前提

6名規模で工事測量と3D測量を担う会社の販路選び

測量の技術や作業速度に強みがあっても、その力を利益に変えやすい仕事を受けられるとは限りません。 兵庫県に拠点を置く、6名規模のある測量会社も、そんな悩みを抱えていました。

主な仕事は、土木工事に伴う測量や測量データの処理です。3D測量にも対応しています。関西だけに商圏を限らず、遠方の現場にも出向きます。

仕事の依頼はあります。ただ、多いのは「1〜2か月、人を出してほしい」という工事現場からの声です。現場に入れば、その期間の人員が埋まります。別の依頼が来ても、すぐには動けません。

一方で、工事前の測量など、まとまった業務として任される仕事もあります。相談者が増やしたいのはこちらでした。

「工事前の事前測量なら、こちらのペースで進められます」

受注量を増やしたい気持ちはあります。それでも、今と同じ仕事を増やすだけでよいのか。少人数だからこそ、何を受けるかが経営に直結していました。

課題

早く終える力が利益につながらない人工ベースの仕事

課題の中心は、仕事が遅いことではなく、早く終える力が収益に反映されにくい案件構成にありました。

相談者は、自社の作業速度をこう話していました。

「他社が2日で終える仕事を、うちは1日で終えても、1日分しかもらえないんです」

これは相談者自身の評価ですが、技術力は発注側にも見てもらえていると感じています。実際、現場で知り合った業者から声がかかり、仕事につながることもあります。

それでも、人工ベースで精算する仕事では、作業を早く終えても売上が増えるとは限りません。工事の工程に合わせて現場に入る仕事なら、自社の測量が早く済んでも、次の案件に自由に移れるわけではありません。

「だからといって、だらだら仕事をするのも違う。従業員も、早く終わらせて帰りたいんです」

効率よく仕事を進めたい。その姿勢を、会社の利益にもつなげたい。相談者が求めていたのは、単なる単価アップではありませんでした。

決まった業務量を任され、早く完了できた分が利益と次の仕事を受ける余力になる受注を増やすことです。 ここを分けずに営業先だけ増やすと、忙しさは増えても、動きにくさは残る可能性があります。

背景

利益のよい現況測量はあるものの発注件数が足りない状況

増やしたい仕事の手がかりは、すでに取引のある発注先にありました。問題は、同じような案件を継続して確保できていないことです。

たとえば、エネルギー関連の事業者から受ける現況測量です。土地の取得に伴い、現況測量や横断図などの作成をまとめて依頼されます。

納期はおおむね1か月。その期間内に納品すればよく、自社で予定を調整できます。相談者によれば、実際の作業は1週間ほどで終えられることもあります。

「2〜3日から1週間で終わる小口の案件が数多くあれば、利益率はかなりよくなるんです。ただ、数を出してくれるところが少なくて」

ここでは、納期が1か月あることと、1か月間ずっと人が拘束されることは別です。この違いが、少人数の会社には大きく効きます。

ただ、こうした仕事の入口は、現場で知り合った業者や紹介が中心でした。よい仕事を受けられていても、同様の需要を持つ会社へ広く接点をつくれているわけではありません。

既存の大手施工会社との関係では、人のつながりにも配慮が必要でした。単純に、今の取引先を飛び越えて直接受注を狙えばよい、とはいきません。別の方向に販路を広げたい理由が、ここにもあります。

また、協力会社の活用にも違いがありました。工事の二次請けとして入る場合、さらに外へ依頼すると下請けの階層が深くなります。元請け側の意向もあり、任せにくい状況でした。

一方、まとまった測量業務として受ける案件なら、自社が管理し、協力会社の力を借りて、責任を持って納品する形も考えられます。

同じ測量でも、工程を調整できるか、協力会社を活用できるかによって、受けられる仕事の幅は変わります。

解決

既存の現況測量を手がかりに小口・中口案件の販路を広げる方針

狙いたいのは、単に短い仕事ではなく、自社の速さを利益に変えられ、継続的な発注も見込める仕事です。 既存の良好な案件を起点に、案件の条件と発注企業の特徴を整理すると、営業先を選びやすくなります。

