコンサルと組む前に、まず自社の強みを整理したい」

その段階でも、十分に意味があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。技術開発や補助制度の活用も、単体で見るのではなく、会社の持続的成長につながるかを一緒に考えます。

無理な営業はいたしません。 「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。必要であれば、次の一手を一緒に整理していきましょう。

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