社員職人の採用に向けて、会社カレンダーの休日数を確認する建設会社
休日制度を採用に生かすには、まず「会社が休みと決めた日」と「有給を使って休む日」を分けることが出発点です。
ある建設会社では、社員として働く職人の採用に向けて、求人の休日欄を見直していました。施工管理も募集しています。ただ、職人と施工管理では現場の事情が違います。全職種で同じ休み方を約束できるかは、確認が必要でした。
会社カレンダーはすでにあります。年末年始、ゴールデンウィーク、夏季の長期休暇もあります。休日を少しずつ増やしてきた経緯もありました。
ところが、年間休日を何日と書くかを確認すると、認識が揃いません。
「会社のカレンダーには、有給も入っていますね」
「夏季休暇や年末年始は、年間休日に入るんですね」
「それなら、有給と一緒に書くと誤解されませんか?」
休みがない会社、という話ではありません。休める日を一つのカレンダーにまとめてきたために、制度の内訳を説明しにくくなっていたのです。
年間の休みの合計だけでは、完全週休二日制かどうかを判断できない状態
年間休日数と、毎週二日休める制度かどうかは、別々に確認する必要があります。
この会社では、カレンダー上の休みが年間128日ほどあるという見方が出ました。一方で、毎月一回の有給取得日を含んでいるという説明もありました。それを除くと、所定休日は116日ほどではないか。数字の前提が何度も変わります。
この段階では、どの数字も求人に載せる確定値にはできません。総務に改めて集計を依頼し、有給を含まない休日数を確認することになりました。
もう一つ迷ったのが、「完全週休二日制」という表記です。
「土日は休みになっています。ただ、そのうち一部の土曜日は有給です」
この説明から見えるのは、休んでいる日と、所定休日として設定している日が同じではないことです。有給を使わなければ出勤日になる土曜日があるなら、それを毎週の所定休日として数えることはできません。
年末年始に長く休めても、年間休日が120日を超えていても、それだけで完全週休二日制になるわけではありません。確認すべきなのは、有給に頼らず毎週二日の所定休日があるかです。
また、長期休暇の書き方にも注意が必要でした。年間休日に含まれる夏季休暇などを、有給と並べて列挙すると、求職者には「年間休日に加えて、これだけ休める」と読まれる可能性があります。
休日の数字だけでなく、「その数字に何を含むか」まで揃えることが、求人のわかりやすさにつながります。
有給取得を促す会社カレンダーと、求人の検索条件とのずれ
有給を取ってもらうための運用が、求人で伝えたい休み方と重なっていたことが、整理を難しくしていました。
毎月の有給取得日には、取得が進まない状況を変えたいという意図がありました。「有給がたまってしまうので、使ってもらう」という考え方です。
一方で、社内からはこんな声も出ています。
「有給は、自分が取りたいときに取るものではないですか」
会社として取得を促すことと、本人が希望日に休めること。どちらも大切です。ただ、一つのカレンダーだけでは、その違いが見えにくくなります。
求人側にも事情がありました。確認していた求人サービスでは、「年間休日120日以上」と「完全週休二日制」が別の検索条件になっていました。どちらを選べるかで、求職者に表示される機会が変わります。
「面接で説明すればいいのでは」という声もありました。ただ、求職者は面接に来る前に条件を見ています。特に未経験者には、「現場だから土曜日に出ることもある」という業界内の感覚は伝わりません。
そこで大切になるのが、表記を先に変えるのではなく、実際にその制度で運用できるかを確かめることです。
会社側には、働きやすさを伝えたい思いもありました。
「有給を出そうとしたら、なぜ休むのかと聞かれて出しにくい。そういう会社ではない、と伝えたいんです」
検索条件に合わせるだけでなく、すでにある休みやすさを正確に伝える。そのための制度整理と捉えると、次に確認することが見えてきます。
有給を除いた休日集計と職種別の運用確認から、求人表記を整える進め方
進める順番は、休日の内訳を数え直し、毎週の休み方を確かめ、現場で実行できる制度と求人表記を揃えることです。
まず、総務が管理する年間カレンダーで、休みの区分を確認します。集計は次の三つに分けると整理しやすくなります。
- 毎週の休みや祝日など、会社が定めた所定休日
