前提

不動産売買とリフォームを少人数で担う、年商9,000万円前後の会社

会社の適正規模を考える出発点は、売上をどこまで伸ばすかより、どの仕事で利益を残し、誰が回すかです。

ある会社では、不動産売買と住宅リフォームを手がけています。年商は9,000万円前後。売上の構成は、おおむね半分ずつです。現在は社員4名ほどに絞り、営業・職人・事務の機能を持ちながら、協力会社も活用しています。

理想としているのは、中古住宅を探すお客様に売買で関わり、その住宅を直すリフォームまで受ける流れです。ただ、二つの事業では利益の残り方が違います。

「不動産の方が利益は高いですけど、建築は利益がほとんどないですよね」

一方、不動産売買だけでは毎月の収入が読みづらい。そのため、リフォームも組み合わせたいと考えています。

利益を得やすい事業と、継続的な収入を支えるために続けたい事業。その両方を、どのくらいの人数で運営するか。そこが悩みの中心でした。

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課題

人員を減らすほど、営業対応と工事を回す力も小さくなる悩み

支出を抑えるために人数を減らしても、仕事を受けて進める機能まで減ると、少人数経営の良さを生かしにくくなります。

相談者は、会社を大きくした時期も経験しています。そのうえで、現在は規模を小さくしているところでした。

「大きくすると大変だったので、小さくしているところなんですけど。小さくすればするほど、それもちょっといけないなというところで」

増員すれば、人を抱える負担が増えます。かといって、人数を絞れば対応する力が落ちる。

「人数を減らせば減らすほど、パワーがなくなるんで」

ここでいう力は、施工する人数だけではありません。問い合わせを受ける力。すぐに連絡を返す力。営業資料を作る力。お客様への提案を進める力。そして、職人をまとめて工事を収める力です。

「今の人数で利益率のよい工事だけを選べばよい」と考えたくなる場面もあります。ただ、受けられる案件の幅や対応量が小さくなれば、選べる機会も限られます。

少人数にするか、再び増員するか。その二択だけでは、答えを出しにくい状態です。

背景

工事売上の増加が利益に直結せず、協力職人だけでは管理も補えない構造

売上と人数だけでは適正規模を決められないのは、案件を増やすたびに支出と社内の対応業務も増えるからです。

相談者が重視していたのは、売上の大きさではありませんでした。

「どれくらいというより、利益じゃないですかね。支出が少ない方が楽ですよ。建築をしすぎると売上は上がっていくんですけど、支出が多いので」

これは、この会社が感じている収益上の悩みです。工事を増やせば、その分だけ利益が厚くなるとは限らない。そこに人員の負担まで重なるため、売上目標から先に人数を決めることに迷いがあります。

もう一つは、営業にも複数の役割があることです。相談者は、不動産の一括サイトを例に挙げていました。

問い合わせを受ける人がいる。すぐに電話する人がいる。資料を作る人がいる。お客様を案内する役割と、契約を決める役割も同じではない。営業の経験があるからこそ、「一人で全部は対応できない」という見方をしています。

工事側も同じです。協力職人を集めれば、施工する手は増やせます。ただ、それで管理する人まで増えるわけではありません。

相談者は、工事を収めるには、ごみの持ち出し一つをとっても管理する人が必要だと話していました。そして、こう続けています。

「ポイントになるところは、正社員にしないといけませんよね」

外部に頼める施工力と、社内で責任を持つ管理機能は、分けて考える必要があります。 人数を減らした際に、この中核機能まで薄くなると、協力会社がいても仕事を回しにくくなります。

解決

利益と案件対応量を見ながら、社内に残す役割から決める順番

増員や外部活用を決める前に、「どの仕事が足りないのか」を役割ごとに分けると、必要な体制を考えやすくなります。

まず整理したいのは、相談者が挙げた次の五つです。これは部署を五つ作るという意味ではありません。少人数で兼務している仕事を、いったん分けて見るための整理です。

  • 問い合わせ受付:お客様からの連絡を受ける役割
  • 初動対応:問い合わせに対して、すぐに連絡する役割
  • 資料作成:営業に必要な資料を用意する役割
  • 提案・契約判断:お客様への説明を進め、受注につなげる役割
  • 現場管理:協力職人をまとめ、工事を収める役割

この五つについて、現在誰が担っているかを確認します。そのうえで、案件が増えたときに、どこから対応しきれなくなるかを見ます。

受付や資料作成が足りないのか。提案できる人が足りないのか。それとも、工事を管理する人が足りないのか。同じ「人手不足」でも、増やすべき役割は変わります。

次に、社内に残す中核業務を決めます。この会社でいえば、お客様との契約に向けた判断や、工事を収める管理が重要な候補です。外部に作業を任せても、判断や管理がすべて社長に戻るなら、会社として対応できる量は増えにくいからです。

社内に残す仕事は、単に忙しい仕事ではなく、継続して責任を持つ必要がある仕事を軸に考えます。 その役割を今の社員で担えるか。担えないなら、増員が必要か。ここを先に確かめたいところです。

外部活用は、その後に検討します。受付・資料作成・営業の実務など、任せる範囲を分けられる仕事について、社内で担う場合と比べます。ただし、外部に頼むこと自体を目的にはしません。依頼後に誰が判断し、誰が管理するかまで決めておくことが大切です。

最後に、利益と対応可能な案件量を合わせて見ます。不動産と工事では利益の残り方が違うため、合計売上だけで増員の可否を考えないようにします。

確認したいのは、次の三点です。

  • 今の体制で、受付から現場管理まで対応できる案件量はどの程度か
  • 人員や外部支援を増やした場合、支出が増えても利益が残るか
  • 増やす役割によって、営業対応や工事管理の不足を実際に補えるか

施工の手が足りないなら、協力職人の活用が選択肢になります。管理が足りないなら、職人を増やすだけでは補えません。不足している機能に合わせて、増員と外部活用の順番を変えることが、適正規模を探す進め方です。

まとめ

リフォーム会社の適正規模は、「何人なら安心か」ではなく、「利益を残しながら、営業と現場をどこまで回せるか」で考えたいところです。

今回の会社では、工事を増やすと支出も増える一方、人員を減らすと対応する力も小さくなるという悩みがありました。どちらにも理由があります。大きくするか、小さくするかだけで決めにくいのも自然です。

まずは、問い合わせ受付、初動対応、資料作成、提案・契約判断、現場管理を分けてみる。次に、社内に残す中核業務を決める。そのうえで、利益と対応可能な案件量から、増員や外部活用を検討する。

売上だけを追わず、人数だけも削らない。残したい機能から体制を考えると、自社に合う規模が少し見えやすくなります。

増員の前に整理したい、営業と現場管理の役割分担

「人を増やすべきか」より手前の、「どの役割が足りないのか」という段階から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。少人数で残すべき業務や、外部に任せる範囲も、営業と現場の両方を見ながら一緒に考えます。

「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理に増員や外部サービスの利用を勧めることはありません。今の体制を生かせる進め方を考える場として、ご相談ください。

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