国土交通省は、中堅・中小建設企業の技術者採用支援を目的として、ベトナムのホーチミン市とハノイ市で合同就職説明会を開催します。対象は、外国人技術者の採用を検討中・取組中の中堅・中小建設企業です。ホーチミン市工科大学、ハノイ土木大学、日越大学の学生等に対して、自社の事業内容や取組を直接紹介し、個別面談を行う機会が用意されています。
施策名 | 外国人技術者採用のためのベトナム合同就職説明会 |
主催 | 国土交通省 不動産・建設経済局 国際市場課 |
対象企業 | 外国人技術者の採用を検討中・取組中の中堅・中小建設企業 |
開催地 | ベトナム・ホーチミン、ハノイ |
日程 | 令和8年12月8日(火)〜12月11日(金) |
主な会場 | ホーチミン市工科大学、ハノイ土木大学、日越大学 |
定員 | 10社程度(1大学あたり) |
参加費 | 無料。ただし航空券、宿泊、飲食、海外旅行保険、通訳費等は自己負担 |
申込期限 | 令和8年11月18日(水) |
申込URL | https://forms.cloud.microsoft/r/idH7GeMCZW |
今回のポイントは「中小建設企業向け」と明記されていることです
今回の発表でまず押さえたいのは、対象が明確に中堅・中小建設企業とされている点です。
中小企業は、資本金3億円以下または従業員数300人以下の企業。中堅企業は、中小企業を除く従業員2,000人以下の企業とされています。いずれも、みなし大企業は除かれます。
つまり、これは大手企業だけが海外大学と接点を持つための場ではありません。むしろ、普段は海外大学との関係づくりに踏み出しにくい中小建設企業が、国交省の枠組みを使って現地学生に直接アプローチできる機会です。
採用の現場では、「国内の新卒採用だけでは技術者候補に出会いにくい」「施工管理や設計補助を担える若手を育てたいが、母集団形成が難しい」という声が増えています。今回の説明会は、その打ち手の一つとして見る価値があります。
国内採用の延長ではなく、海外理系人材との接点づくりとして捉えることが重要です。
開催内容:ジョブフェアと企業紹介セミナーの2本立てです
プログラムは、ホーチミンとハノイの2都市で行われます。
日程 | 場所 | 内容 |
|---|---|---|
令和8年12月8日(火)10:00〜16:00頃 | ホーチミン市工科大学 | 開会式、個別ブースでの会社紹介・質疑応答、学生との個別面談 |
令和8年12月9日(水) | 移動日 | ホーチミンからハノイへ移動 |
令和8年12月10日(木)10:00〜16:00頃 | ハノイ土木大学 | 開会式、個別ブースでの会社紹介・質疑応答、学生との個別面談 |
令和8年12月11日(金)16:00〜18:00頃 | 日越大学 | 各社10〜15分程度の講義形式による企業紹介セミナー |
ホーチミン市工科大学とハノイ土木大学では、建築・土木工学を専攻している4年制大学の卒業生または在学生、大学OB、他大学学生、社会人が主な参加者とされています。
日越大学では、令和10年12月以降に卒業予定である、建築・土木工学を専攻する1〜3年生が対象です。
ここで大事なのは、すぐに採用につながる学生だけでなく、将来の採用候補者や大学との関係づくりも含まれていることです。日越大学での企業紹介セミナーは、採用直前の面談というよりも、自社を知ってもらう入口としての意味合いが強いと考えられます。
参加要件と費用:無料ですが、準備は必要です
参加費は無料です。ただし、航空券、宿泊、飲食、海外旅行保険、通訳を希望する場合の通訳費は自己負担です。
また、チラシでは参加要件として次の3点が示されています。
- 自社の会社紹介を提出すること
- 渡航前オンライン説明会に参加すること(令和8年11月11日に実施予定)
- 参加後のアンケート・ヒアリングに協力すること
申込期限は令和8年11月18日(水)です。ただし、渡航前オンライン説明会は11月11日実施予定とされています。参加を検討する企業は、申込のタイミングや説明会参加の扱いについて、早めに確認しておくのがよさそうです。
また、申込企業が多数の場合、就職説明会の全プログラムに参加可能な企業を優先する場合があるとされています。ホーチミンだけ、ハノイだけという参加を考える場合は、採択上の優先度に影響する可能性があります。
中小建設企業が見るべき実務上の論点
今回のような海外採用イベントは、「行けば採れる」というものではありません。むしろ、参加前の準備で成果が大きく変わります。
