人材紹介と求人掲載を続けても、候補者との接点が減っている専門工事会社
採用手段をすでに使っている会社でも、その手段から候補者が来なくなったときは、運用の見直しが必要です。
ある専門工事会社では、役員が中心となって人材紹介サービスと求人掲載を運用していました。過去には社員や入社した若手からの紹介、高卒採用、求人サイトを通じた入社もあり、採用に取り組んでいなかったわけではありません。
ところが、人材紹介会社からの紹介については、数年前と現在で大きな違いがありました。「以前は紹介してくれたんですが、今はほぼゼロに近いですね」という状況です。
求人サイトは有料掲載も試しましたが、手応えはあまりなく、現在は求人を載せている状態が中心です。一方で、スカウトには紹介待ちよりも反応がある感触を持っていました。
この相談で整理したいのは、採用媒体を使うかどうかではありません。すでに利用している紹介会社や求人掲載を、候補者との接点につながる運用にどう変えていくかです。
紹介待ち・掲載待ちでは、反応がない理由をつかみにくい採用運用
紹介や応募が来ないことに加えて、なぜ来ないのかを確認できない状態が、次の打ち手を選びにくくしています。
人材紹介会社から候補者が来ないとき、その理由は紹介件数だけでは判断できません。募集する職種や経験要件に合う候補者が少ないのか、紹介会社との情報共有が十分でないのか、担当者の対応に改善の余地があるのかで、見直す箇所は変わります。
求人掲載も同様です。有料掲載で手応えがなかったという事実はありますが、それだけで求人サイト全体が自社に合わないとは言い切れません。求人原稿を見直す余地があるのか、募集対象に合った使い方になっているのかを分けて考える必要があります。
この会社では、役員が採用活動を地道に続けていました。したがって、単に活動量を増やすという話ではありません。いま使っている手段について、候補者の状況や担当者の動きが分かる関係に変えることが、見直しの出発点です。
募集職種・建設業経験・地域によって異なる候補者の動き
他社で応募が増えた方法も、職種・経験要件・地域が違えば、同じ成果を期待できるとは限りません。
比較材料として挙がったのは、首都圏で原状回復を中心に手がける内装工事会社の取り組みです。その会社も、以前は求人を出しているだけで、応募がほとんどない状態でした。その後、複数の紹介会社を利用し、担当者と密に連絡を取りながら採用活動を進めたところ、応募が増えたといいます。
ただし、募集していたのは営業職と営業事務です。営業職についても、法人営業の経験は求める一方、建設業の経験は必須としていませんでした。また、人材の動きが比較的多い都市部という前提もあります。
この条件は、建設業の経験を求める職人や施工管理の募集とは異なります。参考になるのは応募人数そのものではなく、紹介会社との接点を継続し、担当者の対応も確認しながら運用していた点です。
別の紹介会社では、紹介人数は多くないものの、施工管理に関わる資格を持つ候補者の紹介があったという話もありました。ただし、その時点では採用にはつながっていません。
紹介件数の多さと、自社が求める人材に会えるかどうかは、分けて見る必要があります。 多くの紹介を受けられる会社だけでなく、募集職種に近い候補者を扱う会社も選択肢になります。
募集条件を揃え、紹介会社との連絡とスカウトを動かす採用運用への見直し
まず募集条件と紹介会社の対応状況を確認し、その結果に応じて担当変更・紹介先の拡大・スカウト活用を選ぶ進め方が現実的です。 一度にすべての手段を増やすより、反応が止まっている理由を確かめながら動かす方が、役員や採用担当者の負担も整理しやすくなります。
募集職種と経験要件を揃えて、紹介会社と共有する
最初に揃えたいのは、誰を採用したいのかという前提です。少なくとも、次の三つを紹介会社と共有できる状態にします。
- 募集するのは、職人・施工管理・営業・事務のどの職種か
- 建設業の経験は必須か、他業界での経験も対象になるか
- 自社の地域では、その条件に合う候補者がどの程度動いているか
