前提

既存住宅の沈下修正を、東海地方で増やしたい専門工事会社

探していたのは、同じ地盤分野の会社ではなく、既存住宅の傾きに困ったとき、自社へ工事を頼んでくれる会社です。

東海地方で、建物の沈下修正や移動などを手がける、ある専門工事会社。増やしたいのは、新築前の地盤改良ではありません。すでに建っている住宅の傾きを、建物を壊さずに直す工事です。

社長は、自分でも企業を調べ、問い合わせ窓口からアプローチしていました。交流会にも参加しています。営業に動いていないわけではありません。

希望は、施主に近いところで相談を受ける会社とつながること。見積もり金額だけでなく、仕事の中身を見て判断してもらえる相手です。反対に、手続きや安全書類の負担が大きく、見積もりだけで終わりやすい取引は、積極的には求めていませんでした。

そこで営業候補に挙がったのが、地盤調査・改良や住宅の地盤保証などを扱う会社でした。住宅に関わり、対応地域にも接点があります。公開情報からは、相談先として近く見える会社です。

ところが、社長の反応は違いました。

「間違いじゃないけど、うちの取引先には、多分ならないんじゃないかな」

この一言に、見込み先を選ぶ難しさが表れています。

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課題

地盤調査・改良の会社でも、沈下修正の発注先にはならない現実

業種が一致していても、対象の工事が少ない、自社で施工する、扱う建物が違う。このどれかがあれば、受注にはつながりにくくなります。

候補として挙がった数社は、社長がすでに知っている会社でした。接点を持ち、営業もかけています。その経験から、発注の余地を見込みにくい理由が語られました。

ある会社については、こう話しています。

「物件数が、多分そんなになくて。ここは自社でやっているんです。まず外には出さないですよ」

ここでいう物件数は、会社全体の取扱件数ではありません。自社が受けたい沈下修正につながる案件の数です。新築向けの地盤工事が多くても、既存住宅の修正工事が少なければ、営業先としての見え方は変わります。

別の候補は、地盤調査から新築前の改良工事まで、一式で施工する会社でした。社長は、はっきりと区別しました。

「うちは新築の地盤改良はしないもの。そこは全く違います」

また、規模が大きい会社でも、一般住宅とは異なる建物が中心なら、今回の狙いとは合いません。

「地盤の会社」「住宅に関わる会社」という分類だけでは、自社に工事が回ってくる条件までは分からないのです。

背景

相談が集まることと、専門工事を外注することの違い

見込み先として確かめたいのは、相談を受ける入口から、専門業者へ工事を発注するところまで、つながっているかどうかです。

公開情報には、地盤調査、保証、住宅検査、沈下修正といった言葉が並びます。そこから「傾きの相談も集まり、自社でできない工事を外注するのでは」と考えるのは、一つの仮説です。

ただ、相談が集まることと、外へ工事が出ることは別です。自社施工で完結する会社もあります。既存の協力会社で対応する会社もあります。そもそも、修正工事まで進む相談が少ない場合もあります。

この会社では、住宅診断の会社とも接点がありました。しかし、社長が接した先では、診断後に想定する工事と、沈下した建物をジャッキアップして戻す工事が合っていませんでした。