中小建設企業が確認したいのは、主に次の点です。
1. 何の技術者を採りたいのか
まず、採用したい人材像を曖昧にしないことです。
たとえば、施工管理候補なのか、設計補助なのか、BIM・CADを担う人材なのか、将来的な現場代理人候補なのかで、会社紹介の内容は変わります。
「土木・建築を学んだ若手がほしい」という表現だけでは、学生側も自分が働く姿を想像しにくくなります。現場でどんな仕事を任せるのか、入社後どのように育てるのかを、できるだけ具体的に言語化しておきたいところです。
2. 日本語力だけで判断しすぎないこと
外国人技術者採用では、日本語力はもちろん重要です。ただし、初回接点の段階で日本語力だけを見すぎると、理系人材としての伸びしろを見落とす可能性があります。
今回の対象は、建築・土木工学等を専攻する現地学生等です。面談では、専攻内容、学んできた分野、図面や構造への理解、現場で学ぶ意欲を確認する視点が必要です。
同時に、入社後に日本語や現場用語をどう支援するかも考えておく必要があります。採用と教育を切り離さず、セットで設計することが大切です。
3. 入社後の受け入れ体制まで説明できるか
学生から見ると、日本の中小建設企業は情報が少なく、働くイメージを持ちにくい場合があります。
だからこそ、会社紹介では事業内容だけでなく、配属先、教育担当、資格取得支援、住まい、生活面のサポート、キャリアの見通しを伝えることが重要です。
特に中小企業の場合、社長や幹部との距離が近いこと、若いうちから幅広い経験を積めること、地域のインフラや建物を支える実感を得やすいことは、大きな魅力になります。
大手と同じ見せ方をする必要はありません。中小建設企業らしい強みを、学生に伝わる言葉に翻訳することが勝負になります。
採用イベントではなく、採用戦略の入口として使いたい
今回の説明会は、単発のイベントとして参加するよりも、今後の外国人技術者採用の入口として活用する方が効果的です。
たとえば、参加前に次のような整理をしておくと、現地での面談や企業紹介の質が上がります。
- どの職種で外国人技術者を採用したいのか
- 初年度に任せる業務は何か
- 現場・本社のどちらに配属するのか
- 日本語教育や業務教育を誰が担うのか
- 住宅、生活、在留関連の支援をどう考えるのか
- 既存社員にどう説明し、受け入れ体制をつくるのか
- 採用後、3年後・5年後にどのような役割を期待するのか
外国人材採用は、人手不足対策だけでは長続きしません。会社の技術を次世代にどうつなぐか、現場の教育力をどう高めるかという経営テーマとして捉える必要があります。
今回の国交省の取り組みは、その第一歩を踏み出しやすくするものです。
申し込みを検討する会社が早めに確認したいこと
参加を検討する会社は、まず次の点を社内で確認しておくとよいです。
- 12月8日〜11日の全プログラムに参加できるか
- 渡航者を誰にするか
- 会社紹介資料を英語または現地学生に伝わる形で準備できるか
- 通訳を希望するか
- 面談で確認する質問項目を用意できるか
- 採用後の受け入れ部署・教育担当を想定できるか
- 旅費・宿泊費等の自己負担分を確保できるか
特に、現地で会社説明を行う人選は重要です。採用担当だけでなく、技術部門や現場を理解している人が関わることで、学生に伝わる情報の解像度が上がります。
「人が足りないから採る」ではなく、「どんな仲間を迎え、どう育てるか」まで語れる会社が強くなります。
自社に合う採用の進め方を整理するために
外国人技術者の採用は、求人票を出して終わる話ではありません。採用広報、面談設計、在留・生活面の確認、現場の受け入れ、教育、評価、定着までがつながっています。
今回のベトナム合同就職説明会に参加するかどうかを判断する際も、「行けるかどうか」だけでなく、「自社にとってどの職種・どの現場・どの育成体制なら現実的か」まで整理しておくと、次の一手が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、組織、現場、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。外国人材採用についても、「うちの場合は何から考えるべきか」「受け入れ体制をどう整えるべきか」という段階から壁打ちできます。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理な営業はいたしませんので、必要な整理先として活用してください。