まず、今受けている仕事を、次の4つの軸で見比べます。

  • 収益性:人工での精算か、業務量に対して金額が決まる仕事か。早く完了した分が利益に残るか。
  • 拘束期間:納期までの期間ではなく、実際に何日、人を押さえる必要があるか。自社で工程を調整できるか。
  • 継続的な発注量:利益のよい単発案件だけでなく、同様の依頼がどの程度続く見込みか。
  • 協力会社の活用可否:発注側の条件を踏まえ、自社管理のもとで協力会社に任せられるか。

今回の会社なら、工事前の事前測量や現況測量が、優先して確かめたい領域です。数日から1週間で完了する小口案件に加え、1〜2か月程度の期間で区切りをつけられる中口案件も候補になります。

ただし、期間が短いだけでは十分ではありません。毎日現場に入る必要があれば、その間は別の仕事を受けにくくなります。「何か月の案件か」よりも、「その間、何日拘束されるか」を確かめることが大切です。

次に、発注企業の特徴を整理します。入口は、すでに受けている現況測量の発注先や、元請け工事も持つ重機施工・土木工事の会社です。地場の施工会社も、常駐以外の測量需要があるかを確認する候補になります。

見るのは、業種名だけではありません。どのような工事実績があるか。売上や人数の規模はどの程度か。測量をどの場面で外部へ依頼しているか。既存のよい取引と共通する特徴を拾い、候補企業のリストにしていきます。

そのうえで、電話や問い合わせフォームなどで接点をつくります。伝える内容も、「測量全般に対応できます」だけでは広すぎます。事前測量、現況測量、測量データの処理など、相手が依頼を考えやすい業務に絞って話を進めます。

すぐに案件がなくても、接点を一度きりで終わらせず、継続して状況を確認します。今回のように小口案件を複数の会社から受けたい場合は、特定の大手1社とのつながりだけでなく、同じ需要を持つ企業との接点を広くつくり、継続フォローする進め方が合いそうです。

一方で、長期案件をすべて手放す必要はありません。

相談者も「長期なら安定するのでよい」「人材育成にはよい」と話していました。長期案件には、売上を見通しやすくする役割があります。育成の場としての意味もあります。

まずは、その役割を残しながら、小口・中口の測量業務を増やす方向です。実際の発注件数と利益、拘束日数を見て、受ける仕事の比率を見直していく。全面転換よりも、この進め方が現実的です。

まとめ

仕事を早く終えられる測量会社ほど、営業先を増やす前に、その速さが利益になる案件かを見直す余地があります。

工事に合わせて長期間人を出す仕事と、納期内に測量業務を完了して納品する仕事では、同じ人数でも動き方が変わります。今回の会社では、既存の現況測量が、その違いを確かめる手がかりになっていました。

次の一手は、利益のよかった案件を振り返ることです。収益性、実際の拘束日数、継続発注の見込み、協力会社の活用可否を整理します。その条件に合う仕事を持つ企業へ、接点を広げていきます。

長期案件の安定性を残しつつ、自社で工程を調整できる小口・中口案件を増やす。 その案件構成を考えることが、技術力を収益につなげる販路選びになります。

自社に合う測量案件と営業先の整理

「どの会社に営業するか」が決まる前の、増やしたい仕事の整理から相談できます。 「今の取引は続けたいが、利益の残る案件も増やしたい」という段階でも大丈夫です。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。測量会社の販路開拓でも、既存案件の特徴と対応できる人数を踏まえ、狙う発注先の整理から候補企業のリスト化、アプローチ、継続フォローへとつなげます。

うちの場合は、何を残し、何を増やすとよいのか。まずは、そこを一緒に整理するところからです。無理な営業は行いませんので、気負わずご相談ください。

お問い合わせはこちら