建設業経験の要否は、候補者の範囲を左右します。ただし、応募を増やすためだけに要件を緩めるのではなく、その職種で本当に必要な経験を確認することが先です。
この前提を揃えたうえで、紹介会社から見た候補者の状況を聞きます。条件に合う人が少ないという回答なのか、募集内容について追加の説明が必要なのかを確認できれば、次に見直す対象が具体的になります。
紹介がない期間こそ、担当者の対応状況を確認する
紹介会社との関係は、求人を依頼して終わりではなく、募集内容と候補者の状況を継続的に共有する形に見直します。紹介がない場合も、その理由について返答をもらい、担当者との認識が揃っているかを確認することが大切です。
担当者の見直しは、紹介件数が少ないという理由だけでなく、情報共有や対応が進んでいるかを基準に判断します。 条件に合う候補者が少ないことと、担当者から状況の説明が得られないことは別の問題です。
やり取りをしても募集内容の共有が進まない、対応状況が分からない場合には、担当変更を希望することも選択肢になります。まず既存の紹介会社で改善できる余地を確認してから、別の会社へ広げる順序でもよいでしょう。
紹介会社は、数ではなく募集職種との相性で広げる
既存の紹介会社だけでは候補者との接点が限られる場合、他の紹介会社にも声をかける余地があります。ただし、他社が複数社を使って応募を増やしたからといって、同じ数だけ契約すればよいわけではありません。
営業や事務を募集する場合と、建設業経験や施工管理に関わる資格を求める場合では、確認したい候補者の層が異なります。新しい紹介会社を検討するときは、自社の募集職種に近い人材を紹介できるかを確認します。
紹介人数が少なくても条件に近い候補者に会える会社には、利用する意味があります。一方で、紹介実績があることと採用できることは同じではないため、件数だけで判断しないことが大切です。
反応のあるスカウトを活かし、求人掲載も原稿から見直す
この会社では、スカウトの方がまだ反応があるという感触がありました。すでに反応がある手段は残し、紹介待ちとは別に候補者へ働きかける接点として活用できます。
ただし、スカウトに反応があることと、採用につながることは分けて確認します。募集職種や経験要件に合う候補者との接点になっているかを見ながら、紹介会社の運用と並行して進める考え方です。
求人掲載については、有料掲載を再開する前に、求人原稿を募集条件と照らして見直す順序が適しています。載せる場所を増やすことだけでなく、採用したい相手に募集内容が伝わる原稿になっているかを確認します。
紹介会社との連絡、求人原稿の見直し、応募者の日程調整まで社内で抱えることが難しい場合は、運用の一部を外部に任せる方法もあります。その際も、募集条件の判断は社内で持ち、任せる実務の範囲を整理することが前提になります。
まとめ
人材紹介会社から候補者が来なくなったときは、採用手段を増やす前に、募集条件と紹介会社の動きを確認することが第一歩です。
募集職種、建設業経験の要否、地域の人材の動きを揃えたうえで、紹介会社と継続的に情報を共有します。その対応状況を見ながら、必要に応じて担当変更や紹介会社の選択肢拡大を検討し、反応のあるスカウトも活用していきます。
他社の応募実績は、自社でも再現できる人数の目安ではなく、運用を見直すための参考材料です。紹介数や応募数だけを追うのではなく、自社が求める人材との接点につながっているかを基準にすると、次の一手を選びやすくなります。
自社の採用経路を、どこから見直すかの整理
紹介会社を増やすべきか、今の担当者とのやり取りを見直すべきか迷う段階でも、採用活動の現状整理から始められます。
ネクスゲートは、中小建設会社・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用についても、募集条件の整理から紹介会社との連携、求人原稿や運用の見直しまで、自社で担う部分と外部を活用する部分を一緒に考えます。
「うちの場合は、何から確認すればよいか」という段階でもご相談いただけます。無理な営業はせず、現在の取り組みを踏まえて必要な見直しを整理します。