UDトラックス株式会社から、令和8年10月22日、国土交通大臣に対して大型トラック等のリコール届出がありました。対象は「クオン」など計123型式・4車種、合計9,933台です。リコール開始日は令和8年10月23日です。
届出者 | UDトラックス株式会社 |
リコール届出番号 | 5877 |
リコール届出日 | 令和8年10月22日 |
リコール開始日 | 令和8年10月23日 |
主な対象車 | UDトラックス「クオン」、いすゞ「ギガ」ほか |
対象台数 | 計9,933台 |
不具合部位 | 電気装置(キャブ入出力モジュール) |
不具合件数 | 68件 |
事故の有無 | 無し |
改善措置 | キャブ入出力モジュールのソフトウェアを対策プログラムに書き換え |
今回のリコールは、建設会社にとっても他人事ではありません。大型トラック、資材運搬車、重機回送に関わる車両を自社またはリースで使っている会社は、対象車両に該当するかを早めに確認し、現場稼働への影響が出ないよう整備予定を組むことが大切です。
何が不具合なのか
今回の不具合は、運転席のフレキシブルスイッチパネルとキャブ入出力モジュールの互換性に関する検証が不十分だったことによるものです。
キーをオンにした際に、スイッチを押しても動作しない、または意図せず押された状態になることがあるとされています。その結果、たとえばフォグランプが点灯しないなど、各種装置が保安基準で定める要求を満たさないおそれがあります。
建設現場の車両は、早朝・夜間・雨天・山間部・狭い搬入路など、一般道以上に視界や合図が重要になる場面があります。今回の内容は「走行不能になる」という説明ではありませんが、灯火類などの操作が意図通りに動かない可能性がある以上、安全管理上は軽く見ない方がよいリコールです。
対象車両はどこまで見るべきか
国土交通省の資料では、対象は計123型式・4車種、製作期間の全体範囲は令和7年7月21日から令和8年6月3日とされています。対象台数は計9,933台です。
主な対象として、UDトラックス「クオン」、いすゞ「ギガ」などが記載されています。また、交換修理用部品として出荷され、組み付けられた車両が特定できない対象部品も358個あるとされています。
ここで注意したいのは、資料にも記載がある通り、リコール対象車の車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合があるという点です。
そのため、社内で「たぶん違う」「年式が近いだけだから関係ない」と判断するのではなく、以下の順で確認するのが現実的です。
- 車検証や車両台帳で、車名・型式・車台番号を確認する
- メーカー等ホームページのリコール対象車検索で確認する
- 販売店または届出者に問い合わせる
- リース車両の場合は、リース会社にも確認する
- 協力会社の車両が自社現場に常時入る場合は、必要に応じて確認を促す
特に中小建設会社では、車両管理が「現場責任者任せ」「総務が車検時だけ確認」「社長が感覚で把握」という形になっていることもあります。今回のようなリコールをきっかけに、車両台帳と実車の情報を一度そろえるだけでも、今後の安全管理はかなり楽になります。
建設会社の実務では、稼働予定との調整がポイントです
改善措置は、全車両についてキャブ入出力モジュールのソフトウェアを対策プログラムに書き換えるものです。具体的な作業時間や入庫方法は、販売店等に確認する必要があります。
建設会社の場合、車両は単なる移動手段ではありません。資材を運ぶ、廃材を出す、重機を回す、現場間をつなぐ。1台止まるだけで、段取りが崩れることがあります。
だからこそ、今回のようなリコールでは、安全確認と同時に「いつ入庫すれば現場への影響が少ないか」を考えることが重要です。
実務上は、次のように整理しておくと動きやすくなります。
- 対象になりそうな大型車を一覧化する
車名、型式、車台番号、使用部署、主な現場、担当者を並べます。
- 直近1〜2か月の稼働予定と照らし合わせる
繁忙な現場、夜間工事、搬入日、重機回送予定がある車両は優先して確認します。
- 販売店に作業可否と日程を確認する
作業内容はソフトウェア書き換えとされていますが、実際の予約状況は販売店ごとに異なります。
- 実施済みの記録を残す
誰が、いつ、どの車両を確認し、いつ改善措置を受けたかを残します。
小さなことに見えますが、「対象確認」「入庫調整」「実施記録」までを一連の流れにすることが、車両リスクを会社として管理する第一歩です。
協力会社・リース車両も含めて考える
今回のリコールは、自社名義の車両だけを見て終わり、とは限りません。
建設業では、リース車両、グループ会社車両、協力会社の運搬車両が現場に入ることが多くあります。もちろん、各車両の管理責任は所有者や使用者にあります。ただ、元請・一次・専門工事会社の立場に関わらず、現場全体の安全を考えるなら、自社現場に日常的に出入りする大型車について、リコール確認を促す姿勢は大切です。
特に、資材搬入や残土・産廃運搬などで決まった車両が継続的に出入りしている場合は、朝礼や安全書類のやり取りの中で、次のように軽く確認するだけでも効果があります。
- 「UDのクオンや対象になりそうな大型車はありませんか」
- 「リース会社や販売店への確認は済んでいますか」
- 「該当車両があれば、入庫予定だけ共有してください」
強く詰める話ではありません。けれど、安全に関わる情報を現場内で共有する文化がある会社は、事故やトラブルの芽を早く見つけやすくなります。
今回のリコールを、車両管理の見直しにつなげる
今回の発表から、中小建設会社が読み取るべきことは明確です。
車両管理は、車検と任意保険だけでは足りない時代になっているということです。
最近のトラックは、電子制御やソフトウェアで動く部分が増えています。今回の改善措置も、部品交換ではなくソフトウェアの書き換えです。つまり、昔のように「目で見て壊れていなければ大丈夫」とは言い切れない領域が広がっています。
これからの車両管理では、少なくとも次の4つを押さえておきたいところです。
- 車両台帳に、車名・型式・車台番号・使用者・保管場所を正確に残す
- リコール情報を確認する担当者を決める
- リース車両・協力会社車両の確認ルールを持つ
- 改善措置を受けた記録を、安全管理資料として残す
大げさな仕組みでなくても構いません。Excelでも、クラウド台帳でも、まずは十分です。大事なのは、「誰かが知っている」ではなく「会社として確認できる」状態にすることです。
自社の車両管理を整理するきっかけに
今回のリコールは、対象車両を持っている会社にとってはすぐ確認したい情報です。一方で、対象車両がなかった会社にとっても、車両台帳、リース車両、協力会社車両、安全記録の持ち方を見直すよい機会になります。
「うちの車両台帳は今のままで足りているのか」「リコール情報を誰が見ているのか」「現場と管理部門で情報が分かれていないか」。こうした点を一度整理しておくと、次に同じような情報が出たときの動きが早くなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・安全・組織・原価管理・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。車両管理や安全管理も、突き詰めれば「現場がものづくりに集中できる環境をどう整えるか」という経営課題の一部です。
「まず何から整理すればよいかわからない」「自社の車両管理の形を一度見直したい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を一緒に整理する場としてご活用ください。