国土交通省は、企業等による良質な緑地確保を促進するため、優良緑地確保計画認定制度「TSUNAG認定」において、既存の緑地認証である「ABINC認証」または「SEGES」を取得・更新している緑地を評価対象にすると発表しました。適用は令和9年度申請分からです。

発表内容

TSUNAG認定でABINC認証・SEGESの取得実績を評価

対象制度

優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)

評価される既存認証

ABINC認証、SEGES

評価項目

TSUNAG認定の「先進的取組」

評価上の位置づけ

レベル3、3点として位置づけ

TSUNAG認定の満点

合計150点満点

適用時期

令和9年度申請分から

令和9年度分の予定

随時相談に対応、令和9年夏頃に申請受付予定

主な条件

ABINC認証またはSEGESの対象緑地が、TSUNAG認定の対象区域に全部または一部含まれること

維持条件

TSUNAG認定対象の計画期間、認定日から5年間においてABINC認証またはSEGESが維持・更新されていること

今回の発表は、建設業全体に一律で義務が増える話ではありません。

ただし、造園工事、外構工事、緑化工事、開発関連工事、工場・物流施設・商業施設の整備に関わる会社にとっては、提案の幅を広げる材料になります。

「植栽を入れて終わり」ではなく、

「その緑地は、企業価値としてどう評価されるのか」

ここまで顧客が見る時代に、少しずつ近づいています。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ

何が変わるのか

今回のポイントは、ABINC認証またはSEGESを取得・更新している緑地が、TSUNAG認定の審査で評価されるという点です。

TSUNAG認定は、都市緑地法に基づく制度です。 企業等による良質な緑地確保の取組を、国土交通大臣が評価・認定します。 評価の観点は、主に次のようなものです。

  • 気候変動対策
  • 生物多様性の確保
  • Well-beingの向上

今回、TSUNAG認定の評価項目のうち、「先進的取組」において、ABINC認証またはSEGESの取得・更新実績を評価することになりました。

具体的には、PDF資料では、TSUNAG認定150点満点のうち、「先進的取組」のレベル3、3点として位置づけるとされています。

点数だけを見ると、大きな変更に見えないかもしれません。 しかし実務では、少し意味があります。

すでにABINC認証やSEGESを取得している緑地について、その実績をTSUNAG認定の審査にも活用できるからです。

顧客から見ると、過去の取組が次の認定につながります。 施工会社や造園会社から見ると、認証制度を理解していること自体が、提案力になります。

ABINC認証とSEGESとは何か

ABINC認証は、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会が運営する制度です。 生物多様性に配慮した企業活動や、緑地の管理・利用などの取組を評価・認証する制度です。

資料では、2013年に創設された制度とされています。 対象は、工場、都市再開発・ショッピングセンター、集合住宅、戸建住宅団地、物流施設、ゴルフ場、企業林などです。 2026年9月末時点の累計認証物件数は219件とされています。

SEGESは、公益財団法人都市緑化機構が運営する制度です。 企業等によって創出された緑地や日頃の活動を評価し、社会・環境に貢献する良好に維持された緑地を認定する制度です。

資料では、2005年に創設された制度とされています。 部門は「そだてる緑」「つくる緑」「都市のオアシス」の3部門です。 2026年10月末時点の累計認定物件数は162箇所とされています。

ここで中小建設業が見ておきたいのは、制度名そのものよりも、対象施設です。

工場、物流施設、集合住宅、商業施設、再開発、戸建住宅団地など、建設業が日常的に関わる領域が含まれています。

つまり、これは大企業のサステナビリティ部門だけの話ではありません。 現場で植栽計画を立てる会社。 外構をつくる会社。 維持管理まで請ける会社。 開発案件で協力会社に入る会社。

そうした会社にとっても、顧客との会話に入ってくる可能性があります。

中小建設業は何を見ればよいか

まず見たいのは、自社が関わる案件に「緑地の評価」が入り込む余地があるかです。

たとえば、次のような案件です。

  • 工場の新設・改修
  • 物流施設の外構・緑化
  • 商業施設の緑地整備
  • 集合住宅や団地のランドスケープ
  • 企業の敷地内緑地の更新
  • 地域に開かれた緑地の整備
  • 緑地の維持管理業務

これらの現場では、顧客側が今後、単に「見た目のよい植栽」だけでなく、生物多様性、暑熱対策、地域貢献、従業員のWell-beingといった観点で緑地を説明したいと考える場面が増えるかもしれません。

