前提

中古住宅の改修を増やしたい、職人主体の建設会社の受注先探し

リフォームの受注先を増やすときは、不動産会社の知名度よりも「どの住宅取引に伴う工事を、自社が担えるか」を揃えることが出発点です。

兵庫県のある建設会社では、神戸市中心部を起点とする約20キロ圏を主な施工エリアとして、リフォームの発注元を増やそうとしていました。職人主体で建築一式を請け負い、大工や電気、水道、塗装などの各工種を取りまとめる会社です。

協力業者とのつながりは広がりつつある一方、自社から新しい発注元への営業は、まだ十分に進められていませんでした。候補のリストはあるものの、それぞれの会社がどのような工事を扱い、どの程度の建築体制を持っているかを調べきれていない段階です。

「協力業者を募集している会社は、山ほどあります。では、どこにアプローチするのかとなると、一件一件進めていくしかないと思っています」

目指していたのは、有名な一社から大量の仕事を受けることではありません。中古マンションや戸建ての売買に伴う改修工事を入口に、無理なく付き合える発注元を複数育てることでした。

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課題

協力業者の募集情報や売上ランキングでは見えない、発注元との相性

募集していることと、自社に合う工事を発注してもらえることは別です。 候補企業の数よりも、取引を始める判断に必要な情報が足りないことが、営業の進めにくさにつながっていました。

検索すると、大手不動産会社やリフォーム会社のランキングが出てきます。ただ、売上が大きくても、その数字が戸建ての改修なのか、賃貸物件やオフィスなどを含むのかによって、自社との接点は変わります。全国の事業規模が、そのまま自社の施工エリア内の発注量を示すわけでもありません。

相談者が知りたかったのも、単に会社の大小ではありませんでした。

「それぞれの会社が、どういう事業部の体制を敷いているか。ホームページで調べられる範囲は調べますが、公式には出ていない部分もあると思うんです」

建築部門があるかどうかだけでは、外部の工事会社を必要としているかは判断できません。自社部門で対応する工事と、外に任せたい工事が分かれている可能性があるからです。

また、ランキングの上位だけを見ていると、地域で中古住宅の売買を扱う会社や、建築体制をこれから整えようとしている会社を拾いにくくなります。必要なのは順位の高い順に連絡することではなく、相手が外注したい工事と、自社が引き受けたい仕事が重なる候補を見つけることです。

背景

施工以外の管理負担と、一社への依存を避けたい事情

受注を増やすうえで気になっていたのは、工事量だけでなく、施工以外にどこまで仕事を担うことになるかでした。

相談者には、リフォームの下請けに入った際、発注側が担うと考えていた業務まで施工側で引き受けることになった経験がありました。営業や設計、現場管理の体制が十分でなければ、工事の請負範囲だけを見ても、実際の負担は読み切れません。

「リフォームの下請けだけで回っていても、本来なら元請けがすべき仕事まで、結局やらないといけなくなるんです」

この経験から、協力業者を常時募集しているという情報も、受注機会としてだけでなく、その会社の管理体制を確かめる入口として捉えていました。ただし、募集が続いていることだけで、取引しづらい会社と決めることもできません。個別に事情を聞く必要があります。

さらに、同じ会社でも担当者によって仕事の進めやすさが変わるといいます。

「これまでの担当者とはうまくできていたのに、担当が変わると、一気に大変になることもありました」

だからこそ、一社との取引を急に大きくするのではなく、小さく始めて分散したいという方針がありました。

そのうえで候補になったのが、中古住宅の売買仲介や買取再販を行う不動産会社です。売買仲介では売主・買主から改修の相談が寄せられ、買取再販では、買い取った住宅を改修して再び販売する過程に工事が位置づきます。

ここでの対象は、賃貸仲介に伴う原状回復ではありません。戸建てかマンションかという区分よりも、中古住宅の売買に伴う改修需要を扱っているかどうかが、候補選びの軸になっていました。

解決

施工エリアと外注需要で絞り、小さな改修工事から確かめる進め方

公開情報で営業先の優先順位をつけ、対話で役割分担を確かめ、実際の工事で継続の判断をする。 この順序なら、調査だけで止まらず、相性を確かめずに受注を広げることも避けやすくなります。

最初に揃えるのは、会社の所在地ではなく物件の施工エリア

候補探しでは、自社が施工できる範囲で中古住宅の売買仲介・買取再販を行っている会社を優先します。

相談企業のように施工エリアを絞っている場合、近くに本社がある会社だけを見る必要はありません。遠方に本社があっても、地域の支店や営業拠点で対象エリアの物件を扱っていれば候補になります。反対に、本社が近くても、発注したい物件が施工範囲外であれば接点は薄くなります。