- 年末年始・夏季・ゴールデンウィークなどの長期休暇のうち、所定休日として扱う日
- 有給休暇を使って休む日
長期休暇は、すべてが自動的に年間休日に入るわけではありません。有給取得日を含むなら、その日は分けます。土日や祝日と重なる日も、二重に数えないようにします。
この会社のように、毎月一回の有給取得日がある場合は、「付与される日数」なのか「取得する日」なのかも確認したいところです。ここが曖昧だと、年間休日だけでなく、本人が希望日に使える有給の説明も揃いません。
次に、年間の合計とは別に、週ごとのカレンダーを見ます。有給取得日を除いても、毎週二日の所定休日があるかを確かめます。「120日以上に届くか」と「完全週休二日制に当たるか」は、別の確認項目です。
そのうえで、社員職人と施工管理など、募集職種ごとの運用を確認します。会社カレンダーが共通でも、現場での休日出勤の状況は同じとは限りません。
確認したいのは、次の点です。
- カレンダー上の休日に、実際はどの程度出勤しているか
- 休日出勤時に、休みをどう確保し、賃金をどう扱っているか
- 会社が取得を促す日とは別に、本人が希望する日に有給を使えるか
休日出勤時の休みと賃金は、分けて整理します。手当を払えば休みを確保できたことになるわけではありません。また、振替休日と代休では扱いが異なります。現場で使っている呼び方も含めて、制度と処理を確認しておくと説明が揃います。
制度を変えるかどうかは、この確認の後です。例えば、所定休日を116日から120日に増やしたいなら、追加する四日をどこに置き、職種ごとに実際に休めるかを検討します。有給取得日を所定休日に変える案なら、名称だけでなく、年間の勤務日と有給の残り方も見直す必要があります。
制度変更が難しければ、現時点の休日数と休み方を正確に伝える選択で十分です。完全週休二日制という言葉に合わせて、実態を無理に整える必要はありません。
なお、会社が有給取得日を決める運用は、カレンダーへの記載だけで成立するものではありません。取得を勧める日なのか、計画的付与などの制度による日なのかを確認します。制度変更時は、就業規則や必要な手続きも確認し、施行に合わせて求人を更新します。
最後に、求人票と面接説明を揃えます。年間休日には何を含むか。有給は別にどのように取得できるか。現場で休日出勤がある場合はどう対応するか。面接担当者が同じ内容を説明できる状態にします。
働きやすさは、確認した実績でも伝えられます。有給取得率を出すなら、対象期間と集計範囲を揃えます。長期休暇の日数も、過去の実績として示すのか、今後の予定なのかを分けます。
対話では、家族の誕生日に有給を使う例や、旅行のために休んだ話も出ました。こうした取得例は、本人に確認したうえで匿名のコメントにできます。まだ実績のない例を、取得済みの声として載せることは避けます。
休日数で制度を伝え、実際の取得例で休みやすさを伝える。両方が揃うと、求職者が入社後の働き方を想像しやすくなります。
まとめ
休日制度の見直しは、求人の見栄えを変える前に、会社カレンダーの内訳を揃えることから始まります。
所定休日と、有給を使って休む日を分けます。長期休暇が年間休日に含まれる範囲も確認します。そのうえで、年間の合計と毎週の休み方を別々に見ます。
次に、職種ごとの現場運用を確認します。休日出勤への対応と、本人が希望日に使える有給の範囲まで整理できれば、制度変更の実現可能性を判断しやすくなります。
制度を変える場合も、変えずに伝え方を整える場合も、大切なのは同じです。求人票・面接説明・実際の運用を一致させ、確認できた取得実績で会社の良さを伝えることです。
会社カレンダーと求人の休日欄を、一緒に整理するところから
「うちの年間休日は何日と書けるのか」という段階から、整理を始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。休日制度についても、会社カレンダーと職種ごとの実態を見ながら、採用でどう伝えるか、どこから運用を見直すかを一緒に考えます。必要に応じて、制度確認を担う顧問の紹介にもつなげます。
「有給と休日が混ざっていて、何から確認すればよいかわからない」「制度は変えずに、今ある働きやすさを伝えたい」。そうした段階でもご相談いただけます。
無理にサービスをお勧めすることはありません。自社の場合の整理先として、お気軽にご相談ください。