株式会社加藤製作所から、ラフタークレーン4車種についてリコールの届出がありました。対象は計150台で、アクスルシャフトのセンターヨークに強度不足のおそれがあるため、使用を続けると走行時の繰返し応力により破損し、最悪の場合は駆動力を伝達できず走行不能になるおそれがある、という内容です。
届出者 | 株式会社 加藤製作所 |
リコール届出日 | 令和8年10月27日 |
リコール届出番号 | 5896 |
リコール開始日 | 令和8年10月27日 |
不具合の部位 | 走行装置(アクスルシャフト) |
対象車種 | カトウ KR-25H型ラフター、KR-60H型ラフター、KRM-35H型ラフター、KR-50H型ラフター |
対象台数 | 計150台 |
不具合件数・事故の有無 | 不具合2件、事故なし |
改善措置 | アクスルシャフトの刻印を点検し、対象ロット品が取り付けられている場合は良品に交換 |
今回のリコールで確認すべき対象機
今回のリコール対象は、加藤製作所のホイール・クレーン、いわゆるラフタークレーンです。対象として公表されている型式・通称名・台数は次のとおりです。
車名 | 型式 | 通称名 | 車台番号の範囲 | 製作期間 | 対象台数 |
|---|---|---|---|---|---|
カトウ | YDS-KRC025 | KR-25H型ラフター | KRC025-0412 ~ KRC025-0529 | 令和6年7月5日~令和7年5月9日 | 88台 |
カトウ | YDS-KRC027 | KR-60H型ラフター | KRC027-3027 ~ KRC027-3089 | 令和6年5月24日~令和7年5月23日 | 43台 |
カトウ | YDS-KRC023 | KRM-35H型ラフター | KRC023-1103 ~ KRC023-1117 | 令和6年8月9日~令和6年10月25日 | 12台 |
カトウ | YDS-KRC028 | KR-50H型ラフター | KRC028-5008 ~ KRC028-5014 | 令和6年8月23日~令和6年11月29日 | 7台 |
対象全体の製作期間は、令和6年5月24日から令和7年5月23日までです。
ただし、国土交通省の資料では、リコール対象車の車台番号の範囲には、対象とならない車両も含まれている場合があるとされています。したがって、番号の範囲に入っているかどうかだけで自己判断せず、販売店または届出者へ確認することが大切です。
不具合のポイントは「現場作業中」だけでなく「走行」にある
今回の不具合部位は、走行装置であるアクスルシャフトです。資料では、アクスルシャフトのセンターヨークについて、製造工程の管理が不適切だったため、強度が不足しているものがあると説明されています。
そのまま使用を続けた場合、走行時の繰返し応力によってセンターヨークが破損し、最悪の場合は駆動力を伝達できず、走行不能になるおそれがあります。
建設会社の実務で見ると、ここは重要です。クレーンの安全確認というと、どうしても「吊り荷作業中の事故防止」に意識が向きます。しかし今回の論点は、現場内外の移動、搬入・搬出、次現場への移動といった“走る場面”にも関係する不具合です。
現場での段取りは、クレーン1台の予定が崩れるだけで大きく変わります。鉄骨建方、重量物据付、資材荷揚げなど、クレーンを中心に職人・運搬・警備・近隣対応まで組んでいる現場では、走行不能による停止は単なる機械トラブルにとどまりません。
だからこそ、今回のリコールは「該当するかもしれない機械があるか」を早めに確認しておく価値があります。
改善措置は刻印確認と対象ロット品の交換
改善措置の内容は、全車両についてアクスルシャフトの刻印を点検し、対象ロットのアクスルシャフトが取り付けられている場合は良品に交換するというものです。
また、改善措置実施済みの車両には、運転者席ドア開口部のドアストライカー付近に「No.5896」のステッカーが貼付されるとされています。
中小建設企業としては、次の確認が現実的です。
- 自社で保有しているラフタークレーンに対象車種がないか確認する
- 車台番号、型式、製作時期を機械台帳や車検証等で確認する
- 販売店または加藤製作所側に、対象該当性と対応状況を確認する
- 改善措置済みの場合は「No.5896」ステッカーの有無も確認する
- 近々現場投入する予定がある場合は、点検・交換の予定が工程に影響しないか確認する
特に、機械を複数拠点で管理している会社では、「本社は把握しているが、現場側は知らない」というズレが起きがちです。機械管理、現場代理人、配車・手配担当の間で同じ情報を共有することが、こうしたリコール対応では効きます。
自社保有だけでなく、手配するクレーンも確認対象にする
今回の情報は、クレーンを自社保有している会社だけの話ではありません。現場によっては、協力会社やリース・レンタル会社を通じてラフタークレーンを手配しているケースも多いはずです。
その場合でも、元請・一次・専門工事会社の立場にかかわらず、現場に入るクレーンが対象車種に該当していないか、また改善措置済みかを確認する動きは有効です。
もちろん、実際の点検・交換は所有者や販売店との調整になります。ただ、現場を組む側としては、次のような確認をしておくと段取りが崩れにくくなります。
- 手配予定のクレーンのメーカー・型式を確認する
- 対象車種に近い場合は、手配先にリコール対応状況を確認する
- 対応未了の場合、現場投入日に影響がないか確認する
- 必要に応じて代替機の可能性も早めに相談する
安全と工程は、どちらか一方だけを守るものではありません。早めの確認によって、安全面の不安を減らしながら、工程への影響も小さくできます。
リコール情報を「機械管理の仕組み」に入れておく
建設業では、車両や重機、工具、測定機器など、管理すべき資産が多くあります。忙しい会社ほど、リコールや点検の情報が「その都度対応」になりがちです。
しかし、今回のようなリコールは、今後の管理体制を見直すきっかけにもなります。
最低限、次の項目を台帳で追えるようにしておくと、次回以降の確認がかなり楽になります。
- メーカー
- 型式
- 通称名・機種名
- 車台番号または製造番号
- 製作年または購入年
- 所有拠点・使用現場
- 点検・修理・リコール対応履歴
- 対応済みであることを示す写真や書類の保管場所
リコール対応は、単発の事務作業ではなく、機械を止めずに安全に使い続けるための管理業務です。大きなシステムを入れなくても、まずは台帳の項目をそろえるだけで、確認漏れは減らせます。
今回の対象車種を使っている可能性がある会社は、販売店または届出者への確認を進めつつ、現場投入予定と機械管理台帳の両方を見ておきたいところです。
自社の機械管理を見直すきっかけにする
リコール対応は、対象機があるかどうかの確認で終わらせず、日頃の機械管理や現場への情報共有を整える良い機会にもなります。「どの機械が、どの現場にあり、誰が対応状況を把握しているのか」が見えるだけで、現場の安心感はかなり変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社がものづくりに集中できるよう、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行を支援しています。今回のようなリコール情報をきっかけに、「うちの機械台帳や安全管理はどこから整えるべきか」「現場との情報共有をどう仕組みにするか」を考えたい場合は、壁打ち相手としてご活用ください。
無理な営業はいたしませんので、まだ論点が整理しきれていない段階でも大丈夫です。必要な範囲から一緒に整理できます。