前提

協力会社への発注を増やしたい、立ち上げから1年余りの内装工事部門

職人や協力会社は揃っているものの、その力を活かせる工事をもっと受注したい。必要なのは、施工体制の拡充ではなく発注先の開拓です。

福島県を拠点とする、社員10名ほどの会社での相談です。内装工事部門を立ち上げて1年余りが経ち、責任者が新規取引先の開拓から現地確認、見積もり、施工管理まで一貫して担っていました。

管理会社や物件オーナーとの取引は、自ら開拓してきたものです。少しずつ忙しくなってきた一方で、協力会社と連携すれば、まだ受注を伸ばせる余地がありました。

「採用は考えていません。今付き合っている職人や協力会社に、もっと案件を回してあげたいんです」

当初は原状回復が中心でしたが、リフォームや施設の設備更新などにも対応範囲が広がっています。内装だけでなく、電気や漏水関係の工事にも協力体制があり、県内であれば幅広く対応できる状況です。

県外の依頼も入り始めていました。ただ、遠方では移動や外注の負担が増え、必ずしも割に合うとは限りません。「できれば県内の仕事を増やして、移動を減らしたい」という意向もありました。

目指しているのは、単に大きな工事を取ることではありません。今ある協力体制に合う工事を、無理なく継続して受けられる取引先を増やすことでした。

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課題

「幅広い工事に対応できる」だけでは決まらない営業先

対応できる工種の広さは強みですが、それだけでは「どの会社に、何の仕事を求めて営業するか」が定まりません。

責任者も、希望条件をどの粒度で伝えればよいか迷っていました。

「クロスをメインにしたい、という答え方なのか。退去後の原状回復なのか。それとも、介護施設のように現場の種類で考えるのか」

ここには、工種、工事の目的、建物の用途という異なる切り口が混ざっています。どれも必要な情報ですが、整理しないまま企業を探すと、管理会社、リフォーム会社、工務店など、候補だけが広がってしまいます。

さらに、「仕事がある会社」と「自社が継続して請けられる仕事を出す会社」は同じではありません。

実際、ある管理会社とは取引経験があったものの、単価が合わず、その後は仕事をしていませんでした。責任者は、資材高騰を踏まえた管理会社とオーナーの価格調整が進んでいないことを、その背景として挙げています。

「誰も気持ちよく終われない状態なので、今は仕事をしていません」

反対に、単価を期待できるリフォームでも、全面改修になると工事規模が大きくなります。この会社は建設業許可をまだ取得しておらず、受けられる規模に制約がありました。

つまり、営業先を選ぶには、工事の有無だけでなく、工種、価格条件、規模、施工エリアを重ねて見る必要があります。接点を増やす前に、「受注しても無理なく施工できる案件」の条件を揃えることが、開拓の出発点です。

背景

相性のよい小中規模工事が、既存のビルメンテナンス会社から出ている状況

新規開拓の手がかりは、すでに取引している会社から、どのような工事が出ているかにありました。

この内装工事部門では、既存のビルメンテナンス会社からの依頼が案件の多くを占めていました。小さな修繕から中規模の工事までが出てきて、その会社だけでは手が回らない部分を引き受けています。

「細かいものから中規模まで、ちょこちょこ出てきます。欲しい工事内容には近いです」

すべての見積もりが通るわけではなく、条件が合わない案件もあります。それでも、取引を離れたいわけではありません。工事内容と自社の協力体制が、一定程度かみ合っているからです。

一方、増やしたい仕事を掘り下げると、希望は具体的になりました。内装の中でもクロスを増やし、その次に大工工事を入れたい。和室から洋室への変更も受けたい。電気や漏水関係も増やしたい、という順序です。

「工務店の取引先を増やしたい」という意向にも、理由がありました。さまざまな工事が出てくる相手であれば、自社の幅広い協力体制を活かせると考えていたのです。

ここで見えてくるのは、「内装工事を発注する業種なら、どこでもよい」という話ではありません。複数の工種にまたがる小中規模工事があり、その一部を任せる施工先を求めている企業との相性です。

既存取引の社名や業種をそのまま追うよりも、「なぜこの会社とは仕事が続いているのか」を整理すると、新しく探す相手の条件が明確になります。

解決

増やしたい工種と受注条件を揃え、小中規模工事の発注実態から絞る進め方

営業先は、増やしたい工事と施工可能な条件を先に決め、候補企業の発注実態と照合しながら絞り込みます。 最初から一つの業種に決め切る必要はありません。希望を出し、候補を調べ、実際の発注内容を聞く順番で進めると、判断しやすくなります。

まずは「対応できる工事」と「増やしたい工事」を分ける

この会社の場合、幅広く対応できることと、営業で優先して取りたい仕事は同じではありませんでした。最初に整理したいのは、次の条件です。

  • 優先して増やしたい工事: クロスを中心とした内装、大工工事、電気、漏水関係
  • 希望する規模: 原状回復などの小規模工事と、内装・リフォームのうち受注可能な中規模工事
  • 優先するエリア: 移動や外注の負担を抑えやすい県内
  • 受注の前提: 協力会社の施工品質を確保でき、法令上も適法に請け負える範囲