「どこに本社があるか」より、「どこの物件の改修を任せたいのか」を優先することが、候補を広げすぎず、取りこぼしも減らす判断軸です。

建築部門の有無ではなく、外部に任せたい範囲を確認する

次に、会社のホームページなどから、売買仲介・買取再販の扱いと、建築・リフォーム部門の体制を調べます。候補情報は、次の項目で揃えると比較しやすくなります。

  • 中古マンション・戸建ての売買仲介や買取再販を扱っているか
  • 自社の施工エリア内に、対象物件や営業拠点があるか
  • 建築・リフォーム部門があり、どのような工事を扱っているか
  • 外部の工事会社に何を任せたいか、確認できているか
  • 自社が施工だけを担うのか、工事一式の取りまとめまで担うのか

公開情報で分からない項目は、分からないまま残し、面談で確かめる事項にします。情報が見当たらないことを、建築部門がない、あるいは外注需要があるという意味に置き換えないことが大切です。

建築部門を持つ相手であれば、その部門を補う入口もあります。相談者も、最初から顧客紹介だけを求めるのではなく、次のような姿勢を考えていました。

「工事の請負ができます。御社の建築事業部のお手伝いをさせてください、というスタンスでいいと思うんです」

建築一式を取りまとめられる会社なら、その機能が相手の不足を補えるかを確認します。施工だけを受けたい会社なら、営業・設計・現場管理のどこを相手が担うのかを確かめます。相手の体制が薄いこと自体を好条件とせず、自社が担える範囲と合うかで判断することが重要です。

大手か中小かではなく、相談内容に合う連絡先を選ぶ

会社規模は判断材料の一つですが、それだけで営業先を決める必要はありません。大手でも外部への発注余地がある場合があり、中小でも自社の希望と仕事の内容が合わない場合があります。

また、紹介経由なら必ず話が進むわけでもありません。正式な協力業者の受付が整っていれば、その窓口から入る方法があります。一方、公開情報では分からない外注需要や、建築部門の不足を把握している人がいれば、その情報を踏まえて接点をつくる意味があります。

紹介を活用する際も、見るべきなのは紹介者の肩書きではなく、相手が現在困っている工事や、相談すべき部門が具体的になるかどうかです。

小さな工事で管理負担と担当者との連携を確かめる

候補が絞れたら、最初から大きな工事や継続的な発注量を求めるのではなく、自社で対応できる小規模な改修から関係を始めます。発注側にも、初めての会社に大きな工事を任せる判断の難しさがあります。

確認したいのは、工事が終わったかだけではありません。事前に話した役割分担と実際の担当範囲が合っていたか、施工以外の管理負担はどの程度だったか、担当者と無理なく連携できたかを振り返ります。

小さく始める目的は、小さな工事を集めることではなく、継続して利益を残せる相手かを実務で確かめることです。 規模が小さくても管理負担が大きければ、受注拡大を急ぐ理由にはなりません。

その確認を複数の発注元で重ね、付き合いやすい先との取引を育てていきます。相談者の「一社への依存度が高くなることは避けたい」という考え方は、営業先選びだけでなく、受注後の広げ方まで含む方針です。

まとめ

リフォームの営業先は、協力業者を募集している会社の一覧ではなく、自社の施工範囲と相手の外注需要が重なるところから絞ります。

中古住宅の売買仲介・買取再販を扱っているか、施工エリア内の物件があるか、建築部門は何を担い、外部には何を任せたいのか。この順で整理すれば、売上ランキングや会社の知名度とは違う優先順位が見えてきます。

公開情報だけで相性を決め切る必要はありません。候補ごとの不明点を対話で確かめ、小規模な工事で管理負担や担当者との連携を確認しながら、取引を広げていく進め方が現実的です。

目指すのは、有名な一社への集中ではなく、自社が無理なく役に立てる複数の受注先を育てることです。

自社に合う不動産会社と、営業の入口を整理したいときに

「候補のリストはあるけれど、優先順位がつかない」「施工だけを提案するのか、工事の取りまとめまで伝えるのか迷う」という段階なら、営業件数を増やす前に、自社が担える仕事と相手に確認したいことを整理するところから始められます。

ネクスゲートは、中小建設会社・専門工事会社の経営課題を横断的に整理し、実行まで支援しています。受注先開拓でも、現場で対応できる範囲を踏まえ、候補企業の絞り込みや提案の入口を一緒に考えます。

「うちの場合は、どの不動産会社から考えるとよいか」という段階でもご相談いただけます。 無理にサービスをお勧めすることはありませんので、次の整理先として気軽にお声がけください。

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