そのときに、施工会社側が、

「ABINCやSEGESのような認証を意識するなら、維持管理の設計も最初から考えた方がよいですね」

と言えるかどうか。

この差は、見積金額の差だけではない価値になります。

もちろん、すべての案件で認証取得を目指す必要はありません。 むしろ、多くの中小案件ではそこまで進まないかもしれません。

それでも、認証制度の存在を知っている会社は、顧客の経営課題に近いところで会話できます。

これは、かなり大事です。

「施工後の管理」まで含めた提案が重くなる

今回の資料では、TSUNAG認定との連携条件として、重要な点が示されています。

ABINC認証またはSEGESの対象となる緑地は、全部または一部がTSUNAG認定の対象区域に含まれている必要があります。

さらに、TSUNAG認定対象の計画期間、認定日から5年間において、ABINC認証またはSEGESが維持・更新されている必要があります。

ここが実務のポイントです。

緑地は、つくって終わりではありません。 植えた直後はきれいでも、数年後に管理が弱くなると、当初の価値は落ちます。 枯れる。 繁茂しすぎる。 利用されない。 管理コストだけが残る。

現場では、よくある話です。

だからこそ、認証や評価を意識する場合は、設計・施工・維持管理を分けすぎないことが重要になります。

中小建設業としては、次のような整理が役に立ちます。

  • 施工範囲だけでなく、維持管理の範囲を確認する
  • 樹種選定や配置が、管理しやすい計画になっているかを見る
  • 顧客が認証取得を考えているか、早い段階で確認する
  • 認証取得を見据える場合、専門家や発注者側の担当部署と連携する
  • 5年間の維持・更新を前提に、管理体制や費用感を話しておく

緑地の価値は、完成時ではなく、運用が続いた後に問われます。

ここに、施工会社が関われる余地があります。

「環境対応」は営業資料ではなく、受注力の一部になっていく

今回の発表では、TSUNAG認定を取得することで、当該緑地が生物多様性の確保に加え、気候変動対策やWell-beingの向上にも貢献するものとして国から評価されたことを発信できる、とされています。 また、各種支援制度を活用しやすくなるとも説明されています。

ここで大事なのは、顧客が緑地を「コスト」だけでなく「説明できる資産」として見始めているということです。

特に、工場、物流施設、商業施設、集合住宅などを持つ企業では、地域との関係、採用、従業員環境、環境対応の発信が経営課題になっています。

「緑を増やしましょう」だけでは弱いです。

「この緑地は、気候変動対策、生物多様性、働く人の環境づくりの観点で説明できます」

ここまで言えると、話のレイヤーが変わります。

中小建設業にとっても、これは大企業の言葉を無理に使う話ではありません。

たとえば、

「夏場の照り返しを少しでも抑えたい」

「従業員が休憩できる外部空間をつくりたい」

「地域から見て、印象のよい敷地にしたい」

「管理が続けられる植栽にしたい」

こうした現場の言葉を、制度や評価の言葉につなげることです。

環境対応は、きれいなパンフレットを作るためだけのものではありません。顧客の投資判断を後押しする材料になります。

令和9年度申請に向けて確認したいこと

国土交通省の発表では、令和8年度分は8月末に申請受付を終了し、現在審査中です。 認定結果は、令和9年2月頃に公表予定とされています。

令和9年度分については、随時相談に応じており、令和9年夏頃に申請を受け付ける予定です。

自社が直接申請者になるケースは多くないかもしれません。 ただし、顧客が保有する緑地や、これから整備する施設が対象になる可能性はあります。

造園・外構・緑化に関わる会社は、次の3点を確認しておくとよさそうです。

1つ目は、既存顧客にABINC認証またはSEGESを取得・更新している緑地があるかです。

2つ目は、これから整備する緑地が、認証取得やTSUNAG認定の対象になり得る規模・性質かです。

3つ目は、施工後5年間の維持管理まで見据えた提案ができるかです。

特に3つ目は、中小建設業にとって現実的な差別化になります。 大きな制度説明は、発注者や専門機関が担うこともあります。 しかし、日々の管理、現場の納まり、枯れにくさ、使われやすさ、維持費の感覚。

ここは、現場を知っている会社の強みです。

制度を丸暗記する必要はありません。顧客の緑地投資を、長く価値が残る形にする視点を持つことが大切です。

自社の提案にどう組み込むかを整理する

今回の発表は、すべての中小建設会社に直ちに対応を迫るものではありません。

ただ、造園・外構・緑化・開発関連の仕事をしている会社にとっては、「緑地をどう評価し、どう維持し、どう顧客の経営価値につなげるか」を考える良いきっかけになります。

「うちの仕事だと、どこまで関係するのか」

「顧客に話してよい内容と、専門家につなぐべき内容を分けたい」

「維持管理まで含めた提案にしたいが、何から整理すればよいかわからない」

こうした段階でも、一度立ち止まって整理する価値があります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。制度対応そのものだけでなく、自社の受注力や提案力にどうつなげるかを一緒に考えることもできます。

無理な営業はいたしません。 「まず、自社の場合は関係があるのかを整理したい」という温度感でも大丈夫です。

必要であれば、次の整理先としてご活用ください。

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