令和8年11月8日01時04分頃に発生した静岡県西部の地震により、愛知県で最大震度5強が観測されました。国土交通省と気象庁は、地震による地盤の緩みを考慮し、愛知県知多市について、土砂災害に関する警報等の発表基準を通常より引き下げて暫定的に運用すると発表しました。
対象となる災害 | 令和8年11月8日01時04分頃の静岡県西部の地震に伴う土砂災害 |
対象地域 | 愛知県知多市 |
暫定基準の割合 | 通常基準の8割 |
対象となる情報 | レベル4土砂災害危険警報、レベル3土砂災害警報、レベル2土砂災害注意報 |
運用期間 | 当分の間 |
今後の扱い | 地震後の降雨と土砂災害の関係を調査し、必要に応じて暫定基準を変更 |
今回のポイントは、知多市では土砂災害に関する警報等が、通常より早い段階で発表される可能性があるということです。対象地域に現場、資材置場、車両の通行ルート、協力会社の作業拠点がある建設会社は、降雨時の判断基準を平時のままにしないことが重要です。
今回の発表で何が変わるのか
国土交通省と気象庁は、地震により揺れの大きかった地域では、地盤が脆弱になっている可能性が高いとしています。そのため、雨による土砂災害の危険性が通常より高まっていると考えられます。
この前提に立ち、愛知県知多市では、レベル4土砂災害危険警報、レベル3土砂災害警報、レベル2土砂災害注意報の発表基準を、通常基準の8割に引き下げて運用します。
建設会社の実務に置き換えると、これは「警報が出やすくなる」というだけの話ではありません。地震前と同じ雨量でも、斜面、法面、掘削箇所、仮設道路、残土置場などでリスクが高まっている可能性があるという見方を持つ必要があります。
知多市に現場がある会社がまず見るべきこと
対象が知多市に限定されているため、まず確認すべきは自社の関係範囲です。
施工中の現場が知多市にあるか。資材置場や残土置場が知多市にあるか。通勤・運搬ルートに知多市内の斜面地や土砂災害のおそれがある区間が含まれるか。この3点は、早めに確認しておきたいところです。
特に、次のような現場では注意が必要です。
- 法面、斜面、盛土、切土に近接する現場
- 掘削を伴う工事
- 山側道路、谷側道路を使う運搬ルート
- 雨天時にぬかるみや排水不良が起きやすい仮設ヤード
- 資材、重機、仮設物を斜面近くに置いている場所
今回の発表は、特定の工事を止める命令ではありません。ただし、警報等の基準が引き下げられている間は、雨が降ったときの現場判断を一段早めにするという運用が現実的です。
「当分の間」は、社内ルールに落とし込んで扱う
発表では、暫定基準の運用期間は「当分の間」とされています。また、地震後の降雨と土砂災害の関係を調査し、必要に応じて暫定基準を変更するとされています。
つまり、終了日が明示された一時対応ではありません。ここで大切なのは、現場ごとの個別判断に任せきらず、会社としての確認項目を決めておくことです。
たとえば、対象地域に関係する会社では、次のような整理が考えられます。
- 知多市内の現場一覧を確認する
- 各現場の周辺に斜面、法面、盛土、切土があるか確認する
- 雨天時の作業中止・再開判断を現場代理人だけに抱えさせない
- 警報・注意報が出た場合の連絡先を元請、協力会社、職長まで共有する
- 作業員の退避場所、退避ルートを再確認する
- 資材・重機の置き場所が危険側に寄っていないか見直す
重要なのは、難しい仕組みを作ることではありません。「誰が、何を見て、どの段階で止めるか」を曖昧にしないことです。
中小建設業にとっての示唆:災害情報は経営リスク情報でもある
今回のような発表は、防災情報であると同時に、建設会社にとっては経営リスク情報でもあります。
土砂災害リスクが高まっている地域で無理に作業を進めれば、労働災害、工程遅延、近隣トラブル、元請・発注者との調整負担につながります。一方で、早めに情報を共有し、作業判断の基準をそろえておけば、現場を止める場合でも説明がしやすくなります。
特に中小建設業では、現場代理人や職長の経験に支えられている部分が大きいはずです。それ自体は強みですが、災害時には属人的な判断だけでは限界があります。
気象・防災情報を、工程管理、安全管理、協力会社管理に接続すること。これが、これからの現場運営ではますます重要になります。
今回の対象は愛知県知多市ですが、同じ考え方は他地域にも通じます。地震、大雨、台風の後には、通常時の基準だけで現場を見ない。地盤や周辺環境が変化している前提で、安全側に判断する。この姿勢が、結果として会社と現場を守ります。
まずは現場・ルート・連絡体制の3点を確認する
今回の発表を受けて、知多市に関係する会社は、まず次の3点を確認するのがよいでしょう。
- 現場:知多市内または周辺に施工中の現場があるか
- ルート:通勤・運搬で知多市内の危険箇所を通る可能性があるか
- 連絡体制:警報・注意報が出たとき、元請・協力会社・作業員に誰が連絡するか
この3点を押さえるだけでも、降雨時の初動はかなり変わります。
発表基準が引き下げられている間は、「警報が出たら考える」ではなく、「警報が出る前提で、先に段取りしておく」ことが大切です。現場の安全は、当日の判断だけでなく、事前の整理で大きく変わります。
自社の現場対応を整理する機会として
災害情報への対応は、単に安全書類を増やすことではありません。現場、協力会社、資材、工程、連絡体制をつなげて、無理なく動ける形に整えることが重要です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社がものづくりに集中できるよう、現場運営、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して、建設企業の持続的成長を支援しています。今回のような防災・安全対応についても、「うちの場合は何を確認すべきか」「現場任せになっている判断をどう整理するか」といった段階から一緒に考えることができます。
無理な営業はいたしませんので、まずは自社の状況整理の場として、必要に応じてご相談ください。