特に、協力会社がいることだけで、あらゆる工事を受けられるとは限りません。責任者も、経験の少ない工事が増える中で、「それぞれの職人ができる範囲なのか、質はどうか」が気になっていました。

営業上は、対応可能な工種を広く示しつつ、積極的に受けたい工事は絞る。この分け方によって、幅広さを失わずに営業の軸を作れます。

工事規模についても、希望する受注額だけでなく、許可の有無を踏まえた受注可否の確認が必要です。見積書や請求書を分けられるかではなく、実際の工事内容と契約全体を踏まえて、適法に請け負えるかを判断することが前提になります。

既存取引の中から、繰り返したい案件を拾う

次に見るのは、既存取引先の売上の大きさだけではなく、今後も増やしたい工事の中身です。

ビルメンテナンス会社から来た依頼のうち、どの工種なら協力会社へ任せやすく、どの規模なら条件が合ったのか。反対に、見積もりが通らなかった工事や、施工を見送った工事は何が合わなかったのかを整理します。

この相談であれば、「細かい修繕から中規模まで出る」「相手の手が回らない部分を任される」という関係が、新規開拓でも探したい条件になります。

既存取引先に似た会社を探すときは、業種の名前だけでなく、発注される工事と任され方を揃えることが大切です。

管理会社・ビルメンテナンス会社・工務店を、発注の仮説で比較する

候補企業は、欲しい工事が出る理由とセットで抽出します。

賃貸管理会社であれば、退去後の原状回復や物件修繕が候補です。ビルメンテナンス会社であれば、既存取引と同様に、自社で対応しきれない修繕や設備関係の工事があるかを確認します。工務店であれば、内装や大工を含む複数工種のうち、外部へ任せたい部分があるかが確認点になります。

中古物件の売買に伴うリフォームも候補ですが、全面改修ばかりであれば、希望規模と合わない可能性があります。

いずれも、業種から立てられるのは仮説までです。大手だから小口工事がないとも、地場の会社だから希望条件に合うとも限りません。会社の規模や看板ではなく、実際にどの工事を、どの条件で外部へ発注しているかを確かめます。

対象社数を確認し、動かせる条件だけを調整する

希望条件は、最初から遠慮して削らず、一度すべて出しておくと整理しやすくなります。その条件で候補企業を抽出し、対象がどれくらいあるかを確認します。

候補が少なければ、建物の用途を広げるのか、対応エリアを広げるのか、優先工種以外も含めるのかを比較します。ただし、施工品質や適法性は、候補数を増やすために緩める条件ではありません。

県外に広げる場合も、対象社数が増えることだけで判断せず、責任者の移動や外注の負担と照らし合わせます。この会社であれば、まず県内で小中規模工事を探し、その中で候補が足りるかを見る順序が意向に合っています。

候補が少数なら、自社で直接連絡する方法もあります。一定数の企業へ継続して接点を作る必要があり、その時間が取れない場合に、外部の開拓支援を検討する考え方です。

最初の接点では、施工先を探している工事の中身を聞く

候補を抽出した後は、電話などで接点を作り、希望との違いを確かめます。確認したいのは、主に次の内容です。

  • 外部へ発注している工種と、よく出る工事規模
  • 工事が出るエリアと頻度
  • 現在、施工先が足りていない工事
  • 自社と協力会社が継続して対応できる価格条件か

「内装工事に対応できます」と伝えるだけでなく、「クロスや大工、電気、漏水関係の小中規模工事で、任せ先を探しているものはありますか」と、希望する仕事まで具体化して聞く進め方です。

聞き取った結果、原状回復はあるものの価格条件が合わないなら、同じ条件の企業への接点だけを増やしても受注にはつながりにくくなります。工種や規模が合う企業から話を聞けたら、その特徴を次の候補抽出に反映します。候補リストは完成品ではなく、発注内容を聞きながら精度を上げるものです。

まとめ

協力会社は揃っているのに工事が足りないときは、営業量を増やす前に、「誰に、どの工事を頼んでもらいたいか」を具体化することが近道です。

今回の相談では、県内を優先し、クロスや大工、電気、漏水関係を含む小中規模工事を増やしたいという方向が見えてきました。既存のビルメンテナンス会社からの依頼は、相性のよい発注の形を考える手がかりになっています。

増やしたい工種、品質を確保できる範囲、適法に請け負える規模を揃えたうえで、管理会社、ビルメンテナンス会社、工務店などの候補を比較します。その後、対象社数を確認し、実際の発注内容を聞いて絞り込む。この順序なら、「幅広くできます」という強みを、具体的な受注機会につなげやすくなります。

協力会社に回したい工事から、次の開拓先を整理するために

「うちの場合は、どんな会社を探せばよいか」という段階から、開拓先の整理は始められます。 増やしたい工種がまだ曖昧でも、今の取引で条件が合った案件と、合わなかった案件を持ち寄ることで、営業の軸を考えられます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援する会社です。取引先開拓では、既存の施工体制を踏まえた対象企業の選定から、新しい接点づくりまで伴走します。

「何から整理すればよいかわからない」という段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用をおすすめするのではなく、自社で進める範囲と外部を活用する範囲も含め、一緒に整理します。

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