「現場を見に来てください、という話は来るけど、そこから先の話はないですね」

これは住宅診断会社全体の話ではありません。その接点では、現場確認から沈下修正の発注へ進む経路が見えなかった、という経験です。

一方、良好な既存取引先には、違う特徴がありました。

「地盤で困ったことがあると、まずそこへ相談が行くんです。そこから、工事に応じていろいろなところへ発注するんですよ」

大事なのは、その会社と同じ業種や規模を探すことだけではありません。「困り事の相談を受け、工事内容に応じて専門業者へ振り分ける機能」が、取引につながっていました。

ただし、社長自身も、同じような会社は地域内にそう多くないと見ていました。候補数を増やせば、そのまま有望先が増えるわけでもないのです。

解決

既存取引先の発注機能を基準に、公開情報と聞き取りで候補を精査

既存の良好な取引先が「なぜ発注してくれるのか」を分解し、その条件で候補を見直す進め方が合いそうです。

まずは、受けたい工事の条件をそろえます。この会社なら、既存住宅の沈下修正であること。新築前の地盤改良とは分けること。そして、施工できる地域の案件であることです。

そのうえで、候補ごとに次の点を確認します。

  • 対象建物:一般住宅など、自社が対応したい建物を扱っているか
  • 新築・既存の別:新築向けだけでなく、既存建物の不具合にも関わるか
  • 相談の経路:建物の傾きや地盤の困り事が、どこから、誰に届くか
  • 外注の有無:対象工事を自社で完結するのか、専門業者へ発注するのか
  • 施工対応エリア:自社が施工できる地域で、相談や発注があるか

公開情報は、発注可能性を確かめるための仮説にする

ホームページの施工実績、取引先、拠点情報は、候補を探す材料になります。同じような専門工事会社の取引先をたどる方法もあります。

ただし、「沈下修正の記載がある」は公開情報上の確認です。「修正工事を外注するだろう」は推測です。この二つを分けておくと、候補の評価がぶれにくくなります。

公開情報で分かったこと、社長が過去の接点で把握していること、まだ確認できていないことを、同じ事実として扱わないことが大切です。

自社施工かどうかも、会社全体ではなく、受けたい工事について確認します。地盤改良を自社で施工していても、沈下修正をどう扱うかは別に確かめる必要があります。

「今は案件がない」と「発注の経路がない」を分ける

この会社の社長は、専門性の高い工事について、こう話していました。

「そうそうあることじゃないし、あったら困ることですから。今すぐ取引しましょう、とは、なかなかならないですよね」

だからこそ、「今はないよ」という返答だけで、候補から外すのは早い場合があります。

対象の相談を受け、必要に応じて外注する会社なら、案件が発生したときの選択肢になれる余地があります。一方、新築向けだけ、対象工事は自社で完結、扱う建物が違うという場合は、優先順位を下げる判断がしやすくなります。

営業リストには、相手の返答だけでなく、その理由も残します。「対象案件が少ない」「新築中心」「対象工事の外注は未確認」といった記録です。既存取引先や、すでに接点を持った会社も照合します。同じ候補を何度も新規先として挙げないためです。

本社所在地より、施工地域での接点を見る

地域の絞り方にも余地があります。社長は、地域外に本社があっても、施工できる地域で依頼があるなら対象になると話していました。

本社が近いかではなく、自社の施工地域で対象工事の相談・発注があるかを基準にすると、工事の条件を変えずに候補を広げられます。

支店があることや地域内の施工実績は、その手がかりです。ただし、それだけで発注可能と決めず、対象工事の扱いまで聞いて更新していきます。

まとめ

専門工事会社の見込み先は、業種名や企業規模よりも、「対象の相談が届き、必要な工事を外へ発注するか」で見極めたいところです。

地盤調査・改良を扱う会社でも、新築中心なら工事が合わないことがあります。既存住宅に関わっていても、自社施工で完結すれば発注の余地は限られます。

まずは、良好な既存取引先が発注してくれる理由を整理します。その機能を手がかりに候補を探します。公開情報は仮説として扱い、過去の接点や聞き取りで確かめます。

「今は案件がない先」と「そもそも自社へ発注する経路がない先」を分けるだけでも、次に関係を続けたい相手が見えやすくなります。リストの社数だけでなく、各社を候補に残す理由まで整理することが、次の一手になります。

自社の工事につながる営業先を整理したいときに

「候補はあるけれど、うちの工事を頼んでくれる会社なのか分からない」という段階から、整理は始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。販路開拓では、受けたい工事、既存取引先の特徴、これまでの営業先の反応をもとに、候補の選定や優先順位づけを一緒に考えます。

「うちの場合は、どこから見直せばいいか」というご相談でも構いません。外部の支援が必要かどうかも含めて整理し、無理にサービスをおすすめすることはありません。次の営業先を考える際の整理先として、ご活用ください。

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