国土交通省は、令和8年7月分の「既存住宅販売量指数」を公表しました。登記データをもとに、個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化したものです。全国の戸建住宅・マンション合計は、季節調整値で132.4。前月比0.2%の増加でした。
公表内容 | 既存住宅販売量指数 令和8年7月分 |
公表者 | 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産市場整備課 |
全国合計(戸建住宅・マンション) | 季節調整値 132.4、前月比0.2%増 |
30㎡未満除く合計 | 季節調整値 120.8、前月比0.6%増 |
戸建住宅 | 季節調整値 132.5、前月比1.1%増 |
マンション | 季節調整値 131.5、前月比0.4%減 |
マンション(30㎡未満除く) | 季節調整値 106.1、前月比0.4%減 |
基準 | 2010年平均=100、各数値は確報値 |
既存住宅の動きは、リフォーム・改修需要の先行指標になります
今回の数字だけを見ると、全国合計は前月比0.2%増です。大きな伸びではありません。ですが、既存住宅の取引が底堅く動いていることは、住宅関連の中小建設業にとって見逃せない材料です。
中古住宅が売買されると、その前後で工事が生まれやすくなります。
「入居前に水回りを直したい」 「外壁と屋根を見てほしい」 「断熱や内窓を入れたい」 「賃貸や投資用に使える状態にしたい」
こうした相談です。
もちろん、指数が上がったからすぐに全社の受注が増える、とは言えません。地域差もあります。物件種別の差もあります。ただ、新築着工だけで住宅市場を見る時代ではなくなっていることは、かなりはっきりしています。
戸建は前月比1.1%増。地域の工務店・専門工事会社はここを見たい
令和8年7月の戸建住宅は、季節調整値132.5。前月比1.1%増でした。
中小建設業、とくに地域密着の工務店、屋根、外壁、内装、設備、電気、給排水、解体、外構の会社にとっては、戸建の既存住宅流通はかなり実務に近い数字です。
中古戸建が動くと、買主は不安を持ちます。
「この家、あと何年住めるのか」 「雨漏りはないか」 「給湯器や配管は大丈夫か」 「耐震や断熱はどこまで必要か」
この不安に応えられる会社は強いです。単に見積を出すだけではなく、購入後の暮らしを見据えて、優先順位を整理できる会社です。
たとえば、全部を一度に直す提案ではなく、今やる工事、数年後でよい工事、補助制度が使えそうな工事を分けて説明する。こうした対応が、紹介や継続受注につながります。
マンションは前月比0.4%減。30㎡未満を除いても0.4%減
一方で、マンションは季節調整値131.5、前月比0.4%減でした。30㎡未満を除くマンションも106.1、前月比0.4%減です。
ここで大事なのは、下がったこと自体に一喜一憂しすぎないことです。月次の数字は動きます。むしろ、マンションは30㎡未満を含む数字と除いた数字が併用されている点に注目です。
国土交通省は、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増えている現状を踏まえ、30㎡未満を含む数値と除いた数値を公表しています。
これは、実需の住まいだけでなく、別荘、セカンドハウス、投資用物件なども指数に含まれるためです。
マンション改修や原状回復、設備更新を扱う会社は、「居住用の改修」なのか「投資用・賃貸用の改修」なのかを分けて需要を見ると、営業や提案の精度が上がります。
地域別の数字は、営業エリアの肌感と照らし合わせたい
PDFでは、ブロック別・都市圏別・都府県別の指数も示されています。
たとえば令和8年7月は、北陸地方の合計が前月比3.3%増、中部地方が0.6%増、近畿地方が1.1%増。一方、中国地方は0.8%減、四国地方は1.7%減、九州・沖縄地方は0.2%減でした。
都市圏では、南関東圏が0.1%減、名古屋圏が0.6%増、京阪神圏が1.2%増です。
ここで見たいのは、全国平均ではありません。自社の営業エリアと、自社の受注感覚がズレていないかです。
「問い合わせは増えているのに、成約率が落ちている」 「中古購入後の相談はあるが、予算が厳しい」 「不動産会社からの紹介が減った」 「小規模修繕は多いが、大型改修につながらない」
こうした現場の声と、地域の指数を並べて見ると、次の打ち手が少し見えます。
中小建設業は、既存住宅流通に合わせた受け皿を作りたい
今回の公表は、制度改正や補助金のように、すぐ手続きが必要なニュースではありません。ですが、経営には効きます。
特に住宅関連の会社は、既存住宅が動いた後に発生する工事を、どう受け止めるかを考えておきたいところです。
見るべき点は、次の3つです。
1つ目は、不動産会社や管理会社との接点です。中古住宅の購入者に最初に近いのは、不動産会社であることが多いです。紹介されやすい状態を作れているか。小さな相談にも返せる体制があるか。ここは差が出ます。
2つ目は、診断・点検から工事につなげる導線です。いきなり大きな工事を売るよりも、屋根、外壁、設備、床下、断熱、耐震などを整理して、「まず何を見るべきか」を示すほうが信頼されます。
3つ目は、見積と利益管理です。既存住宅の工事は、開けてみないと分からない部分があります。追加工事の説明、予備費の考え方、写真管理、原価管理。このあたりが甘いと、忙しいのに利益が残りません。
既存住宅市場は、地域建設業にとって単なる統計ではなく、次の受注の入口を読む材料です。毎月追う必要はなくても、四半期ごとに眺めるだけで、営業会議の質は変わります。
自社の住宅関連事業にどう落とし込むかを整理する
既存住宅の流通が動くほど、購入後の点検、修繕、改修、設備更新の相談も生まれます。ただし、それを受注につなげるには、営業先、提案メニュー、見積の出し方、社内の原価管理までつながっている必要があります。
「うちの地域では、この数字をどう見ればよいか」 「不動産会社との連携を作りたい」 「リフォームは増えているのに利益が残りにくい」 「点検から工事につなげる流れを整えたい」
そんな段階でも、整理する価値があります。ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ近づけるための壁打ち役として使ってください。
無理な営業はいたしません。まずは「自社の場合は何から整理すべきか」を一緒に確認する場として、必要に応じてご相談ください。